中国の生活、ビジネスに役立つ情報を発信するサイト

中国の株取引(A株、B株)、口座開設から株取引の費用まで!

2007年に盛り上がった中国株は、2014年9月ごろから再び上昇と急落を演じている。2007年ごろには日本人のあいだでも中国株ブームが訪れたが、それほど中国株に詳しい人はいないだろう。中国株取引の費用から税金まで仕組みを理解する。

1.中国の株取引

A株とB株の違いは?

中国株に詳しい日本人はそれほどいないでしょう。なぜなら、中国株は外国人が自由に株式売買できる仕組みになっていないからです。中国本土には上海証券取引所と深セン証券取引所の2つの株式市場がありますが、どちらの証券取引所にもA株とB株という2つの銘柄株が上場しています。このA株とB株はいったいどのような違いがあるのでしょうか?

中国のA株とは、人民元建てで取引されている株式です。A株の正式名称は人民元普通株です。これまでは基本的に中国本土の人しかA株の売買ができませんでしたが、2013年4月からは香港、マカオ、台湾の人にもA株口座の開設が認められています。

もうひとつのB株は、外貨建てで取引される株式です。上海証券取引所では米ドル建てで取引され、香港に距離が近い深セン証券取引所では香港ドル建てで取引されています。いずれのB株も株価は人民元で表記されています。B株の正式名称は人民元特殊株式(人民元特種株式)です。

証券口座開設時の費用は?

日本で証券会社の取引口座を開設するときには、基本的に口座開設費用は不要です。最近では取引口座を開設すると、一定の条件のもとにキャッシュバックを行うキャンペーンを展開している証券会社もあります。とくにインターネット専業の証券会社に多く見られます。

いっぽう、中国本土で証券口座を開設する場合、一定の口座開設費用が発生します。上海証券取引所のA株口座(個人口座)を開設するときは40元(約800円)、法人用のA株口座を開設するときは400元(約8,000円)の口座開設費用が発生します。B株の場合は、個人口座開設には19米ドル(約2,280円)、法人口座は85米ドル(約1万200円)が発生します。

深セン証券取引所のA株口座の場合は、個人口座は50元(約1,000円)、法人口座は500元(約1万円)となっています。B株口座の場合は、個人口座は120香港ドル(約1,800円)、法人口座は580香港ドル(約8,700円)となっています。日本と異なり、口座開設費用が徴収されても株取引をはじめる個人投資家は少なくありません。中国の証券口座は2億口座を超えていると言われています。

2.中国株の値幅制限

中国株の一日の値幅制限(ストップ高、ストップ安)は?

日本の株式市場では値幅制限が設定されていて、ストップ高やストップ安という一日の値動きの制限が設定されています。日本では1株あたりの株価(前日終値)によって値幅制限が設定されています。たとえば、1株あたり3,000円(前日終値)の銘柄であれば、2,300円~3,700円(前日比マイナス23.3%~プラス14.0%の増減)となっています。

中国の株式市場にも同じように値幅制限があります。上海および深セン証券取引所に上場しているA株およびB株ともに、前日の株価(終値)から最大10%の上下の範囲での値幅制限になっています。1株あたり3,000円の銘柄であれば、2,700円~3,300円(前日比マイナス11.1%~プラス10.0%)の範囲と株価は動きます。この値幅制限は1996年12月16日からスタートしています。

中国のST株式とは?

中国の株式市場ではST株式(Special treatment株式)とよばれる銘柄は前日の株価から最大5%と値動きの幅はより小さく制限されています。このST株式は特別処理銘柄とよばれ、上場企業のなかで債務超過に陥っていたり、適切に決算報告ができていない企業の株式が指定されます。日本でいえば監理銘柄(昔の監理ポストの株式)に相当します。

3.中国人の株式取引

株式売買の手数料は?

日本で個人が株取引を行うには、野村証券や大和証券、SBI証券、楽天証券、マネックス証券などの証券会社を通して売買を行います。個人投資家が株式の売却や購入を行うときは、その取引金額ごとに決まった取引手数料が発生します。言い換えると、日本ではその取引手数料以外に売却利益にかかる税金を除いて、費用は発生しません。中国の株式取引はどのようになっているでしょうか?

中国で株式取引をするときには、取引手数料、名義変更費用、印紙税(印花税)の3つが発生します。上海証券取引所のA株を売買した場合、取引手数料は取引額の最高0.3%(最低5元)、名義変更費用は取引額の0.1%(最低1元)、印紙税は取引額の0.1%(売却時のみ)となっています。

たとえば、10万元(約200万円)の株式を売却した場合、取引手数料300元(約6,000円)、名義変更費用100元(約2,000円)、印紙税100元(約2,000円)の合計500元(約1万円)の費用と税金が発生します。日本の株式売買よりも割高な手数料になっています。

あくまでも最高限度額のため、この手数料よりも低い仲介費用の証券会社もあるでしょう。なお、名義変更費用は上海証券取引所のA株およびB株で発生しますが、深セン証券取引所ではA株、B株ともに発生しません。

上海証券取引所では1人1口座しか開設できない!

日本では基本的に証券口座をいくつでも開設することができますが、上海証券取引所の証券口座はA株口座、B株口座ともに、それぞれ1人1口座しか開設することができません。上海証券取引所で取引を行うためには、証券会社と「指定取引協議書」というものを締結しなければなりません。すでに他の証券取引所に証券口座を開設している場合は、その証券口座を解約しなければ新たに口座開設することはできません。

中国では売却利益にたいして課税されない!

日本では株式売買の利益に対して税金が発生します。株式を購入したときよりも売却時の株価が高い場合は、その差額利益に対して個人所得税(15.315%、復興特別所得税含む)と住民税(5.0%)をあわせた20.315%が課税されます。2013年12月31日までは軽減税率として個人所得税(7.147%、復興特別所得税含む)と住民税(3.0%)をあわせた10.147%でした。2013年1月~2037年12月までの25年間は、個人所得税に2.1%が加算された復興特別所得税(15%×2.1%=0.315%)が発生します。

中国では売却利益に対して課税されるのでしょうか?現在のところ、中国では売却利益に対して税金は課税されません。

1年超保有している株式の配当金は税優遇!

いっぽう、中国では上場企業の配当金に対しては課税しています。2013年1月に個人所得税法が改正されるまでは、配当金に対して一律10%の個人所得税が源泉徴収されていました。2013年1月以降は株式の保有期間によって税率が異なるようになっています。

配当金が発生した株式を1年超保有している場合、その配当金に対する個人所得税の税率は5%。その保有期間が1か月~1年以内の場合は10%、1か月以内の場合は20%と変更されています。(了)

top of page