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訪日外国旅行客トップは韓国人、でも繁華街は中国対応の理由!?

アベノミクスによる日本円安がはじまってから日本を訪れる外国人が大幅に増えている。日本政府観光局(JNTO)の統計データをみると、国別トップは韓国人であるものの、東京や大阪の繁華街では中国人向けの宣伝が多い。その理由とは?

1.日本の繁華街は訪日外国人対応モード

やはり日本円安の影響で中国よりも割安に!

東京の銀座、秋葉原などでは訪日外国人でいっぱいだ。中国で生活している日本人が一時帰国すると、日本円安の影響で中国よりも日本のほうがモノの価格が安いと感じることも増えてきている。中国で法律に則って販売されているモノであれば17%の増値税(日本の消費税に相当)が発生するが、日本では消費増税された後も8%と中国よりも税率は低い。

さらに、訪日外国人は2014年10月からは化粧品、食料品などの消耗品も含めて8%の消費税を免税で購入することができるようになった。それまでは家電製品、衣服、カバンなどの一般物品に免税対象は限定されていた。ちなみに、消耗品であれば1店舗で1日あたり合計5千円~50万円までが免税で、一般物品であれば1店舗で1日あたり合計1万円以上のモノを免税で購入することができる。

(写真1)訪日外国人に大人気のドラッグストア、免税を全面に(スギ薬局)

(写真1)訪日外国人に大人気のドラッグストア、免税を全面に(スギ薬局)

中国の増値税
中国の店頭価格(小売り)には、増値税という税金が17%含まれる。中国の増値税は、日本の消費税に相当する。小規模企業であれば3%、一部の業種では低税率の13%と、日本と異なり税率は全て一律というわけではない。

出国日本人数を超えた訪日外国人数!

日本政府観光局(JNTO)の公表資料によると、2015年1月~3月までを合計した訪日外国人数は413万人(前年1月~3月:287万人)。いっぽう、同期間に外国に出国した日本人は合計403万人(同:426万人)となり、すでに外国人が日本を訪れる数のほうが多い。

ちなみに、2014年度で見ると訪日外国人数は1,341万人(前年:1,036万人)、出国日本人数は1,690万人(同:1,747万人)となり、外国を訪れる日本人のほうが多かったが、今年1月~3月で逆転してしまった。日本円安の影響で訪日外国人が増えている一方で、海外旅行を円安により割高に感じて行かなくなった日本人が増えているとも言える。もし、年度ベースで訪日外国人数が上回ると、1970年(昭和45年)ぶりの事態だ。

(写真2)ユニクロでも免税を大々的に宣伝、銀座店は中国人であふれる

(写真2)ユニクロでも免税を大々的に宣伝、銀座店は中国人であふれる

2.家電量販店は訪日外国人であふれる!

なぜか目立つ中国人対応モードの家電量販店!

訪日外国人が増えていることは統計データでも、街なかの様子からでも明らかであるが、気になるのは免税対応店舗の中国語対応。じつは2015年1月~3月の国別の訪日外国人数をみるとトップは韓国人の95万人(前年同期:68万人)。中国人ではない。ところが、家電量販店、ドラッグストアなどでは中国語の免税(Tax-Free)の告知が目立つ。

その理由は、2015年1月~3月の中国本土からの訪日客は92万人(同:48万人)であるが、台湾77万人(同:60万人)、香港31万人(同:19万人)の中華圏として合計すると200万人(同:127万人)となり、訪日外国人の約半数を占めているからだ。さらに、中国本土からの旅行者のショッピングの利用額がほかの旅行者よりも大幅に高いと言われている。

(写真3)免税に加えて銀聯カード(銀行デビットカード)で5%優遇(ヨドバシ)

(写真3)免税に加えて銀聯カード(銀行デビットカード)で5%優遇(ヨドバシ)

15万円超の電気炊飯器も!?ただし、220V仕様(中国用)

ヨドバシカメラ(秋葉原店)を見ると、中国本土用の220V(電圧)の家電製品がたくさん販売されている。炊飯器は5万円~15万円の価格帯のモノが売られている。日本人で5万円の炊飯器を使っている人はどのくらいいるだろうか?

それらの製品はもちろん日本製(Made in Japan)。日本で購入した製品が中国製とならないように家電メーカーや量販店は注意している。日本のAmazon(アマゾン)で販売されている炊飯器の人気ランキング1位~10位を見ると、5,800円~28,000円の商品が並んでいる。

(写真4)パナソニックの高級炊飯器(15万円)(ヨドバシカメラ秋葉原店)

(写真4)パナソニックの高級炊飯器(15万円)(ヨドバシカメラ秋葉原店)

ステンレス製の水筒は1,700円~2,500円

ヨドバシカメラ(秋葉原店)やビックカメラ(有楽町店)では、中国人旅行客を対象に専用コーナーを設けて炊飯器、温水洗浄便座、ステンレス製水筒、高級時計などを販売している。ステンレス製水筒は2,000円前後で販売されていて、旅行のおみやげとして購入しやすい価格なのだろう。

(写真5)中国人は水筒を持ち運ぶ文化を持つ、タイガーの水筒が人気

(写真5)中国人は水筒を持ち運ぶ文化を持つ、タイガーの水筒が人気

本当に温水洗浄便座は売れているのか?

中国や日本の報道を見ていると、ウォシュレット(TOTO)やシャワートイレ(LIXIL)の温水洗浄便座が中国人旅行客に大人気と報じられている。しかしながら、いまのところ中国で温水洗浄便座を見かけることはゼロに近い。訪日旅行者のあいだで本当に売れているのだろうか?

(写真6)温水洗浄便座も電圧の違いにより海外版(中国用)が販売されている

(写真6)温水洗浄便座も電圧の違いにより海外版(中国用)が販売されている

温水洗浄便座に関しては、日本で購入したパナソニック製のものが杭州で製造されたものだったと中国で大きく報じられていた(新聞晨報「日本で温水洗浄便座の購入、背景にある誤解とチャンス」2015年3月9日付)。この報道記事によると、パナソニックで温水洗浄便座を製造しているのは世界中で杭州工場のみ。そのため、日本でパナソニック製を購入するとすべて中国製となる。

そもそも、パナソニックの温水洗浄便座は日本と中国の電圧の違いだけでなく、水質の違いによるフィルター機能なども中国市場向けと日本市場向けで区分している。日本のほうが少しだけ販売価格は安いものの、あくまでも日本市場向けのため中国での使用は想定されていない。海外で家電製品を購入するときは、アフターサービス含めて注意が必要だ。(了)

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