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上海市嘉定区の豊庄という街、どのような雰囲気なのか?

上海市は総人口が2千万人を超える巨大な大都市であることはあまり知りません。上海「市」という名称から日本の市町村と同じ規模の都市をイメージしてしまうからでしょう。この上海でオススメの嘉定区の豊庄という街を紹介します。

1.上海市の嘉定区とは?

そもそも上海市の位置づけは?

上海市は「市」という名称であるものの、広東省や浙江省、広西チワン族自治区などの省や自治区と同じ規模の行政地域になります。中国では、北京市、天津市、上海市、重慶市の4つの都市は「直轄市」と呼ばれていて、その他の有名な大連市や広州市などとは行政管理において、まったく異なる位置づけになっています。

中国の直轄市とは?
中国の直轄市とは、中央政府が直接管理する都市である。現在の直轄市は、北京市、天津市、上海市、重慶市の4つ。直轄市の共産党委員会書記は、現在25名いる党指導部の中央政治局委員を兼任している。

上海市の総人口は2,415万人(2013年末)で、日本の東京都の総人口1,389万人(2015年1月末)よりも1,000万人以上も多いことを知っている日本人はそれほど多くないでしょう。上海の総面積は6,340k㎡もあり、東京都の2,184k㎡の3倍近くもあります。ちなみに、上海市に生活している日本人は5.7万人(2012年10月時点)と言われています。

中国で生活する日本人数は?
中国本土(香港・台湾除く)の在留邦人数は、2012年10月時点で150,399人(外務省「海外在留邦人数統計」より)。世界のなかで在留邦人数はアメリカに次いで2番目に多い国(アメリカは41万人)。中国本土で在留邦人が多い都市は次のとおり。上海市(57,458人)、北京市(11,596人)、蘇州市(10,734人)、広州市(7,010人)、深セン市(5,164人)、大連市(4,905人)。

上海のなかの地方都市

この大都市である上海市のなかには、16地区、1県の行政地域に分かれています。日本人の多くが生活している長寧区、徐匯区、浦東新区などの市内中心部は有名です。そのほかにも嘉定区や松江区など郊外都市もあります。今回紹介するのは、郊外都市のひとつである嘉定区です。

上海市のなかにある16地区は、中心都市(長寧区、静安区、黄浦区など)と郊外都市(松江区、嘉定区、宝山区など)の2つに分けられています。いまのところ、嘉定区は郊外都市に分別されています。その嘉定区の総人口は、上海市全体の約6%にあたる147万人が生活しています。この嘉定区は1958年までは上海市に隣接している江蘇省として扱われていましたが、行政地域の変更により上海市に編入されました。

(写真2)上海市嘉定区の市内中心部に近い豊庄(フォンジュアン)地区

(写真2)上海市嘉定区の市内中心部に近い豊庄(フォンジュアン)地区

曹安公路周辺の巨大な卸売市場

この嘉定区は上海市内中心部とは異なり、まさに中国の地方都市という街並みや雰囲気になっています。この嘉定区の中心地には嘉定工業区という工業地域が設置されていて、自動車部品メーカーの小糸製作所や大同特殊鋼などの日系製造メーカーもたくさん進出しています。じつは嘉定区は、大阪府八尾市と岡山県和気町と友好都市(姉妹都市)を結んでいます。

今回取り上げるのは、嘉定区のなかでも市内中心部に近い豊庄(フォンジュアン)という地区です。この豊庄という地区は、曹安公路を中心に広がっています。有名なところでは、巨大卸売市場の曹安国際商城や上海市軽紡市場というところがあります。

(写真3)上海市嘉定区の上海市軽紡市場が向こう側に見える

(写真3)上海市嘉定区の上海市軽紡市場が向こう側に見える

2.上海市嘉定区の特長は?

割安な賃料と巨大な卸売市場(マーケット)

この嘉定区豊庄(地区)の特長は、巨大な卸売市場が多くて、上海市内中心部に近いにもかかわらず、賃貸マンションの家賃相場がずいぶん安い点です。だいたい長寧区や静安区のアパート賃料の7割~8割程度で同じレベルの賃貸マンションを借りることができます。

部屋の広さが90㎡(建築面積)くらいの2LDKのアパートで、だいたい1ヶ月あたり4,500元~5,000元(約9万円~10万円)の賃料相場になっています。上海のとなりの蘇州市とだいたい同じくらいの家賃相場です。

中国の建築面積とは?
建築面積とは、実際に利用できる部屋の面積に敷地内の共有スペース(配電室、共有廊下、エレベーターホールなど)の分配された面積です。中国の高層マンションでは建築面積の70%~80%が使用面積(部屋の面積)といわれています。
(写真4)曹安国際商城のとなりにある巨大な上海国際鞋城

(写真4)曹安国際商城のとなりにある巨大な上海国際鞋城

閉まっている店舗も少なくない

この曹安国際商城周辺には卸売市場(問屋街)となっていますが、モールのなかに入ると閉まっている店舗も少なくありません。地方都市にある小売店でも、現在ではインターネット卸売りサイトの阿里巴巴批発網(1688.com)を利用すれば、卸売市場に来ることなく商品を比較したり、発注することができるようになっています。

そのようなビジネスの効率化・時代の変化の影響でしょうか、実店舗形式の卸売市場はそれほど活気があふれているわけではありません。

(写真5)上海国際鞋城のなかの店舗、小売販売も行っている(上海市嘉定区)

(写真5)上海国際鞋城のなかの店舗、小売販売も行っている(上海市嘉定区)

嘉定区の豊庄の中心、曹公安路

この嘉定区豊庄は、普段はのんびりした地方都市のような場所で生活しつつ、必要があれば気軽に大都会の上海市内中心部にアクセスすることができることでしょう。上海市内中心部までは、公共バスや地下鉄が便利で、だいたい30分~40分くらいでアクセスすることができます。

(写真6)嘉定区豊庄の中心道路である曹安公路、この附近は空気が清潔

(写真6)嘉定区豊庄の中心道路である曹安公路、この附近は空気が清潔

3.上海市嘉定区の住宅価格

上海市内では割安な住宅価格

若い中国人にとっては、上海市内中心部の分譲マンション(区分所有マンション)はなかなか購入することはできません。上海市内中心部の住宅相場は高騰しすぎており、1㎡あたり3.5万元~5.0万元(約70万円~100万円)くらいします。90㎡の分譲マンションを購入すると、315万元~450万元(約6,300万円~9,000万円)もしてしまいます。

嘉定区もかなり高騰していますが、それでも上海市内中心部の長寧区、静安区、徐匯区にくらべると住宅価格は低めとなっています。それでも、嘉定区の豊庄(地区)でも1㎡あたり3.0万元ほどしてしまいます。中国では住宅価格を計算するときに1㎡あたりの価格で比較するのが一般的です。(了)

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