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中国の高校レベルの中専、上海を例に深く理解する

中国人の学歴には中専卒という学歴がある。この中専と呼ばれる学校は一体どのような学校なのだろうか。この中専と呼ばれる学校について、上海市に実際にある中専の専攻コースなどを通して理解を進める。

1.中国の中専とは?

中国の高校への進学率は?

中国の教育制度は、9年間の義務教育を基礎としている。基本は小学校6年、日本の中学校に相当する初級中学(初中)の3年。初級中学を卒業して次の高中段階と呼ばれる学校に進学する割合は、中国全土では88.4%(2012年)となっている。

ちなみに日本の高等学校への進学率は2010年、98.1%(定時制学校など含む)となっている。中国は2020年までに高中段階の学校への進学率90%を目指している。

中専とは日本の工業高校や産業高校

高中段階の学校とは、普通高級中学(高中)や中専と呼ばれる学校を指す。中専と呼ばれる学校には、職業高級中学(職高)、中等専業学校(中専)、技工学校(技校)の3つの学校がある。中専の学生は三校生とも呼ばれる。

中専とは日本の工業高校や産業高校などの専門高等学校に相当する学校である。中国の中専の就学期間は3年制の学校が多い。なかには5年制もある。中専は卒業後に就職することを前提としており、社会で通用するような実用的な授業内容が組まれている。中専は実務的な内容を学習することが多いが、大学受験に参加して大学本科や大学専科に進学することもできる。

高中段階の学校に進学する学生のうち、日本の普通高等学校にあたる普通高級中学(高中)に進学するのは約55%ほど。残り45%は中専に進学している。日本では高校の普通科に通う学生は全体の72%(2010年)で、中国よりも比率が高い。

2.上海の職業高級中学(職高)

上海市徐匯職業高級中学

上海市徐匯職業高級中学は、国家級の重点職業高級中学に認定されている。専攻は、ビジネス日本語(商務日語)、中華料理、西洋料理、高級レストラン運営、美容師、幼児教育がある。学費は雑費を含めて年間6,000元前後(約10万円)。

就学期間は3年制と5年制がある。ホームページの学生募集を見ると、卒業1年から2年後の見込み給与が掲載されている。おおよそ2,000元(約3.3万円)から3,000元(約5万円)。

3.上海の中等専業学校(中専)

上海市商業学校

上海市商業学校は、国家級の重点中等専業学校に認定されている。専攻は会計、ビジネス英語、電子商取引(EC)、旅行サービス、コンピューターがある。いずれも3年間。1学年500名ほど募集している。学費は年間4,000元(約6.6万円)。

卒業すると大学本科や大学専科(大専)に進学する生徒もいるものの、就職に力を入れていることをアピールしている。

上海市建築工程学校

上海市建築工程学校は、国家級の重点中等専業学校に位置づけられている。国有企業である上海市建工集団によって1960年に設立された中専である。上海市建工集団は上海のトレードマークである東方明珠電視塔(上海テレビ塔)や超高層ビルの金茂大厦(高さ420m)を施工した。

上海市建築工程学校は、主に建築工事に関する3年制と5年制の専攻を設置している。学費は年間4,000元(約6.6万円)。高等職業学校である上海建峰職業技術学院と提携しており、5年制のコースで一定の成績を取ると上海建峰職業技術学院の卒業証書を得ることができる。上海建峰職業技術学院の卒業証書を得ると、大学専科卒の学歴となる。

4.上海の技工学校(技校)

上海市高級技工学校

上海市高級技工学校は、1951年に設立された国家級の重点技工学校。募集している専攻は、NC工作機技術、電気自動化技術、機電技術、電気工技術など工業関係に特化している。3年制と5年制のコースを用意している。

5年制のコースは、3年制を終えると提携学校である上海工程技術大学に進学する。5年制を卒業すると、大専卒の学歴となる。

上海新聞出版職業技術学校

上海新聞出版職業技術学校は、1962年に設立された国家級の重点技工学校。募集している専攻は、印刷デザイン、デジタル印刷、コンピューターグラフィック、展示会設置、出版発行などコースを設置している。

3年制と5年制のコース用意している。5年制のコースは、3年制を終えた後に上海出版印刷高等専科学校に進学する。5年制のコースを卒業すると、大専卒の学歴となる。学費は年間4,000元(約6.6万円)。上海市内の中学校だけでなく、他の省からも生徒を募集している。(了)

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