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イオンモール杭州の家具専門店ニトリ、中国市場で勝てるか?

杭州市の中心部から少し離れたところにオープンしたイオンモール杭州良渚新城店。そのイオンモールのなかに家具・インテリア専門店のニトリも入居している。日本のお店の雰囲気と変わらず、中国でもニトリ商品が入手できるようになった。

1.日本と変わらないニトリ

客入りは悪くない、知名度をあげれるか?

杭州市(浙江省)の市中心部から少し離れたところに2015年11月、あたらしくオープンしたイオンモール杭州良渚新城店。イオンモールのなかに日系の家具・インテリア専門店のニトリ(NITORI)が入居している。日本とかわらないニトリの家具・雑貨などを中国・杭州市でも入手可能になった。

イオンモール杭州良渚新城の周囲はこれから開発される予定で、いまのところ自家用車で訪れる人が中心だ。それでもイオンモールの客入りは立地を考えるとそれほど悪くなく、ニトリにもお客さんの姿がみられる。

ニトリは中国での知名度は、いまのところ皆無といってもいい。気軽に訪れることができる家具・インテリアショップは中国ではそれほど多くないので、これからニトリが中国で飛躍していく可能性はかなり高いのではないだろうか。

(写真1)イオンモール杭州良渚新城にあるニトリ(浙江省・杭州市)

(写真1)イオンモール杭州良渚新城にあるニトリ(浙江省・杭州市)

家具・インテリアのニトリ
ニトリホールディングスは、日本国内に220店舗、台湾に17店舗を展開する家具やインテリア製品を扱う専門店を展開している。本社は北海道札幌市。2014年に中国進出。事業展開にあたってIKEA(イケア)を手本にしていると言われる。2014年の売上高は4,172億円。

2.ライバルはIKEAか?

中国地元企業には負けない商品ラインナップ!

ニトリに入ると、なんと日本で見かけるランドセルを発見。上海市内のバスに乗っていると、小学校低学年くらいの中国人の女の子がランドセルを背負っている様子を目にしたことがある。中国で販売しても物珍しさでランドセルを購入する中国人がいるということだ。

中国のニトリで販売されているものは、ほかの中国の地元企業にくらべて豊富な商品ラインナップになっている。ニトリに対抗できるのは外資系のIKEA(イケア)くらいじゃないだろうか。中国では大型家具屋がショッピングモールや百貨店に入居しているケースはほとんどなく、ニトリがイオンモールに入居しているのは中国ではめずらしいビジネス形態だ。

通常、中国の家具屋は家具城とよばれる家具専門のビルに入居し、ビルの運営会社がテナントとして家具メーカーや卸業者にスペースを貸出す形態が一般的だ。今回のニトリのように、ひとつの家具メーカーがショッピングモールなどに出店するのは中国ではめずらしい。

(写真2)イオンモール杭州のニトリで販売されているランドセル

(写真2)イオンモール杭州のニトリで販売されているランドセル

価格はイケアといい勝負!

ニトリで販売されている商品価格は、IKEA(イケア)とそれほど違いはない。ニトリとIKEAの店舗面積をくらべると、IKEAのほうが圧倒的に大きい。商品の種類でニトリはIKEAに勝つことはむずかしいだろう。

そこで、ニトリらしいリーズナブルな商品価格や店舗へのアクセスしやすさなどで、中国のIKEAと差別化していくことになるだろう。日本人にとってはニトリの商品は安心感(信頼)があるものの、中国人にとっては全く聞いたことのない商品。ニトリは時間をかけて中国でブランドを構築していくことになるだろう。

(写真3)イオンモール杭州で販売されているニトリの置時計

(写真3)イオンモール杭州で販売されているニトリの置時計

IKEA(イケア)とは?
IKEA(イケア)は、スウェーデンで1943年に発祥した大型の家具販売店。ヨーロッパをはじめ、北米、アジア、オセアニアなどに展開している。日本では、関東、関西、九州に8店舗。中国では北京、上海などの大都市を中心に18店舗を展開している。

ネット通販に勝てるか?

ニトリのライバルはIKEAだけではない。阿里巴巴(アリババ)集団が展開する淘宝網(タオバオ)などのネット通販でも大型家具が販売されているからだ。しかも、ネット通販で販売されているソファーや洋服ダンスなどの大型家具は安い。配送料無料も一般的だ。

小物雑貨に関しては、名創優品(メイソウ)という実店舗を展開する中国企業が急成長している。名創優品(メイソウ)で販売されている商品価格は、10元~50元(約200円~1,000円)のモノが中心だ。

(写真4)日本のニトリと雰囲気は変わらない

(写真4)日本のニトリと雰囲気は変わらない

名創優品(MINISO)
名創優品(MINISO)は、日本人の三宅順也氏が首席統括デザイナーをしている10元ショップ。あくまでも日本品質を主張しており、ほとんどの製品は中国で生産されている。驚くような低価格で雑貨を販売しており、中国の若者に大人気。2014年末には中国本土で370店舗あまり展開されている。

中国で身近な家具・インテリア商品の販売店といえば、カルフールやウォルマートなどの大型スーパー。中国ではニトリのように百貨店やショッピングモールに単独で出店するビジネスモデルは少なかった。中国で最も身近にアクセスできる家具・インテリア専門店として、ニトリは数年後には高い評価と実績を出していても、まったく不思議ではない。(了)

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