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蘇寧雲商(Suning)、転換期をむかえた中国の家電量販店!

中国の家電量販店といえば、国美電器(GOME)と蘇寧(Suning)の2社。中国どこに行っても見かけるほど中国全土にネットワークを張っている。2000年代の実店舗の多店舗競争から、現在では台頭するネット通販が両社の最大のライバルだ。

1.中国の大手家電量販店、蘇寧

南京市(江蘇省)で圧倒的な存在感!蘇寧雲商

日本国内の大手家電量販店といえば、ヨドバシカメラ、ビックカメラ、ヤマダ電機(LABI)の名前が挙がるだろう。中国の大手家電量販店といえば、国美電器(GOME)と蘇寧(Suning)の2社が圧倒的な市場シェアをもっている。

両社ともに中国本土に約1,600店舗を出店していて、一線都市、二線都市とよばれる中規模以上の都市ではどこでも店舗を見つけることができる。ネット通販で家電・デジタル製品を購入するというライフスタイルが中国に根付くまでは、両社は消費者に欠かせない販売インフラだった。

トップ争いをしている1社である蘇寧(Suning)は、上海市から中国高速鉄道(新幹線に相当)で約1時間10分のところに位置する南京市(江蘇省)に本社を置いている。国美電器も南京市に進出しているものの、南京市内では蘇寧の店舗ばかりが目につく。南京市にかぎると、蘇寧が国美電器に圧倒的に市場シェアで勝っていることを市内を歩くだけで実感できる。南京市は蘇寧村という雰囲気だ。

(写真1)南京市内にある蘇寧(山西路店)、南京市寧海路が蘇寧の発祥地

(写真1)南京市内にある蘇寧(山西路店)、南京市寧海路が蘇寧の発祥地

蘇寧雲商とは?
蘇寧雲商(改名前は蘇寧電器)は、1990年12月に南京市(江蘇省)に設立された家電・デジタル製品を中心に販売を行う量販店。中国国内のネット通販普及の時代の変化にあわせて、ネット通販サイトの蘇寧易購を立ち上げ、2013年2月に蘇寧電器から蘇寧雲商に社名変更。実店舗数は約1,600店、従業員数は約18万人。

2.進化が求められる蘇寧のビジネスモデル

電子決済や物流の発展、ネット通販が急拡大する中国!

中国国内で約1,600店舗を展開し、家電量販店の2強の1社である蘇寧(Suning)も安心しているわけにはいかない。中国国内では電子決済サービスや物流の発展により、家電・デジタル製品をインターネット通販で購入する消費者が増えてきているからだ。阿里巴巴(アリババ)集団が運営する淘宝(タオバオ)、天猫(Tmall)や家電・デジタル製品に強い京東商城(JD.com)がネット通販の分野で急成長している。2015年上期をみると、家電・デジタル製品の16%がネット経由で購入されている(中国電子網より)。

蘇寧も時代に変化に対応するようにネット通販に力を入れだしている。蘇寧自身が蘇寧易購(suning.com)というネット通販サイトを構築し、家電・デジタル製品にかぎらず、家具、食品、書籍、アパレルなどの総合ネット通販サイトの展開を進めている。2013年2月には蘇寧電器という社名から蘇寧雲商に改名し、ビジネスモデル転換の意気込みも発信している。

(写真2)南京市内にある蘇寧の実店舗、家電専門店からの脱却をめざす

(写真2)南京市内にある蘇寧の実店舗、家電専門店からの脱却をめざす

ネット通販大手の京東商城
京東商城は中国最大手の自社販売型のネット通販サイトを展開している。2013年の売上高は693億元(約1兆1,400億円)。創業者の劉強東(リュウ・チャンドン)が1998年に設立。2014年5月にベンチャー向け株式市場である米ナスダックに上場。

家電販売専門店からの脱却!家電中心ショッピングセンターに!

蘇寧の実店舗にも変化が起こっている。これまでは家電・デジタル製品の専門販売店という店づくりであったが、南京市内にある蘇寧のなかには、レストラン、スーパーマーケットもあり、まさに家電・デジタル製品の販売を中心としたショッピングセンターという店舗デザインだ。

(写真3)蘇寧の家電・デジタル製品フロア、それほど活気はない

(写真3)蘇寧の家電・デジタル製品フロア、それほど活気はない

家電・デジタル製品の販売だけではない!店内で食事も!

蘇寧(Suning)の実店舗は、日本のヨドバシカメラのような複合ショッピングセンターに変化してきている。ネット通販の浸透により、かならずしも家電・デジタル製品を家電量販店で購入する必要はなくなった。

そのような状況でも顧客に店舗に訪れてもらうために、蘇寧ではレストランやスーパーなどを実店舗の中に展開し、日常的に訪問してもらう仕組みづくりを構築しはじめた。このような実店舗は現時点ではそれほど多くないが、ヨドバシカメラのような店舗づくりに変化していくのではないだろうか。

(写真4)蘇寧の実店舗内で営業するレストラン、利用者も多い(南京市)

(写真4)蘇寧の実店舗内で営業するレストラン、利用者も多い(南京市)

蘇寧超市(スーパーマーケット)、とにかく来客重視!

蘇寧易購(suning.com)というネット通販サイトで食品を販売するなら、実店舗でも販売しようということだろうか。蘇寧の山西路店(南京市)にはスーパーマーケットも展開されている。これはヨドバシカメラでも見たことのない取り組みだ。

(写真5)複合ショッピングセンターとなった蘇寧、スーパーが営業している

(写真5)複合ショッピングセンターとなった蘇寧、スーパーが営業している

じつは蘇寧(Suning)は2009年に日本の家電量販店ラオックス(Laox)を傘下におさめている。日本のラオックス(Laox)は現在、従来の家電専門店から訪日中国人観光客向けの総合免税店としてビジネスモデルを転換した。

ラオックス(LAOX)とは?
ラオックス(LAOX)は、東京の秋葉原や銀座で主に中国人観光客にデジタル製品、高級時計などを販売している免税専門店。1939年に開業した谷口商店を源流に、1976年からラオックスとして営業。2009年8月に中国の家電量販店大手の蘇寧電器(江蘇省・南京市)の傘下になった。中国語では「楽購仕」。中国国内にも店舗展開している。

いっぽう、親会社の蘇寧(Suning)のほうは、日本式の複合ショッピングセンターへの転換に舵をきっている。ラオックス買収が転換のきっかけになったか不明であるが、蘇寧(Suning)の家電量販店が変化しているのは間違いない。

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