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中国のマンション仲介「链家(LianJia)」、どこまで拡大するか?

中国で住宅用不動産と言えば新築マンションよりも中古物件。この中古マンションの仲介取引の世界では、2014年ごろより大きな変化が起きている。中国の大手物件紹介サイトから不動産仲介会社の多くが離れようとする構造が見えてくる。

1.中国のマンション仲介会社「链家」

2015年から急にあちこちで見かけるようになった理由

上海の街中では最近、緑色の看板の「链家(LianJia)」という不動産仲介会社を見かけるようになった。2014年まではほとんど見かけなかったものの、2015年に入ってから街中で目につくようになった。

その理由を調べてみると、もともと2001年に設立された链家地産(HOME LINK)という不動産仲介会社が中国17都市で営業していたが、链家地産(HOME LINK)が2014年からインターネット経由で集客を行う戦略に大きく舵を切ったことが出発点だ。いわゆる、O2O(online to offline)と呼ばれるインターネットでの集客を活用して、実店舗に顧客を引き込む戦略だ。

(写真1)上海の街中で見かける「链家」、2015年から突然増加!(上海市)

(写真1)上海の街中で見かける「链家」、2015年から突然増加!(上海市)

2015年には中堅不動産仲介会社を吸収合併!

链家地産(HOME LINK)は2014年から戦略を変更し、中堅不動産仲介会社の中聯地産(深セン市)や徳佑地産(上海市)などを吸収合併していった。それにより、上海で多店舗展開していた徳佑地産の看板がいっきに「链家(LianJia)」に変更されたため、とくに上海市内では突然「链家(LianJia)」という不動産仲介会社が増えた印象を受けてしまう。

(写真2)深セン市(広東省)で強い中聯地産、あちこちで見かける!

(写真2)深セン市(広東省)で強い中聯地産、あちこちで見かける!

2.不動産仲介会社「链家」の狙いは?

圧倒的な巨人サイト「捜房網」、「链家」は勝てるか?

「链家」がO2O戦略でいっきに力を入れている理由は、中国の不動産仲介(売買、賃貸)のインターネット広告で圧倒的に有利なポジションにある捜房網(Fang.com)安居客から市場シェアを奪うことが最大の目的だ。中国の不動産物件紹介サイトと言えば、捜房網(Fang.com)と安居客が圧倒的な市場シェアを持っている。捜房網(Fang.com)は利用者数(月間)は8,200万人で、安居客の6,900万人と言われる。

「链家」は2014年11月から従業員が捜房網(インターネットサイト)やそのAPP(専用アプリ)を利用することを禁止している。捜房網(Fang.com)はあくまでもインターネット上の不動産物件の紹介サイトであり、日本で中古マンションや賃貸物件を探すためのHOME’S(ホームズ)やSUUMO(スーモ)、アットホームのような物件紹介プラットホーム。捜房網(Fang.com)は中国国内で圧倒的な市場シェアをほこっている。

(写真3)捜房網(Fang.com)に勝てるか?広告に力をいれる「链家」

(写真3)捜房網(Fang.com)に勝てるか?広告に力をいれる「链家」

大量の広告戦略、消費者の心をつかむか?

「链家」は大量の資金を投入して広告に力をいれている。「链家」は捜房網(Fang.com)に代わる物件紹介サイトを構築し、実店舗の仲介業務につなげていく戦略だ。では、「链家」はなぜ捜房網(Fang.com)に代わるプラットホームサイトを築こうとしているのか?

(写真4)新聞、地下鉄など全力で広告宣伝に力をいれる「链家」(上海市)

(写真4)新聞、地下鉄など全力で広告宣伝に力をいれる「链家」(上海市)

捜房網(Fang.com)自体は不動産仲介を行うのではなく、あくまでもインターネットやAPP(専用アプリ)で物件を紹介するプラットホーム。捜房網のサイトに物件を掲載するのは、実際に顧客に物件を紹介する不動産仲介会社。捜房網(Fang.com)はそれらの物件掲載をおこなう仲介会社より利用料を得ている仕組みだ。

ただ、捜房網(Fang.com)が圧倒的な市場シェアをもっているため、仲介会社が捜房網(Fang.com)の利用料の高騰を問題視する現地紙の報道も目につく(2014年8月6日付の中国経済網「上海の不動産仲介会社13社が捜房網を禁止、主導権争いで消費者権利を傷つけるな」)。そのような背景のもと、「链家」が捜房網(Fang.com)から脱却するビジネスモデルの構築をめざしている姿が浮かび上がってくる。はたして、この勝負はどのようになるだろうか。(了)

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