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広州のアパレル卸売市場、白馬服装批発市場とは?

中国の大きな卸売市場というと浙江省義烏(イーウー)と広東省広州市という人は少なくないだろう。今回見学したのは広州。日本で巨大な卸売市場を目にすることがないため、中国の卸売市場にいくとスケールの大きさにビックリしてしまう。

1.広州最大級のアパレル卸売市場

広州駅周辺の卸売市場

中国の華南地区にある広州市は、いろいろな卸売市場の中心地のひとつ。その多くの卸売市場は広州駅(越秀区)の周辺に集まっている。中国で生産されている衣類、靴、雑貨、時計、化粧品など多くの製品が集まり、その卸売市場は独特の雰囲気を出している。日本で販売されている商品のなかには、この卸売市場から流通している商品も少なくないかもしれない。

広州市とは?
広州市は広東省の省都(県庁所在地に相当)。総人口は1,293万人(2013年末)。総面積は7,434k㎡(東京都の総面積は2,188k㎡)。毎年春と秋には中国進出口商品交易会(広州交易会)と呼ばれる中国最大の見本市(展示会)が行われている。
(写真1)もっとも有名な白馬服装市場、周辺に卸売市場があつまっている

(写真1)もっとも有名な白馬服装市場、周辺に卸売市場があつまっている

じつはキレイな建物のなか

日本人にとって中国の卸売市場というと、とてもゴチャゴチャしていて汚いイメージを思い浮かべるかもしれない。1993年1月にオープンした白馬服装批発市場は、予想以上に整理整頓されていて、中国の繁華街で見かける百貨店とそれほど変わらない。

店員は忙しそうに袋詰めや梱包作業をしている。それほど店内は混雑しているという様子ではない。浙江省の義烏市(イーウー)にある中国最大級の卸売市場と同じように、バイヤーよりも店員のほうが多い状況だ。

浙江省の義烏とは?
義烏市(イーウー)は、上海市から列車で2時間くらいのところにある浙江省金華市にある県級市。戸籍人口75万人、他の都市から移ってきた人が約140万人いると言われている。中国最大の卸売市場がある街として世界的に有名。
(写真2)整理整頓されている卸売市場のなかの様子

(写真2)整理整頓されている卸売市場のなかの様子

2.中国人の商売人はどこに?

混み合っていない卸売市場

この広州の卸売市場は世界的にも非常に有名であるものの、それほど見学者で混み合っているということもない。「世界の工場」に買い付けにきていた外国人バイヤーや国内のバイヤーはいったいどこに行ってしまったのだろうか?

中国人のなかには阿里巴巴(アリババ)集団が展開する1688.com(阿里巴巴批発網)というインターネット上の卸売市場プラットフォームを活用しているのかもしれない。広州まで来ることなく、中国国内の卸売業者と取引をはじめることができる便利なサイト。日本のSuperdelivery(スーパーデリバリー)DeNA BtoB market(旧ネッシー)のような卸売サイトだ。

(写真3)中国で女性用の短パン(ホットパンツ)は人気が高い

(写真3)中国で女性用の短パン(ホットパンツ)は人気が高い

呼び込みしない静かなマーケット

中国の店舗街(小売り)というと激しい呼び込みをイメージするかもしれない。この広州市の白馬服装市場だけでなく、周辺の卸売市場もまったく呼び込みを行っていない。あくまでもBtoB(業者と業者)の取引を前提にしているので、気に入った商品をしっかり確認してもらうことに力点を入れているのかもしれない。業者であれば数点の少ロットでも応じてくれるところも少なくない。

(写真4)中国から有名ブランドは生まれるのか?あふれるほどの独自ブランド

(写真4)中国から有名ブランドは生まれるのか?あふれるほどの独自ブランド

3.品質は悪くない

中国市場の厳しい競争

現在ではUNIQLO(ユニクロ)、ZARA(ザラ)、H&Mなどの外資系アパレルも中国市場に入っており、中国人の求める品質要求はかなり高い。この卸売市場で販売されている製品も縫い目など見ても丁寧につくられている。中国市場は、かなり激しい競争になっているのだろう。

(写真5)かわいらしい子ども服、展示の仕方次第で魅力的な商品に見えるかも

(写真5)かわいらしい子ども服、展示の仕方次第で魅力的な商品に見えるかも

(写真6)卸売市場ではボッタクリのような値段は言ってこない

(写真6)卸売市場ではボッタクリのような値段は言ってこない

白馬服装市場では空き店舗は少ない

この白馬服装市場や周辺のアパレル卸売市場を見ていると、空き店舗はほとんどない。アパレル製品を製造している工場(メーカー)にとっては、いまでも販売先を開拓する重要な販路(チャネル)になっているようだ。スタッフに聞いてみると、インターネット販売をしていない店も少なくなかった。

小売店を訪れる見学者と違い、ほとんどの訪問者は魅力的な商材を探している業者ばかり。有力な販売先を開拓できれば、大きな取引に育つ可能性もある。まだまだ卸売市場は工場(メーカー)にとって重要なのだろう。

(写真7)宝石店の制服などで使われていそうな女性用スーツ

(写真7)宝石店の制服などで使われていそうな女性用スーツ

エスカレーターも用意されている

この白馬服装市場のなかにはエスカレーターも用意されている。

(写真8)まさに百貨店という雰囲気の白馬服装市場

(写真8)まさに百貨店という雰囲気の白馬服装市場

この白馬服装市場は朝8:30~17:30まで営業している。実際は朝9時ごろから本格的に稼働して、16:00ごろからは片付けに入る。店舗で働いているスタッフは、店の服を借りて着ているので16:30ごろから一斉に着替えがはじまる。スタッフの着ている服をよく見ると商品タグはついたままになっている。(了)

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