深セン宝安区の文具の卸売市場、ネット卸売サイトに勝てない?
上海、広州、浙江省義烏(イーウー)の卸売市場を見ていると、予想していたよりも買付け客はそれほど多くない。店舗スタッフのほうが多い店舗も少なくない。これまで卸売市場を利用してきたバイヤーは一体どこに行ってしまったのか?
1.深セン市の宝安区の文具・おもちゃの卸売市場
集合している卸売市場
深セン市の宝安区には、文具や玩具(おもちゃ)の卸売市場があつまっている。おもなマーケットは建安文具批発市場、四宝文具玩具批発市場で、宝安区の新安(シンアン)というところにある。
- 深セン市宝安区とは?
- 深セン市宝安区(総人口268万人、2012年末)は、新安街道、西郷街道、福永街道、沙井街道、松崗街道、石岩街道の6つの街道(区政府の出先機関)に分かれている。2007年に光明新区(総人口49万人、同)、2011年に竜華新区(総人口141万人、同)が宝安区から分離される。旧宝安区の総人口は458万人で、深セン市の総人口1,055万人の半分弱を占める。
クリスマスツリーも販売されている
このようなマーケットを見ていると、面白いものが発見できるかもしれない。クリスマスツリーが展示されているが、かなり巨大なツリー。どこかの業者が購入するのだろう。
2.ネット卸売りサイトか実店舗か?
阿里巴巴(アリババ)のネット卸売りサイトか実店舗か?
中国では浙江省の義烏(イーウー)や広州市の巨大卸売市場が有名だ。しかし、このような実店舗型の卸売市場だけでなく、阿里巴巴(アリババ)集団が運営している1688批発網(1688.com)というインターネットを通じた卸売市場も有名だ。日本ではSUPER DELIVERY(スーパーデリバリー)やDeNAのBtoB market(ネッシーから名称変更)が有名なところだろう。
- 浙江省の義鳥市(イーウー)とは?
- 義鳥市(イーウー)は、上海市から列車で2時間くらいのところにある浙江省金華市にある県級市。戸籍人口75万人、他の都市から移ってきた人が約140万人いると言われている。中国最大の卸売市場がある街として世界的に有名。
中国でも日本でもインターネット上の卸売市場があるため、これから実店舗型の卸売市場はどうなっていくのだろうか?浙江省の義烏(イーウー)や深セン宝安区の卸売市場に行くと、予想していたよりもバイヤーは少ないように感じる。
広東省広州市の広州駅周辺にあるアパレル卸売市場では、中国人よりもアフリカ人の買付け客(バイヤー)のほうが多い店舗も少なくない。インターネットでの買付けのほうが効率がいいのだろうか?
じつは卸売市場のなかの空き店舗も少なくない
宝安文具市場の2階をのぞいてみると、空き店舗スペースばかり。1階部分の大部分は埋まっているものの、2階部分はガラガラ。ときどき張り紙が貼っていて「1階の◯◯の店舗スペースに移転します」と記載されている。より場所の良いところに移っていったのだろう。その結果、すこし立地が悪い2階スペースはガラガラ状態。
活気がない卸売市場
1階部分を歩いてみても、それほど活気があるわけではない。
実店舗の卸売市場にいくと店舗スタッフと価格交渉をしなければならない。その商品の市場価格がわかっていないと高値づかみをしてしまうかもしれない。いっぽう、阿里巴巴の1688.comであればインターネット上に価格がはじめから掲載されている。出店している販売会社にとっては、この表示価格でどこまで集客できるかがポイントだからだ。
中国の商習慣に慣れていない日本人にとっては実店舗の卸売市場よりも、阿里巴巴などのインターネット卸売サイトで修行を積んでからのほうが適切な価格で仕入れができるのかもしれない。(了)