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中国の宅建、不動産仲介に必要な房地産経紀人資格とは何か?

日本では不動産取引の専門資格として「宅建」があります。じつは中国にも「宅建」に相当する「房地産経紀人従業資格」というモノが存在します。ただし、2014年8月にこの資格が取り消されると発表され、今後の動向が注目されています。

1.中国の不動産仲介に必要な資格

中国の不動産情報の向上を目指して

日本には不動産売買や賃貸の契約に関して、正しい情報を伝える宅地建物取引主任者という不動産取引の専門家がいます。その資格の名称は略称として「宅建(たっけん)」と言われています。じつは中国にも日本の宅建と同じような不動産取引の資格があります。

宅地建物取引主任者とは?
宅地建物取引主任者は不動産売買や賃貸の国家資格。1958年より資格制度スタート。不動産取引の契約締結時に、宅地建物取引主任者は重要事項説明書の説明を行う独占業務を負っている。2015年4月からは法律改正により「宅地建物取引士」に名称変更される見込み。

2002年12月にスタートした資格制度

この中国版の宅建資格は、房地産経紀人従業資格と房地産経紀人協理従業資格という2つの資格があります。房地産経紀人従業資格のほうが協理従業資格よりも上位の資格になります。この資格制度は2002年10月、中華人民共和国人事部と建設部がスタートした資格制度です。

中華人民共和国人事部とは?
中華人民共和国人事部は、現在の中華人民共和国人力資源和社会保障部。2008年3月31日に人事部と労働和社会保障部が合併しており、現在は人事部としては存在していない。公務員管理の制度などを主管していた政府部門。日本の人事院に相当する。
中華人民共和国建設部とは?
中華人民共和国建設部は、現在の中華人民共和国住房和城郷建設部。2008年3月15日に建設部から名称変更されている。住房和城郷建設部は、都市計画や住宅制度、不動産市場のルール化などを主管している。日本の国土交通省の一部の機能に相当する。

初級資格である房地産経紀人協理の資格試験は、全国で統一された試験方針のもとで各省(自治区、直轄市)が試験内容を作成しています。いっぽう、その上位資格である房地産経紀人のほうは、全国で統一された試験内容になっています。中国で不動産仲介会社である房地産経紀公司を開設するには、房地産経紀人資格が必要になります。

2.中国の不動産業界で働くには必須の資格

不動産業界で必須の房地産経紀人協理

中国で不動産仲介の業務を行うには、不動産取引の初級資格である房地産経紀人協理資格が必要になります。「房地産経紀人員職業資格制度暫定規定」(2001年12月公布)の第3条で定められています。

(写真1)不動産仲介会社には資格保有者の証書が飾られている

(写真1)不動産仲介会社には資格保有者の証書が飾られている

この試験を受験するには、高校段階(日本の高等学校相当)以上の学歴が必要です。この試験に合格すると「房地産経紀人協理従業資格証」を取得することができます。この資格証は全国で有効というわけではなく、試験に参加した行政地域のみで有効になります。

不動産仲介会社を開業するには房地産経紀人資格が必要

もうひとつの資格は房地産経紀人資格です。この資格がなければ、中国で不動産仲介事業を行うことができません。この資格を受験するためには、房地産経紀人協理に合格している上で、一定の不動産仲介での経験年数と大学専科(大専)以上の学歴が必要になります。

この房地産経紀人資格は中国全土で有効です。「房地産経紀人員職業資格制度暫定規定」の第32条によると、外国人でも資格試験を受験することが可能です。試験科目は4つあります。「房地産基本制度政策」「房地産経紀相関知識」「房地産経紀概論」「房地産経紀実務」。1科目の試験時間は2時間半で、2日間連続で行われる本格的な資格試験になっています。

3.房地産経紀管理弁法という法律

中国の不動産仲介について定めた法律

中国では不動産売買や賃貸が積極的におこなわれています。その仲介役をつとめる不動産仲介会社に対しては、2011年4月から房地産経紀管理弁法という法律が施行されています。この法律の第2条で「中華人民共和国の国内で不動産ブローカー活動を行うならば、この法律を守らなければならない」と明記されています。

この房地産経紀管理弁法の第10条において、房地産経紀人と房地産経紀人協理の資格試験について定めています。原則として年1回は試験を実施しなければならないと定められています。

ただし、房地産経紀人資格は取り消される方向か?

これまで運用されてきた房地産経紀人資格ですが、2014年8月の国務院による「关于取消和调整一批行政审批项目等事项的决定」という決定(規定)が発表されています。この決定(規定)によって房地産経紀人資格という職業資格は不要になりました。

ただし、まだ地方政府の実務が追いついていないようで、上海市で不動産仲介業界を主管している上海市住房保証和房屋管理局では引き続き「房地産経紀人」の登記を行っています。房地産経紀人資格という職業資格がなくなってしまいましたが、もともと不動産仲介会社の営業している人は資格を持っていない人が多かったように思います。

2014年8月14日付の半島晨報「大連房地産経紀人2万人超、『国家資格』の保有者はたった3%」によると、遼寧省の大連市では不動産仲介会社で働いている約2万人のうち、709人しか房地産経紀人資格を持っていないと報道されています。大連市房地産経紀人協会によると、2005年から協会が率先して研修と試験を行い、「大連市房地産経紀人従業資格」という地方資格を発行しています。1週間の研修を受けると、この試験の合格率は90%ほどになっているようです。(了)

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