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海寧市(浙江省)の巨大商業モール「銀泰城」、客が少ない?!

革製品(レザー製品)の販売で有名な浙江省の海寧市。この海寧市中心部には「銀泰城」とよばれる超巨大なショッピングモールが営業しています。2013年4月にオープンしてから2年弱、中国の地方都市の商業施設はかなり苦戦しています。

1.海寧市にある「銀泰城」

超巨大なショッピングモール!

中国のなかでも革製品で有名な海寧市(浙江省)は、上海市から列車で約1時間強、浙江省の杭州市から列車で約35分のところに位置しています。中国各地から革製品の買付けに来る人も少なくありません。とくに個人向けにもアパレル、カバン、靴を販売されている革製品の百貨店である海寧皮革城では、日本で販売されている商品の半値以下の価格と言われています。

この海寧市の中心道路(目抜き通り)である海昌南路には、超巨大なショッピングモールの銀泰城(INTIME CITY)があります。中国の地方都市であり、総人口が81万人くらいの都市にしては違和感があるほどの巨大なショッピングモールです。

(写真1)超巨大な銀泰城(INTIME CITY)、街中で一段と目立つ建物(海寧市)

(写真1)超巨大な銀泰城(INTIME CITY)、街中で一段と目立つ建物(海寧市)

浙江省の海寧市とは?
浙江省の海寧市とは、中国のなかでも革製品の製造・販売で有名な都市。海寧皮革城という巨大な販売マーケットには、中国全土からバイヤーがやってくる。総人口は81万人(2010年末)。総面積は668k㎡(東京23区とほぼ同じ)。浙江省嘉興市(地級市)に所属する県級市。上海市から列車で約1時間15分。杭州市から列車で約35分。

ショッピングモール「銀泰城」とは?

この「銀泰城」を運営しているのは、香港証券取引所に上場している銀泰百貨集団(グループ)です。すでに中国本土で浙江省を中心に30店舗ほどショッピングモール「銀泰城」を展開しています。1998年に設立された銀泰百貨集団は、2011年から浙江省を中心に早いスピード展開で「銀泰城」を出店しています。

この海寧市の「銀泰城」は、約20億元(約400億円)が投入されて2013年4月にオープンしています。この「銀泰城」の総面積は43万㎡。日本最大の営業面積を持つ「あべのハルカス近鉄本店」が10万㎡ですので、その4倍以上の規模になります。東京ドーム約9個分の巨大なショッピングモールです。海寧市以外の「銀泰城」も巨大な規模で、どこも最低10万㎡以上はあります。2015年開業予定のハルビン市(黒竜江省)の「銀泰城」は232万㎡と言われています。

2.めずらしい巨大な入り口の扉

巨大な入り口の扉!

この超巨大なショッピングモールですが、問題はお客さんがほとんどいないことです。かなり致命的な問題です。総人口81万人の小さな街に、あまりにも巨大なショッピングモールを建設してしまったのです。

しかも海寧市は街自体の面積は小さいわけではなく、総面積は東京23区(約621k㎡)の合計とほぼ同じ大きさです。人口密度もそれほど多くないところに、超巨大なショッピングモールを建設してしまったのです。

(写真2)高さ7メートルはある巨大な入り口の扉(海寧市の銀泰城)

(写真2)高さ7メートルはある巨大な入り口の扉(海寧市の銀泰城)

この「銀泰城」の入り口は、ショッピングモールの規模に相当するような超巨大な扉が設置されています。だいたい高さ7メートルくらいはあります。

この巨大な扉は利用しにくい!

超巨大な扉は気軽に開け閉めができるわけではありません。開けたままにしているとショッピングモール内の空調管理が難しくなるのでしょうか、超巨大な扉の近くに実際に利用するための入り口が設置されています。

(写真3)立派な入り口の扉は利用されていない

(写真3)立派な入り口の扉は利用されていない

3.来場客が少ないショッピングモール

巨大すぎた「銀泰城」

公表されているデータによると、20億元(約400億円)を投資して建設されたショッピングモールですので、そのモール内はとても豪華で立派なつくりになっています。ただし、お客さんが少ないのが問題です。テナント募集にも手こずっているようで、ショッピングモールの中心部にはモールの雰囲気にマッチしていないマクドナルドやケンタッキーなどが出店しています。

(写真4)ほとんど歩いている人がいない「銀泰城」ショッピングモール

(写真4)ほとんど歩いている人がいない「銀泰城」ショッピングモール

さみしいショッピングモール

ショッピングモール内はどこにいってもさみしい様子です。そもそも、海寧市内は街中も人通りはそれほど多くありません。この海寧の「銀泰城」には最大3,000台を収容できる地下駐車場があるようですが、ほとんど利用されていないでしょう。

(写真5)向こう側が見えないほど広い「銀泰城」、お客さんは少ない

(写真5)向こう側が見えないほど広い「銀泰城」、お客さんは少ない

中国ブランド店の出店が多い!

このショッピングモールには、有名ブランドよりも中国ブランドのテナントのほうが圧倒的に多いです。

(写真6)中国ブランドの店舗が多い(海寧の銀泰城のモール内)

(写真6)中国ブランドの店舗が多い(海寧の銀泰城のモール内)

4.ショッピングモール、商業ビルの苦戦

スターバックスも集客できていない

この「銀泰城」にはスターバックスコーヒーも出店しています。海寧市内で唯一のスターバックスです。上海では不人気のショッピングモールであっても、スターバックスだけはお客さんの集客が上手くいっているケースが見られます。残念ながら、この「銀泰城」ではスターバックスもかなり苦戦しているようで、広い店舗にお客さんはほとんどいませんでした。

(写真7)お客さんがほとんどいない寂しいスターバックス(海寧市の銀泰城)

(写真7)お客さんがほとんどいない寂しいスターバックス(海寧市の銀泰城)

中国のスターバックス
中国のスターバックスは1999年1月、北京の国際貿易センターに1号店をオープン。中国本土の60以上の都市で1,000店舗以上を展開している。なお、日本のスターバックスは1,034店舗(2014年3月末時点)。

空き物件も少なくない!

これまでスゴい勢いで中国経済は成長し、中国人全体の平均収入は右肩あがりに増えてきました。このような経済状況のなかで中国人の所得水準も向上し、不動産開発業者はショッピングモールや商業ビルの建設を続けてきました。

最近では成功しているショッピングモールや商業ビルもあるものの、お客さんがほとんどいない苦戦している施設を見ることも少なくありません。上海では住宅マンションの販売は順調ですが、商業ビルのオフィス物件の販売は苦戦しているようです。上海市の不動産取引センター(上海市房地産交易中心)のホームページで空き物件の情報が見れますが、売れ残りのオフィス物件は少なくありません。(了)

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