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中国の諮問機関と言われる政治協商会議、どんな機関なのか?

中国の政治協商会議とは、どのような組織(機関)なのだろうか?日本人でこの政治協商会議を理解している人はそれほど多くないだろう。中国の近現代の歴史の流れをしっかり見ないと、政治協商会議がなぜ中国に存在するか理解できない。

1.中国の政治協商会議とは?

政治協商会議ができた経緯は?

中国には政治協商会議という組織・仕組みがある。正式名称は全国人民政治協商会議というものだ。いったいどのような組織なのだろうか?この政治協商会議を理解するには、中華人民共和国(1949年10月成立)の建国直前の状況を理解しなければならない。

1949年10月1日に中華人民共和国が建国されたとき、中華人民共和国は「中華人民共和国中央人民政府組織法」(1949年9月27日制定)という法律にもとづいて建国されている。毛沢東ひとりで中華人民共和国の建国を決めたわけではなく、一連の手続きをしっかりと行っている。中華人民共和国を建国するためには、この法律を成立させる必要があり、国会(議会)に相当するところで「組織法」が審議されなければならなかった。

中華人民共和国の建国時の重要な役割を担った!

当時、その国会(議会)の役割をになったのが中国人民政治協商会議の第一回全体会議(1949年9月21日~30日)だった。この政治協商会議の準備委員長に毛沢東が就き、中国共産党だけでなく、ほかの政治団体、業界団体など合計662人が参加したのが中国人民政治協商会議の第一回全体会議、この政治協商会議のはじまりだ。

この組織法の第3条で「普通選挙による全国人民代表大会が開催されるまで、中国人民政治協商会議の全体会議が全国人民代表大会の職権を執行する。」と明記されている。中国人民政治協商会議は、中国の国会に相当する全国人民代表大会が開催されるまでの代理的な国会(議会)の役割を担っていた。

この中国人民政治協商会議の第一回全体会議(1949年9月21日~30日)のときに、現在の中国の国家、国旗なども制定されている。

2.全国人民代表大会の開催後

全国人民代表大会が開催されてからの位置づけ

国会(議会)に相当する第1期全国人民代表大会第一回会議(1954年9月15日~9月28日)が北京市で開催されている。これ以降、政治協商会議は中華人民共和国の政治を助言をする組織として活動している。法律的には立法機関(議会)でも行政機関(内閣)でもなく、一般的に諮問機関(助言機関)と言われている。

ただし、日本人にとっては中国の政治協商会議を日本の参議院(いわゆる上院)と考えるとわかりやすいだろう。参議院だけで法律を制定することはできず、参議院が法案を拒否しても衆議院の賛成多数で法案を通すことができる。中国の全国人民代表大会が日本の衆議院と考えるとわかりやすい。

日本の参議院とは?
日本の参議院は、衆議院と異なる選挙で国民から選ばれ、幅広い国民の意見が政治に反映されることを期待されている。二院制の上院議会にあたる。内閣総理大臣の指名、国家予算の議決、条約の承認など衆議院(下院)に優越的な権利が与えられている。参議院で否決された法案も、衆議院で3分の2以上の可決で法律が制定される。

政治協商会議が愛国統一戦線と言われる理由は?

この政治協商会議は、中国の愛国統一戦線の組織とも言われている。愛国統一戦線とはいったい何だろうか?愛国統一戦線とは1949年ごろから国民党(中華民国政府)に対して共闘している中国共産党、ほかの政治政党、社会団体を含んだ政治同盟を指している。1949年9月に中国人民政治協商会議の第一回全体会議が開催されたときは、中国共産党だけでなく、これらの団体も662人の出席者に含まれている。

中国は中国共産党の指導のもとで、中国に8つある政治政党や業界団体と協力しながら政治を行っていくことを基本方針にしている。このことは中国の憲法の序文(まえがき)に「中国人民政治協商会議は幅広い代表的な統一戦線組織であり、(中略)、国家の統一や団結の闘争のなかで、さらに重要な役割を発揮する。中国共産党の指導のもとの多党協力と政治協商制度は長期的に存在し発展していく。」と明記されている。

中国の民主主義を反映させる手段のひとつとして、愛国統一戦線の意見を反映させる必要があり、その役割を政治協商会議が担っているというわけだ。もう少しわかりやすくまとめると、中国の政治協商会議は議会(国会)ではないものの、日本の参議院と同じように、さまざまな人たちの意見を政治に反映させる役割を担っていると言えるだろう。

3.政治協商会議の仕組み

現在の政治協商会議の参加者は?

現在、政治協商会議は全国委員会と地方委員会に大きく分けられる。省、自治区、直轄市やその下にある地方政府でも政治協商会議は開催されている。どのような人が代表に選ばれているのだろうか?政治協商会議は中国共産党の党員だけでなく、中国に8つある民主政党の党員、無党派層、業界団体、少数民族、香港、マカオ、台湾などのさまざまな人が代表(委員)に選ばれている。

政治協商会議(全国委員会)の代表(委員)の任期は5年間。第11期(2008年~2013年)、第12期(2013年~2017年)は合計2,237人の代表(委員)が選ばれている。全国人民代表大会の定員3,000人よりも数百人ほど少ない。

中国の民主政党
中国の民主政党は、中国国民党革命委員会(党員:約10万人)、中国民主同盟(約16万人)、中国民主建国会(約13万人)、中国民主促進会(約13万人)、中国農工民主党(約13万人)、中国致公党(約4万人)、九三学社(約12万人)、台湾民主自治同盟(数千人)の8つの政治政党を指す。なお、2014年末時点の中国共産党の党員は8,779万人。

政治協商会議の具体的な役割は?

政治協商会議は国家や地方政府の重要な政治、経済、文化、社会問題に関する決定をする前に、その法律や問題を議論している。まさに国家や地方政府の助言機関として存在している。このような議論の場で、各業界の視点より人民の意見を政治に反映させていく役割を担っている。

政治協商会議、どこで開催されている?

政治協商会議全国委員会は毎年1回、全体会議が開催されている。基本的に中国の春節(旧正月)明けの1月~3月のあいだに開催される。同じ時期に全国人民代表大会(全人代)も開催されており、政治協商会議とあわせて「両会」と言われている。開催場所は北京の人民大会堂だ。

政治協商会議の全国委員会の代表(委員)は2000人以上おり、全体会議は年1回しか開催されないため、日常的な運営は常務委員会が行っている。(了)

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