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中国・上海でのローカル病院での診療、メリットとデメリット!

中国で生活する日本人のなかで、ローカル病院を利用している人はそれほど多くないはずだ。北京、上海、広州などの大都市であれば、日本人向けのクリニックがたくさんあるため、ローカル病院を利用したことがある人はさらに少ないはずだ。

1.日本人向けクリニックとローカル病院

海外旅行保険を使い過ぎると契約更新できない!

中国に長期滞在している人にとって欠かせない病気やケガを診てもらう病院。おそらく、ほとんどの日本人長期滞在者は日本人向けのクリニックを利用しているはずだ。日本人向けのクリニックはローカル病院にくらべて格段に豪華・清潔感があるし、海外旅行保険があればキャッシュレスで精算可能だ。なにより、日本語を話せるスタッフ(通訳)がいることが一番大きなメリットだ。

しかしながら、海外旅行保険の契約期間中に利用しすぎると、次回以降に保険更新ができないという悲劇が発生することもある。そう、日本人向けクリニックはビックリするほど高額だ。

キャッシュレスの支払い同意にサインするときに金額欄をみると、風邪の診察・薬だけで2,000元~3,000元(約3.4万円~5.0万円)というケースもめずらしくない。やけに処方する薬が多いと感じたことはないだろうか?また、基本的に高血圧や皮膚病などの慢性的な治療はできないことになっている。

(写真1)中国のローカル病院、門診(一般の診療)と書かれた受付

(写真1)中国のローカル病院、門診(一般の診療)と書かれた受付

中国のローカル病院は医療保険なしで診察料たった13元!

外国人でも中国のローカル病院での受診は可能だ。中国には医療保険があるものの、ほとんどの日本人は中国の医療保険に加入していないだろう。そのため、ローカル病院では医療保険なしで受診することになるが、日本人向けクリニックにくらべると驚くほど安い。日本の病院での診察料(自己負担分)とくらべても高くはない。

中国には一級(低い)~三級(高い)まで病院ランクが付けられており、そのランクによって診察料は異なる。一般診療(普通の診療)であれば7元~15元くらいだ。ある上海の二級病院では、医療保険なしで診察料13元。医療保険があれば保険負担10元、自己負担3元で、自分が負担するのは3元だけだ。医療保険がない日本人は13元すべて負担することになる。

(写真2)病院に貼られている受診料金、役所が決めている

(写真2)病院に貼られている受診料金、役所が決めている

中国の病院ランク
中国は「医院分級管理弁法」(1983年施行)により各病院の等級(ランク)を決めている。一級(低い)~三級(高い)まであり、その級別のなかに甲乙丙の3ランクが設定されている。三級にはさらに「特等」というランクがある。中国のすべての病院はこれら10ランクに所属している。

2.理解するとわかりやすい中国の病院システム

中国では挂号(診療受付)からスタート!

中国のローカル病院にいくと、まず挂号(診療受付)を行う。はじめて受診する人もここで診察券やカルテをつくってもらう。このとき、どのような症状か話して、診察したい治療科の診療登録をしてもらう。

ここで診察料を支払った上で、希望する治療科まで自分で移動する。なお、診察券やカルテを作ってもらうとき、身分証明書が必要な場合もあるのでパスポートを持っていったほうがよい(不要な病院もある)。

(写真3)中国のローカル病院では診療受付・支払いをおこなう

(写真3)中国のローカル病院では診療受付・支払いをおこなう

病院のカルテは自分で保管・管理!

日本と異なり、病院のカルテは自分で保管する。次回、病院にきたときにはカルテをもっていく。

(写真4)自分のカルテをなくさないように!

(写真4)自分のカルテをなくさないように!

診療後に再度、支払いに!

挂号(診療受付)のあとは診療だ。お医者さんに見てもらって薬を処方されることもあるだろうし、更なる検査(超音波、レントゲン、血液検査など)が必要なこともあるだろう。日本と異なり、更なる検査の場合は一旦、支払いをしなければならない。支払証明書をもらった上で、つぎの検査に進むことになる。

そのため、病院内を行ったり来たりする必要がでてくる。ここが日本の病院とは異なるし、日本人向けのクリニックとも異なる。ただし、中国のローカル病院は薬も検査もそれほど高くないのでコスト面では心配することはないだろう。

(写真5)病院内にあった診療の流れ(上海市)

(写真5)病院内にあった診療の流れ(上海市)

海外旅行保険は万一のために!

大手企業から中国に派遣されている場合は、会社と保険会社の包括契約のため、海外旅行保険を使い過ぎても契約更新を断られるケースは少ないはずだ。いっぽう、自分自身で海外旅行保険に加入しなければならない人は、保険料の使い過ぎに注意したほうがいい。

あくまでも、海外旅行保険は中国で大きな病気にかかったり、事故にあったときに手厚い補償を受けれるために残しておいた方がいいだろう。さらに、日本人向けのクリニックが自宅から遠い場合は病院にいくだけでも大変だ。

自宅から徒歩圏内にローカルのしっかりした病院がないか確認しておいた方がいいだろう。二級病院以上なら24時間の救急にも対応しているケースも少なくない。また、ローカル病院は待ち時間が長いという情報もあるが、大型病院(三級病院)でなければ意外なほど待ち時間なく受診できるはずだ。

ただ、ひとつだけ心配なのはローカル病院では日本語が通じないこと。まったく、中国語が話せない人は残念ながらローカル病院の日常的な利用はむずかしい。(了)

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