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中国賃貸マンションで仮押えキャンセルしたら「予約金」どうなる?

中国で気に入ったマンションがあり、賃貸契約を締結するまでに少し時間がかかる場合、物件をおさえるために「定金」や「意向金」などとよばれる予約金が必要になります。万一、この予約をキャンセルしたら予約金は返金されるでしょうか?

1.中国の賃貸物件の仮押えキャンセル

そもそも日本ではどうなる?

日本でアパートを探す場合、気に入った物件を見つけてから実際に正式契約するまでに少しタイムラグが発生します。そのような場合、日本では「申込金」「予約金」「預り金」「内金」という名目の「仮押えしておいてください」というお金を支払うことが一般的です。

日本でアパートを借りる場合、家主が入居希望者の提出した「入居申込書」をチェックする入居審査や、宅地建物取引主任者からの重要事項説明(賃貸のための重要な説明)が行われます。日本でこれらが行われる前にキャンセルした場合、仮押えとして支払った「申込金」や「予約金」などのお金は全額返還されます。

中国ではどうなのか?

中国で仮押え物件をキャンセルした場合、その「予約金」は返還されるのでしょうか?中国では仮押えのための「予約金」を支払うときの約束次第です。あとでモメないように中国で「定金」「訂金」「意向金」という名称の仮押え金を支払う場合、しっかりと書面で返金の有無などを確認することにしましょう。

ただし、中国では慣習として賃貸物件の仮押え時の「予約金」に相当するお金は返金されないケースが多いです。このような慣習はありますが、中国の「予約金」について定めている担保法の条項を理解しておくとよいでしょう。

2.中国では「定金」と「訂金」は異なる!

中国の担保法で「定金」を理解する!

中国で不動産売買や賃貸取引のとき、「定金」、「訂金」「意向金」という名称の仮押えのためのお金を支払う場合があります。この「定金」というのは法律用語であり、中国の担保法で定められています。この担保法の第89条には次のように記載されています。

担保法の第89条)当事者は一方が取引相手に対して債権(賃貸では家主)の担保として定金を支払うことを約束できる。債務者(賃貸では借り主)は債務を履行したら、(家主は)定金を価格から差し引くか、返金しなければならない。

定金を支払った一方が債務を履行しなかったら、定金の返還を要求する権利を失う。定金を受け取った一方が債務を履行しなかった場合、定金の2倍を返金する。

担保法という法律の文章のため理解しにくい内容ですが、「定金」という内容の仮押え金であれば、借り主がキャンセルした場合は「定金」は戻ってきません。反対に、家主のほうからキャンセルした場合は、「定金」を倍額で返金することになっています。

そして、この定金である「予約金」であれば書面の約束(契約)が必要になります(担保法の第90条)。この「定金」の金額は、契約額の20%を超えてはいけないと決められています。

「定金」と「訂金」、そして「意向金」の違い

いっぽうで中国での「訂金」は前払金というような位置づけです。この「訂金」は法律用語ではありませんし、担保という役割がありません。そのため、前払金である「訂金」であれば、仮押えをキャンセルしても返金されます。反対に、家主の都合でキャンセルされても2倍返しはありません。

「意向金」という言葉も聞きますが、これはどのようなものでしょうか?この「意向金」は中国の不動産業界で使われている「訂金」に相当します。中国の不動産業界で耳にする「意向金」は、一般的に使われている「訂金」と考えると良いでしょう。

ただし、中国人のなかでも「定金」と「訂金」(「意向金」)の違いを理解していない人が多いので、賃貸契約前に仮押え金を支払う場合は返還の有無や2倍返しの有無を書面で確認しておくことが重要です。

たとえ、「訂金」と記載されていても、担保法で保護されている「定金」と考えている中国人は少なくありません。(了)

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