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日本の小さな経常黒字、中国の大きな経常黒字(2)

(前回まで)
「日本の小さな経常黒字、中国の大きな経常黒字(1)

2.日本と中国の経常収支の内訳(2013年)

貿易収支

小学校の社会科の授業で、日本は貿易立国であり、貿易取引で外国から外貨を稼いでいると教えてもらった記憶がある。しかし、2013年の数値をみると、日本は10.6兆円の貿易赤字。一方、中国は35.1兆円も貿易黒字を確保していた。日本が貿易で稼げないなか、中国は儲けていたのだ。

<2013年:経常収支の内訳>
日本               中国
貿易収支          : △ 10.6兆円    35.1兆円
サービス収支    :  △  1.6兆円   △11.9兆円
所得収支          :   16.5兆円  △ 4.0兆円
経常移転収支    :   △ 0.9兆円  △ 0.8兆円
———————————————————————-
合計                :    3.3兆円   18.4兆円

(出所)財務省(2014年2月10日発表資料)、中国国家外貨管理局

サービス収支

中国のサービス収支は11.9兆円の大きな赤字。サービス収支の赤字は、豊かになった中国人の海外旅行の需要が主なマイナスの要因だ。中国から海外への旅行は、12.6兆円のマイナス要因(資金流出)。世界のほとんどの観光地で中国人を見かけるのも数字から納得できる。日本の国内から海外への旅行は、2.4兆円のマイナス要因と中国の5分の1にとどまる。

所得収支

日本は16.5兆円の所得収支の黒字がなかったら、大きな経常赤字となっている。所得収支の内容は、投資先からの配当金や利息だ。日本は16.5兆円も所得収支が黒字なので、海外から受け取る配当金や利息のほうが支払う額より大きい。それらの配当金や利息は、海外で活躍している日本企業から日本国内に送金されたもの、と思い込んでいた。

しかし、その内訳を見ると、証券投資収益(議決権10%未満の証券投資、外国の国債などの債権投資ほか)が10.5兆円の黒字。日本企業の海外子会社が含まれる直接投資収益(議決権10%以上の投資)は5.3兆円の黒字で証券投資収益のおおよそ半分。つまり、日本の外貨を最も稼いでいるのは、純粋な金融投資による配当や利息だったのだ。

日本は何で海外から稼いでいるか?
海外子会社から親会社(日本)に特許権使用料や技術使用料(いずれもサービス収支)が送金されているが、それも1.3兆円の黒字額にとどまっている。直接投資収益(所得収支)の5.3兆円とあわせると6.6兆円、やはり、証券投資収益の10.5兆円に及ばない。

(了)

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