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中国でアパート退去前に部屋の見学を求められたら?

中国で賃貸しているアパートの契約満了日が近づいてきたとき、大家さんから「賃貸希望者に部屋を見学させてほしい」と言われたら部屋を見せないといけないでしょうか?日本と中国の商習慣の違いが発生する事例であり注意が必要です。

1.中国では入居中でも室内見学可能

部屋を見てもいいんですか?

中国で賃貸マンションを探したことがある人は、賃貸中(だれかが賃借している)の部屋を見にいったことはありませんか?日本で賃貸中の部屋であれば、その賃貸契約が満了して、部屋が空っぽになってから見学することが一般的です。いっぽう、中国ではまだ入居中のアパートであっても見学することが可能です。

もし大家さんから見学を求められたら?

いま住んでいる賃貸マンションから退去日が決まっている場合、物件オーナーである大家さんから「次の入居予定者が見学にくるので部屋を見せて下さい」と言われたら中国では対応しないといけないのでしょうか?中国の法律ではどのようになっているのでしょうか?

2.中国の契約法のあいまいな記載

中国の取引習慣により協力が必要?!

中国では慣習として賃貸マンションの退去前でも部屋を見せることになっています。これは契約法(合同法)の第60条において「当事者は誠実な信用原則を遵守しなければならない。契約の性質、目的と取引習慣にもとづき、通知、協力、守秘などの義務を履行する」と明記されています。

中国の契約法(合同法)とは?
中国の契約法(合同法)は、贈与、賃貸、金銭契約、請負など広範囲の契約について規定している法律。1999年10月より施行。中国の契約に関する基本的なことを定めている。

とても曖昧な記載ですが、この条文の「取引習慣、協力」などにより物件オーナーの経済的な損失回避に協力することが必要だと中国では解釈されています。賃貸物件の入居者が退去してから新しい入居者を探すと、未入居期間がかならず発生してしまいます。「その経済的な損失回避に退去予定者は協力すべきだ」と中国では解釈されています。

借り主の同意は必須!

借り主は大家さんの要求に応じて、賃貸中であっても新しい賃貸希望者の部屋の見学に応えなくてはなりません。ただし、大家さんが借り主の同意なしに勝手に部屋を見せることは認めらていません。借り主は賃貸契約により独占的な使用権を得ており、賃貸マンションの所有者である大家さんでも「勝手に」その使用権を侵害することはできないとされています。

どうしても退去まで他人に部屋を見られたくない場合は、賃貸契約を締結するときに条項を入れておきましょう。「契約期限到来まえであれば、いかなる場合も他人に部屋を見せない」というような条項を入れて、大家さんの誤解がないように事前にしっかり合意しておきましょう。

日本では入居者のプライバシーの保護など考えられますが、中国と日本では慣習が異なりますのでプライバシーの保護よりも経済的な損失回避のほうが重要ということでしょうか。大家さんとモメないように、中国の慣習をおさえておきましょう。(了)

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