中国で外国人はどのホテルでも宿泊できるのだろうか?
中国で外国人という理由でホテルの宿泊拒否を受けたことはないだろうか?これまでホテルの従業員が外国人宿泊の手続き方法を知らないから宿泊できないと考えていたが、地域によっては公安機関の行政指導も影響しているようだ。
1.変化のはげしいホテル事情
以前はあった「外国人対応ホテル」
中国の地方都市に行ったとき、ときどき外国人だからという理由で宿泊を断られることがある。だいたい200元(約4,000円)以下のホテルで遭遇してしまう事態だ。宿泊しようと思っていたホテルに泊まれないと、大きな荷物をもって近くのホテルを探さなければならない。なぜ外国人という理由で宿泊できないのだろうか?
じつは中国の宿泊施設では1999年ごろまでは、旅遊局などの政府部門から認定資格を受けていないホテルは外国人を宿泊させることができなかった。この外国人を宿泊させることができる資格をもったホテルは渉外飯店や渉外賓館とよばれていた。
実際に外国人用ホテルの星級(スターランク)を認定するための、「中華人民共和国評定旅遊渉外飯店星級規定」(1998年5月施行)という法律も公布されている。
2.地方で対応に違いも
現在はどのホテルでも外国人宿泊可能?
現在は表向きは渉外飯店(外国人が宿泊可能なホテル)という資格はなくなっている。ホテル業の基本的なことを定めている「旅館業治安管理弁法」(2011年1月改訂)でも、渉外飯店(ホテル)については全く記載されていない。
ただし、地域によっては対応が異なっていることも考えれるだろう。新疆ウイグル自治区のある地方都市では2008年時点で渉外賓館(ホテル)に関する審査方法を公表している。特定の地域、地区、そして地方の公安当局が独自に過去の制度を継続している可能性もあるだろう。
3.ホテル独自の対応?
漢庭酒店では中国人のみのホテルも多い
大手格安ホテルチェーンの漢庭酒店では、インターネット上の公式予約サイトで内賓(中国人宿泊客)のみと明記しているところも少なくない。
この漢庭酒店を運営している華住酒店集団のサービスセンターに電話すると、「これらのホテル店舗は外国人を宿泊させる認可を取得できていないため、宿泊客を中国人だけに限定している。」という回答だった。
- 格安ホテル大手の漢庭酒店とは?
- 漢庭酒店は、華住酒店集団(グループ)に属する格安ホテルチェーン。2014年9月末時点で1,547店舗。華住酒店集団は2005年設立。創業者の季琦は、1回目の起業で旅行予約サイトの携程旅行網を創業。じつは同業の大手格安ホテルチェーンの如家快捷酒店も季琦が2回目の起業として創業している。漢庭酒店は季琦にとって3度目の起業。
法律がなくても公安機関の行政指導?!
漢庭酒店では、浙江省温州市だけでなく、上海市、福建省など全国的に内賓(中国人)だけに宿泊客を限定しているところが多い。温州市の漢庭酒店のマネージャーになぜ外国人は宿泊できないか聞いてみると、「公安当局から外国人宿泊の許可を得れていないから。中国の身分証をもっていない香港・マカオ籍の中国人も宿泊できない。宿泊させてしまうと罰金を支払わないといけない。」との回答。
最近は円安が進んでいて、200元(約4,000円)前後で良質な宿泊施設を提供してくれる漢庭酒店に宿泊できないのは残念。7天連鎖酒店や如家快捷酒店よりも落ち着いた客室であり、ゴールド会員カードを入手すると無料で朝食を食べれるのも大きい。(了)