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美団網と大衆点評網、ネットマーケティングに欠かせない存在!

中国のネットマーケティング。日本では自社ウェブサイト、ホットペッパーなどクーポンサイト、ランキングサイトへの掲載などがある。いっぽう、中国では美団網や大衆点評網という閉鎖されたクーポンサイトが独占する特殊な構図だ。

1.閉ざされた中国のネットマーケティング

中国独特のクーポンサイト「団購網」!

中国でレストラン、マッサージ、映画チケットなどを割引価格で利用するために使われている美団網や大衆点評網。これら美団網や大衆点評網は「団購(サイト)」とよばれる中国特有のクーポンサイト。

美団網や大衆点評網では通常価格よりも割り引かれた価格で、利用券や商品券(に相当する金券)が販売されている(ただし、意図的に通常価格を高く設定して割安感を出しているケースも少なくない)。

独占状態のO2O(online to offline)サービス!

2003年4月にスタートした大衆点評網に対して、美団網は2010年3月と約7年も遅れてのスタート。この2社が張り合いながらクーポンサイト市場(というかネットマーケティング市場)を引っ張ってきたが、2015年10月に両社の合併が発表される。その結果、表面的には美団網と大衆点評網のサイト(または専用アプリ)に分かれて存続しているものの、現在、システム内の管理など両社は統一されて運用されている。

この独占状態の問題点といえば、競争原理が働かずサービスが向上しない点。また、店舗側にとってクーポンサイトの手数料率に交渉の余地がまったくない点も問題だ。日本と異なり中国では、ユーザーが検索エンジン(百度)などで評判のレストランを探す習慣はない。そのため、ほぼすべてのユーザーがクーポンサイトでお店を探す行動をとっている。

(写真1)クーポンサイト大手の美団網と大衆点評網

(写真1)クーポンサイト大手の美団網と大衆点評網

2.少ない選択肢

ビジネス環境の違い、少ない中国のネットマーケテイング手法!

美団網はIT大手の阿里巴巴(アリババ)集団が出資し、大衆点評網はQQや微信(ウィーチャット)で有名な騰訊(テンセント)が出資していた。けっきょく、美団網と大衆点評網が合併し、配車アプリなどと同じように閉鎖されたマーケットが出来上がってしまった。

検索エンジン大手の百度(バイドゥ)が運営する百度糯米というクーポンサイトもあるものの、利用者は多くない。レストランなどにとっては美団網と大衆点評網に頼らざる状況だ。阿里巴巴(アリババ)のアリペイ(支付宝)と連動している口碑網も利用者数はかぎられる。

中国では、日本のように店舗側が自社ウェブサイトを立ち上げても、アクセス数を増やすことはムズカシイ。中国の検索エンジンの信頼性による「検索しても目的のページにたどり着かない」という問題が、一般ネット利用者の行動を制限してしまっている状況だ。

(写真2)美団網と大衆点評網、運営会社はおなじ

(写真2)美団網と大衆点評網、運営会社はおなじ

美団網と大衆点評網、統一されたシステム!

美団網と大衆点評網のアプリの管理画面をみると、両方のプラットホームを通したクーポン券の販売状況などを見ることが可能だ。表面上は2つのアプリ・サイトがあるものの、たどり着く情報は同じという訳だ。

(写真3)美団網と大衆点評網の管理システムは統一されている

(写真3)美団網と大衆点評網の管理システムは統一されている

アプリ内のアクセス数なども見れる!

中国の店舗運営において、クーポンサイトは欠かすことのできない存在。管理画面を開くと、1日のアクセス数(ページビュー数、ユニークビジター数)などを確認することが可能だ。

現在のところ、中国のネットマーケティングでほぼ完全に囲い込まれた状況。スターバックスコーヒー、KFC、マクドナルドなどのように、よほどのブランドがない限り、クーポンサイトを避けて通れないのが中国のネットマーケティングの現状だ。

(写真4)1日のアクセス数など見ることが可能

(写真4)1日のアクセス数など見ることが可能

中国でレストランなどを始めるなら、クーポンサイトの導入を検討してみてはどうだろうか?日本のようにランキングサイト、地域コミュニティサイトなどでお店の宣伝ができないため、クーポンサイト内で認知度の向上を目指すことが、いまの中国の一般的な流れだ。クーポンサイトに手数料を吸い上げられる構図は当分、変わりそうにない。(了)

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