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中国の分譲マンション(商品房)、引き渡しの流れは?

日本人のなかにも中国国内で分譲マンションの購入を検討している人もいるでしょう。基本的な分譲マンション購入の流れは日本と中国で違いはありませんが、そもそも法律自体が異なりますのでポイントを見落とさないよう注意が必要です。

1.基本的な引き渡しの流れ

購入した分譲マンションの引き渡し

中国で分譲マンションを購入した場合、どのような手続きで引き渡されるのでしょうか?中国では一般的に次のような流れになっています。

  1. 不動産開発会社は購入者に分譲マンションの引き渡しを連絡します。不動産開発会社は不動産売買契約書にもとづいて、引き渡しするときの場所、時間、必要な持ち物などを連絡します。
  2. 購入者は物業管理会社(マンション管理会社)の立ち会いのもとで入居手続きを行います。不動産開発会社は、分譲マンションの管理など運営面については物業管理会社(マンション管理会社)に業務委託しています。購入者は物業管理会社の指示にしたがって、必要な書類の提出をおこない、部屋の鍵(カギ)の受け渡しをうけます。
  3. 購入者は不動産開発会社の立ち会いのもとで室内の確認を行います。これは日本で行われている内覧会(部屋の不具合の有無確認)に相当します。この手続きのなかで、購入者は分譲マンションが法律要件を満たしていることを確認できる証明書を見せてもらいましょう。
  4. 購入者は不動産開発会社から「住宅質量保証書」と「住宅使用説明書」とよばれる2つの書類を入手します。この2つの書類は両書(2つの書類)とよばれる重要な書類になります。かならず入手しましょう。
  5. 購入者は部屋の受渡し完了書にサインをします。もし、部屋の立ち会いで納得できない部分があれば、受渡し完了書にサインをしてはいけません。

日本では分譲マンションの室内確認として、完成前に内覧会が行われています。中国では内覧会に相当する作業とマンション引き渡しが同時に行われますので注意が必要です。

日本の内覧会とは?
内覧会とは、分譲住宅の購入者が不動産会社の立ち会いのもとで行う完成前の室内チェックです。購入者は室内の壁、床、設備などを確認し、傷や不具合などを指摘します。不動産会社は購入者の指摘にもとづき必要な改善を行います。

2.重要な両書(2つの書類)

法律で要求されている書類

不動産開発会社は、両書(2つの書類)とよばれる「住宅質量保証書」と「住宅使用説明書」を購入者に渡さなければなりません。これは城市房地産開発経営管理条例の第31条で明記されていますので、不動産開発会社はこの提出を拒むことはできません。

住宅質量保証書

中国で分譲マンションを購入したとき、購入者は両書(2つの書類)よばれる重要な書類を入手します。そのひとつは「住宅質量保証書」とよばれる書類です。その書類には、どのようなことが書かれているのでしょうか?

  • 分譲マンションの建築評価をおこなう政府部門の評価結果が記載されています。
  • 基礎建築部分や建物の主要な部分に対して、合理的な耐用年数について補修保障を約束しています。
  • 分譲マンションの屋根、外壁、扉、床などの建物基礎部分について保証期間を明記しています。

このように「住宅質量保証書」は、まさに分譲マンションの製品保証書の役割を果たしています。もし分譲マンションの購入者が建物の構造品質に疑問をもった場合は、関連する政府部門に調査を依頼することができます(城市房地産開発経営管理条例の第32条)。

住宅使用説明書

もうひとつの両書(2つの書類)は「住宅使用説明書」です。この書類も分譲マンションの取扱説明書の役割を果たしています。具体的には次のような内容が記載されています。

  • 不動産会社、設計会社、建設会社などの分譲マンションに関わっている会社名。
  • 内装やリフォーム時の注意事項。
  • 水道、電気、ガス、通信設備、消防などの配置状況。
  • 扉や窓の使用上の注意事項。
  • 部屋の電力負荷。
  • 壁、床、天井、ベランダ(バルコニー)の耐久能力(重量、熱など)。

中国では内装工事がされていない部屋(いわゆるスケルトン状態)とすでに内装工事されている部屋の2つに分かれます。内装工事がされていない部屋は毛坯房(マオピーファン)とよばれ、工事済みの部屋は装修房といいます。

毛坯房であれば必ず内装工事が必要になります。その内装工事は「住宅使用説明書」に違反しないように注意しなければなりません。(了)

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