上海に進出している「はなまるうどん」、中国では薄い味はダメ?
日本でサラリーマンからOLなどに大人気の「はなまるうどん」。じつは上海にも出店している。大型商業施設のテナントとして出店している「はなまるうどん」は、中国では収入の少し高めのホワイトカラーをターゲットに展開している。
1.上海の「はなまるうどん」
日本とはまったく異なる仕組みで攻める!
日本で大人気の香川県高松市から全国展開している「はなまるうどん」。現在では中国の上海市内でも見かけるようになっている。中国では「花丸烏冬面」という店舗名で展開している。日本ではロードサイド型(独立した店舗)、ビルのテナントとして入っているビルイン型、そして商業施設内のテナントの3つのタイプを見かけるが、上海にある大部分の「はなまるうどん」は商業施設内のテナントとして出店している。
じつは牛丼の吉野家のグループ会社!
日本では300円、400円、500円のわかりやすい価格設定で顧客を増やしている「はなまるうどん」は牛丼の吉野家ホールディングスのグループ会社。2004年に吉野家から33.4%の出資をうけて資本・業務提携を行い、2006年5月には51%まで出資比率がたかまって吉野家ホールディングスの子会社になっている。
「はなまるうどん」が吉野家ホールディングスの子会社ということで、中国に進出していることも自然と納得しやすい。吉野家は日系の外食チェーン店のなかでは中国進出が早く、1992年に中国に1号店を出店している。吉野家は2013年末には中国各地で304店舗も出店している。その吉野家の中国国内での飲食店舗を展開するためのノウハウを利用して、「はなまるうどん」も2010年から中国で事業展開を進めている。
2.中国式の「はなまるうどん(花丸烏冬面)」
日本よりも高めの価格設定!
中国の「はなまるうどん」は日本よりも割高な価格設定になっている。日本では小、中、大とサイズを選択することができるが、中国では標準サイズ(中)で価格設定されている。1元=20円で換算すると、かけうどんは360円(18元)、牛肉うどんは660円(33元)、日本で見たことのない「豚骨あさりうどん」も660円(33元)と少し高めの価格設定になっている。
日本では立ち食いそば屋やコンビニ弁当と競っているイメージの「はなまるうどん」だが、中国の「はなまるうどん」の価格はコンビニ弁当(10元~15元)の倍以上もするため、日本国内でのポジショニングとはまったく異なる。「はなまるうどん」の主力メニューは23元~33元(約460円~660円)となっているため、中国では収入が平均よりも高めのホワイトカラーがターゲットになっている。
酸っぱいうどん、ローカライズしている!
中国の「はなまるうどん」の味はどうだろうか?日本人にとっては日本にある「はなまるうどん」のほうが嗜好があっているだろう。日本も中国も「はなまるうどん」は市場にマッチした商品を提供している。日本と中国では顧客をひきつける味が違うため、日本のうどんをそのまま導入しても勝ち残れないのだろう。
中国では「豚骨湯(トンコツ)」、「酸辣湯(すっぱい)」「海鮮湯」の3つスープから選ぶことができる。日本でも提供されている通常のスープが「海鮮湯」で、「豚骨湯」や「酸辣湯」は中国人向けにカスタマイズされたものだ。中国で提供されている「うどん」には香川県高松市の四国の「うどん」という面影はまったくない。
日本では日本人向けの商品ラインナップ!
日本の「はなまるうどん」ではヘルシーを全面的に打ちだした商品も提供されている。日本ではカレーライス、どんぶり等のサイドメニューも充実させている。
上海の淮海中路(黄浦区)にあるK11購物美術中心という商業施設の3階にある「はなまるうどん」は中国人顧客でにぎわっていた。いっぽう、四川北路(虹口区)の商業施設「壱豊広場」の地下1階にあった店舗は、いつの間にか撤退していた。中国ではまだまだ「はなまるうどん」の認知度は高くなく、これからどのように知名度を上げていくかポイントになりそうだ。やはりライバルは中国で圧倒的な知名度をもち、価格帯もほぼ同じ味千ラーメンではないだろうか。(了)