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中国の農村房屋(農民房)、都会のなかの農村(城中村)

中国には農民房とよばれる特殊な住宅があります。中国に住んでいる日本人で農民房に住んでいる人はあまりいないでしょう。もし農民房に住んでいても心配はありません。通常の賃貸マンションを借りる手続きと大きな違いはありません。

1.大都市にある農村「城中村」

都会のなかの農村?

北京、上海、広州などの大都市にいまも残る「城中村」にアパートを借りて住んでいる日本人はほとんどいないでしょう。中国の「城中村」とは一体どのような場所なのでしょうか?

「城中村(チョンジョンツン)」は、簡単に言ってしまうと都市に残っている農民の土地があるところです。「城」は都市という意味ですので、まさに都会(都市)のなかの農村という意味です。

そもそも中国の土地制度は?

中国の土地は、国家の所有する土地(国有地)と農村が集団所有する土地(農村集体所有地)の2つに分かれます。北京や上海などの大都市であれば、現在ではほとんど国家が所有する国有地で、その国有地の土地使用権をマンション用地などであれば70年間の使用権利を獲得しているのが一般的です。中国では購入した分譲マンションであっても、その建物がたっている土地は土地使用権を借りているのが一般的です。

いっぽう、農村の土地は農村にある村(村民委員会)が保有しています。正確には農地として利用する請負義務のもとで所有権を保有しています。このような農村が所有する土地にも農民は居住する必要がありますので、自家用居住地(宅基地と呼ばれる)として建物を建てることができます。

2.気がついたら都会のなかに農村が!

いろいろな理由で都市に農村が残ってしまった

中国の土地制度により、都市と農村の2つの種類の土地が存在します。中国の経済発展にともない、地方政府は農村から補償金を支払って土地を収用して、都市の土地(国有地)に変更を行ってきました。

しかし、なかには都市計画が上手くいかなかったり、農村の反対により都会に農村が残ってしまうという状況が発生してしまいました。また、経済発展して土地使用権の相場が右肩上がりに上昇してきましたので、農民としても出来るだけ収用を遅らせたり、納得できる補償金がほしいという本音もあります。このような理由により、都会のなかに「城中村」ができてしまったのです。

じつは「城中村」に住んでいる人は都会人

このような「城中村」ですが、そこに住んでいる人はすでに都会人(都市戸籍)であることが多いのが実態です。大都市であれば農地もすでにありませんので、「城中村」と言われても日本人にはわかりません。

すでに農地もありませんので、「城中村」の戸籍保有者は、普通に企業に勤務したり、自ら商売をしたり、農村房屋(農民房)とよばれる賃貸アパートを貸し出したりして生活をしています。

3.「城中村」にある農村房屋(農民房)

農民房とは何か?

中国に住んでいる日本人で農村房屋(農民房)に住んでいる人は、ほとんどいないことでしょう。北京、上海、広州、深センなどの大都市の「城中村」にある賃貸アパートです。しっかりした高層マンションである場合もあります。この農民房は中国語で「小産権房」と呼ばれることもあります。

中国の小産権房とは?
小産権房とは、農村の集団所有の土地に建てられた建物。これらは土地譲渡金が支払われていない。この産権証(不動産登記証に相当)は、国家の関連部門が発行したのではなく、農村の関連部門が発行しているもの。小産権房は法律的な用語ではなく一般的な通称。

この農村房屋(農民房)は、「城中村」に集団所有されている土地のうえに建てられている建物です。この農村房屋(農民房)は、国有地のように土地使用権と建物の売却ができません。そのため、市場価格よりも安めに賃貸として貸し出されています。

もし農民房を賃貸する場合は?

農民房を賃貸するときも一般的な賃貸アパート契約と変わりません。その部屋の所有者である権利書の名義をしっかり確認しておきましょう。農民房は普通の賃貸マンションよりも権利書の関係があいまいな場合が多いと言われています。もし、合法的な権利書が確認できなければ、賃貸することは避けたほうが良いでしょう。(了)

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