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訪日中国人観光客の爆買(ばくがい)、いつまで続くのか?

訪日中国人観光客の爆買(ばくがい)が話題になってから、銀座(東京)や成田空港、関西空港では日本人よりも中国人のほうが多いのではと思うほど。中国人観光客の訪日旅行は一過性の現象なのか、今後も継続して続いていくものなのか?

1.中国人旅行者の爆買(ばくがい)

2014年ごろから話題になっている訪日中国人の購買力!

ここ1年くらい話題になることが多い訪日中国人旅行者の爆買(ばくがい)。爆買(ばくがい)の正確な定義はないものの、日本へ観光旅行にきた中国人の家電・デジタル製品、ドラッグストアの日用品、時計、宝石などを大量に買って帰ることを指し、2014年ごろから使われている。

東京・銀座(中央区)を歩いていると、買い物を終えた中国人旅行者が両手に大きなスーツケースを持って歩く姿に圧倒されてしまう。とくに中国人旅行客をメインターゲットにしている総合免税店のラオックス(銀座店)前には、すごい数の旅行者で路上にあふれている。

(写真1)ラオックス(東京・銀座)前は中国人旅行客でにぎわう

(写真1)ラオックス(東京・銀座)前は中国人旅行客でにぎわう

ラオックス(LAOX)とは?
ラオックス(LAOX)とは、東京の秋葉原や銀座で主に中国人観光客にデジタル製品、高級時計などを販売している免税専門店。1939年に開業した谷口商店を源流に、1976年からラオックスとして営業。2009年8月に中国の家電量販店大手の蘇寧電器(江蘇省・南京市)の傘下になった。中国語では「楽購仕」。中国国内にも店舗展開している。

空港内のショップで最後の爆買(ばくがい)!

2015年8月に関西空港から上海に戻るとき、出国審査場を過ぎたところには中国に戻る中国人旅行者であふれていた。最後の爆買(ばくがい)のチャンスということで、手に持てるだけ土産用のお菓子を買い込んでいる。

(写真2)出国審査場を過ぎたところにあるお土産用ショップ(関西空港)

(写真2)出国審査場を過ぎたところにあるお土産用ショップ(関西空港)

2.中国人旅行者の爆買を支える日本円安・人民元高

両手いっぱいにお土産を持つ中国人旅行者たち!

日本から中国に戻る中国人旅行者を見ていると、空港内のお土産用お菓子の手提げ袋を除くと、家電量販店・免税専門店のヨドバシカメラ、ビックカメラ、ラオックス(Laox)の手提げ袋をもっている人の割合が高い。飛行機の預け入れ荷物の重量を超えた分を手荷物として機内に持ち込み、最後に空港内ショップで持てるだけ、お土産を買い込んでいる姿がみられる。

たしかに、ここ半年間続いてきた「1人民元=約20円」の為替レートを考えると、日本で販売されているものは、お菓子、家電製品、日用品などほとんどの商品は中国国国内よりもずいぶん安い。およそ中国で販売されている同等品よりも30%~40%くらいは安いのではないだろうか。

(写真3)空港内で両手いっぱいに商品を買い込んだ中国人たち(関西空港)

(写真3)空港内で両手いっぱいに商品を買い込んだ中国人たち(関西空港)

3.中国国内では異なる雰囲気も

1年以上続く、Coming Soon(もうすぐオープン)のテナント

いっぽう、中国国内を見てみると、訪日中国人旅行者の日本での爆買(ばくがい)の雰囲気はまったく見当たらない。中国では製造業の過剰設備投資が話題になることが多いが、上海市内では過剰になり過ぎたショッピングセンター(SC)や百貨店のテナント不足の影響がでている。

上海のあるショッピングセンターではテナントが埋まらず、「Coming Soon(もうすぐオープン)」と表示されたままのスペースが目立つ。テナントの空きスペースが放置されているというだけでなく、利益が見込めない既存テナント(アパレル、メガネ販売店など)が続々と撤退していき、以前よりも、「Coming Soon(もうすぐオープン)」が増えていくという悪循環が続いている。

(写真4)空きテナントが目立つショッピングセンター、いまも営業継続中(上海市)

(写真4)空きテナントが目立つショッピングセンター、いまも営業継続中(上海市)

上海新世界大丸百貨の2015年上半期は大赤字!!

上海でもっとも観光客が多い南京東路にある上海新世界大丸百貨も苦戦している。上海新世界大丸百貨は、大丸や松坂屋の運営会社を傘下にもつJ.フロントリテイリングが経営指導をおこなっている2015年2月にプレオープンした高級百貨店。

中国現地紙の上海証券報の2015年8月28日付の記事によると、上海新世界大丸百貨の2015年上半期の実績は売上高1億2980万元(約25.9億円)、1億5446万元(約30.8億円)の赤字を計上したと報じている。売上高よりも大きい赤字計上は、小売り業としては、きわめて珍しい。

上海新世界大丸百貨は上海市内の一等地に位置しているものの、テナント集めに苦戦していて、百貨店の店内には空いたままのスペースが目立つ。とくに、7階はまったく内装工事もせずに、スケルトンの状態で置かれたままだ。

(写真5)停止中の7階行きのエスカレーター(上海新世界大丸百貨)

(写真5)停止中の7階行きのエスカレーター(上海新世界大丸百貨)

J.フロントリテイリングとは?
J.フロントリテイリングとは、百貨店の大丸や松坂屋を運営する大丸松坂屋百貨店やファッションビルのパルコを傘下にもつ持ち株会社。2007年9月設立。

中国人の所得向上とともに訪日中国人旅行者が増加していくという意見もあるものの、やはり為替レートに大きく左右されてしまうだろう。中国人旅行者にとって為替レートが「1元=15円」くらいまで戻ってしまうと、いまよりも25%ほど割高になってしまう。そうなると、外国人旅行者の消費税8%の免税分があっても、いまよりも日本での販売価格から割安感は消えてしまう。

中国で生活する日本人にとっては、スターバックスコーヒーのラテ(tallサイズ)が日本円換算で1杯あたり約540円(27元)もしてしまう現実も悩ましいものだ。為替レートの変動から目が離せない。(了)

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