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中国で活躍のBRT(快速交通システム)、いわゆるバス専用レーン!

中国のいくつかの都市で見かけるBRT(Bus Rapid Transit)という快速バスの仕組み。上海から高速鉄道(新幹線に相当)で1時間のところに位置する常州市にもBRTは導入されている。このBRTを使えば、市内中心部を短時間で移動可能だ。

1.日本では見かけないBRT

広州、アモイ、常州などで活躍するBRTとは?

中国のいくつかの都市で見かけるBRT(Bus Rapid Transit)。中国のBRTは快速交通システムと呼ばれ、道路に専用通行レーンが設けられた快速バスの仕組みだ。BRTは「地上の地下鉄」とも呼ばれることもある。

それほど多くの中国の都市に導入されているわけではないので、はじめて乗車するときは利用方法に少し戸惑ってしまった。これまで中国の都市で見かけたBRTは、広州市(広東省)、アモイ市(福建省)、温州市(浙江省)、常州市(江蘇省)の4都市。これらの都市以外にも、BRTは北京、重慶、大連など多くの都市でも導入されている。

(写真1)常州市のBRT乗車エリア、多くの人が利用する(江蘇省・常州市)

(写真1)常州市のBRT乗車エリア、多くの人が利用する(江蘇省・常州市)

2.常州市に導入されているBRT

地下鉄の改札口のような入り口、他都市でも同様!

中国のBRTはどのように利用するのだろうか?都市ごとに少し違いはあるものの、基本的な利用方法に大きな違いはない。常州市のBRTは、乗車エリアが設置されている停留所と普通のバスの停留所の2つの停留所のパターンがある。ほかの都市でも、BRTではこの2パターンの乗降場所(停留所)が一般的だ。

BRT専用の乗車エリアが設置されている停留所では、そのエリアに入るときに現金または交通系ICカードで運賃を前払いする。常州市のBRTでは、中国の地下鉄の改札口のような機械が設置されている。この機械の手前には改札窓口があり、1名のBRTスタッフが現金支払い時の対応をおこなっている。常州市のBRT運賃は普通の公共バスと同じ運賃は1元(約20元)に設定されている。

(写真2)常州市のBRT改札口に設置されている機械(江蘇省・常州市)

(写真2)常州市のBRT改札口に設置されている機械(江蘇省・常州市)

 

江蘇省の常州市
常州市は、上海市から高速鉄道で約1時間のところにある江蘇省の都市。常州市の総人口は470万人(2014年末)。多くの日系企業が進出し、日本料理店も多い。市内中心部には常州を代表する観光名所の天寧寺がある。

BRTの停車ホーム、自由に外に出れない仕組み!

中国のBRTの乗車エリアは、ホームから外に出れないようになっている。もちろん、外(車道側)からも改札口以外を通って乗車エリア内に入れないようになっている。

BRTの専用バスが到着すると、BRT乗車エリア側に設置されているゲートが自動で開く。BRTの運賃はすでに乗車エリアに入ったときに支払っているので、専用バスには地下鉄と同じように、そのまま乗車すればよい。

(写真3)常州のBRT専用乗車エリア、ホームから外に出れない(江蘇省・常州市)

(写真3)常州のBRT専用乗車エリア、ホームから外に出れない(江蘇省・常州市)

3.費用面、建設費ともに経済的なBRT

常州市内を短時間で移動できるBRT!

常州市のBRTは、かなり快適だ。常州市内で少し離れたところでも、渋滞を気にすることなく移動することができる。いっぽう、広州市(広東省)の市内中心部を運行しているBRTは、BRT専用レーンではなく公共バスなら走行可能なため、BRTと言っても渋滞が発生することが少なくない。そのため、常州市のBRTほど快適さを感じない。

(写真4)常州市のBRTは停車駅も少なく短時間で市内各地を移動できる

(写真4)常州市のBRTは停車駅も少なく短時間で市内各地を移動できる

どうしても地下鉄がほしいのか?常州市でも建設中

常州市のBRTは2008年からスタートしている。常州市では現在、2020年の運行を目指して地下鉄の建設が進められている。だが、超大都市ほど人口が多くない常州市に、はたして地下鉄は本当に必要なのだろうか。

すでに市内の移動はBRTで快適に移動可能だ。おそらく、地下鉄の導入は、公共工事としての景気対策の側面と、地方政府幹部のプライドや功績の点から必要なのだろう。将来的には巨額の財政赤字または赤字企業が発生してしまうかもしれない。中国ではよく見られる構図だ。

(写真5)常州市では地下鉄建設中、BRTだけでは不十分?

(写真5)常州市では地下鉄建設中、BRTだけでは不十分?

中国のBRTはブラジルのBRTの仕組みを参考にしたと言われている。2004年ごろから中国ではBRTの導入を国務院(中央政府)が推奨し、各都市は積極的にBRTの導入を進めてきた経緯がある。ただ、各都市によってBRTの仕組みや位置づけが少し異なるため、BRTの快適さは各都市ごとに違いがある。

広州市などの人口規模が大きく、すでに地下鉄が通っているところでは、BRTよりも地下鉄のほうが快適なケースも少なくない。いっぽう、常州市のBRTは渋滞に巻き込まれることもないので、地上でそのまま乗車できるBRTのほうが便利ではないだろうか。(了)

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