浙江省の温州市とは?どのくらい経済発展した都市なのか?
浙江省の温州市を実際に訪れたことのある日本人はあまりいないだろう。「温州人=お金持ち」というイメージがあるものの、本当のところはどうだろうか?上海から高速鉄道で4時間半離れたところ、日本人の知らない特別な都市があるのか?
1.浙江省の温州市
改革開放の進められた温州市
中国の温州商人というと、商売上手なお金持ちを想像してしまう。中国の温州とはどんな都市なのだろうか?実際に温州市を訪問したことがある日本人はほとんどいないだろう。1978年12月の中国共産党第11期中央委員会第三会全体会議(第11期三中全会)からスタートした鄧小平(当時、中国共産党副主席)主導の改革開放政策のひとつである経済技術開発区(対外経済解放区)に温州市は1984年に指定され、海外からの技術導入を進められた都市のひとつ。
温州市の入り口、高速鉄道が発着する温州南駅
温州市という都市名だけはよく耳にするので高い期待をもって訪れた。温州市内中心部から公共バスで約1時間30分のところに位置している温州南駅。この温州南駅は和諧号という中国高速鉄道(日本の新幹線に相当)の発着する駅。2011年7月23日に発生した温州南駅近郊での高速鉄道の脱線事故(死亡者39名、負傷者209名)を記憶しているかもしれない。この温州南駅自体はかなり新しい。
- 浙江省の温州市とは?
- 温州市は、浙江省の三大都市(杭州市、寧波市、温州市)のひとつ。総人口は919万人(2013年末)。中国のなかで商才に長けた温州人は「中国のユダヤ人」とも呼ばれる。世界各地に温州出身の華僑も多い。上海から温州まで高速鉄道(新幹線に相当)で約4時間半。
温州市には高速鉄道の発着する温州南駅以外にも、市内中心部には温州火車駅という別の駅もある。この温州火車駅には高速鉄道は停車しないため、ほかの地域から列車で温州市を訪れる人はあまり利用することはないだろう。
2.温州市の街中の様子は?
温州市内中心部に位置する温州国際大酒店!
温州市内を走っている人民中路と人民東路の附近が市内中心部になる。想定していた経済発展の進んだ大都市をイメージしていたものの、温州市の街なかは中国でよく見かける地方都市の姿。上海市や深セン市(広東省)のような新しい高層ビルがあふれた街並みだと思っていたら、すでに20年以上たった古いビルも少なくない。
温州市中心部で交通量の多い人民中路の交差点には、1996年にオープンした温州国際大酒店(中国基準の4つ星ホテル)がある。温州市に出張や旅行に来る人は、この温州国際大酒店を目印に行動すると良いだろう。ちなみに、この温州国際大酒店は1泊400元(約8,000円)前後から宿泊可能だ。
- 中国のホテルのランク基準は?
- 中国のホテルランクは、1つ星ホテルから5つ星ホテル、さらに5つ星プラチナホテルの合計6段階に分かれている。「中華人民共和国星級酒店評定標準」に定められている。5年に1回評価される。5つ星は国家旅遊局、4つ星は省(自治区、直轄市)の旅遊局により認定。
温州体育中心(センター)前にある温州奥林匹克大酒店
温州国際大酒店から公共バスで約10分の距離に、かなり巨大な温州体育中心(温州スポーツセンター)がある。この温州体育中心の前には、独特のデザインの温州奥林匹克大酒店(1999年8月オープン)という4つ星ホテルが位置している。このホテルも1泊400元前後から宿泊することができる。
温州市内にはシェラトン(Sheraton、温州喜来登大酒店)やシャングリラ(Shangri-La、温州香格里拉大酒店)などの外資系の5つ星ホテルも進出している。これらの5つ星ホテルは1泊800元(約1万6,000円)から宿泊できる。
温州市内の中山公園
温州市内中心部には、中国と台湾の両方から尊敬されている孫文を記念した中山公園がある。中国では孫文という名前よりも、孫文自身が名乗った「孫中山」という名前のほうが一般的によく知られている。この「孫中山」という名前は、日本亡命時代に住んでいた東京の日比谷公園近くに「中山」という名前の邸宅があったからだと言われている。
この孫文を記念した「中山公園」という名称の公園は、中国各都市に設置されている。この「中山」は公園だけでなく大通りの「中山路」という名称としても各地で使われている。
あまり派手な街ではない温州市
温州市を見るかぎり経済発展が著しく発展した都市という印象はないものの、いくつか温州市独特の特長がある。この温州市の住宅価格を見ると、地方都市にしては破格の住宅相場。温州市内中心部の3LDKのマンションは、だいたい250万元~400万元(約5,000万円~8,000万円)で販売されている。中国の地方都市のなかでは高騰しすぎている印象を受けてしまう。
温州市の料理店やホテルの価格を考えると、ほかの地方都市よりも高い。温州市内中心部はある程度「都会」という雰囲気はあるものの、公共バスで20分も走ると完全に田舎という雰囲気。田畑が続いているわけではないが、高層ビルはなく、小さな商店や修理工場が並んでいる。
このような地方都市の温州市で販売されているモノやサービスは、ほかの同じような地方都市に比べると高すぎる。温州市内のホテルスタッフによると、「温州市内にはお金持ちの人はいるものの、ほとんどは一般庶民。」という。「温州人=お金持ち」という誤解がようやく解けた。(了)