中国の臨時宿泊登記、賃貸マンションを借りたら登記は必須!
日本人は長期滞在であれ、短期滞在であれ、中国でホテルなどの宿泊施設以外に滞在する場合は臨時宿泊登記という手続きが必要になります。日本人がアパートを借りて入居すると、24時間以内に最寄りの公安派出所で手続きが必要になります。
1.中国の臨時宿泊登記とは?
中国独特の臨時宿泊登記という制度
中国には臨時宿泊登記という制度があります。中国語では境外人員臨時住宿登記(境外人员临时住宿登记)と呼ばれている制度です。外国人が中国国内のどこに宿泊しているか公安機関に連絡するという仕組みです。
通常の海外旅行や出張などで中国を訪れる場合は、ホテルなどの宿泊施設が本人にかわって臨時宿泊登記の手続きしてくれますので、特に臨時宿泊登記をしているという認識はないでしょう。
ホテルなどの宿泊施設以外では自分で手続きが必要!
もし、ホテルなどの宿泊施設以外の知人の自宅などに宿泊するときは、最寄りの公安機関でその場所に到着してから24時間以内に臨時宿泊登記の手続きをしなければなりません。
2013年6月末までは農村部の場合は、到着してから72時間以内の手続きで良かったのですが、新しい法律が施行されてからは都市部と農村部の手続き時間の違いがなくなってしまいました。あまり農村部に宿泊する人は少ないと思いますが、2013年7月からは中国のどこでも到着してから24時間以内に手続きが必要です。
2.中国の何の法律で登記は定められている?
中華人民共和国出境入境管理法(2013年7月施行)
この臨時宿泊登記という制度は、2013年7月から中華人民共和国出境入境管理法という新しい法律が基づいて運用されています。この法律の第39条に臨時宿泊登記について明記されています。これまで施行されていた中華人民共和国外国人入境出境管理法(1986年2月施行)が廃止され、臨時宿泊登記について詳しく定められていた中華人民共和国外国人入境出境管理法実施細則(2010年4月24日改訂)も廃止されています。
この中華人民共和国外国入境出境管理法実施細則の第四章(第29条~33条)に外国人の臨時宿泊登記について詳しく定められていましたが、元の法律である外国人入境出境管理法が2013年7月から廃止されていますので、その実施細則も廃止されていると考えることができるでしょう。
この実施細則の第30条で「農村部であれば到着後72時間以内に登記する」ということが定められていたのですが、法律自体が廃止されてしまいました。
もう一つの管理条例
中華人民共和国出境入境管理法が2013年7月に施行されてから、9月にも新しい条例が施行されています。法律の名前がどれも似ていて混乱してしまいそうですが、中華人民共和国外国人入境出境管理条例(2013年9月施行)という法律です。以前は実施細則でしたが、新しい法律は条例です。
中国の法律は少しずつ細かい内容が記載された法律が出てくるのが特徴です。この入境出境管理条例で中国の新しいビザ(査証)、外国人の居留などについて詳しく規定されています。この入境出境管理条例の第39条をみると、中華人民共和国外国入境出境管理法実施細則を廃止すると明記されていて、実施細則も廃棄されたことが明記されています。
ただ、この入境出境管理条例には臨時宿泊登記について一切記載がありません。そのため、現在の臨時宿泊登記の根拠となる法律は、2013年7月から施行されている中華人民共和国出境入境管理法の第39条に書かれている次の内容のみです。
第39条 外国人が中国国内の旅館に宿泊する人は、旅館は旅館業の治安管理の関連規定にもとづき、宿泊登記をしなければならない。且つ、所在地の公安機関に外国人の宿泊登記の情報を報告しなければならない。
外国人が旅館以外の住所に居住または宿泊する場合、入居してから24時間以内に本人または受け入れた人が、居住地の公安機関に登記の手続きをしなければならない。
消えた管理条例(草案)にあった臨時宿泊登記の簡便化
この入境出境管理条例(2013年9月施行)は、2013年5月に公表された意見募集の段階では臨時宿泊登記について詳しく規定されていました(中央人民政府のホームページでWord形式の『草案』からダウンロードして見ることができます)。
この意見募集の第35条をみると、「居留証をもっている外国人は、居留証に明記された場所に宿泊する場合、重複して宿泊登記する必要はない。居留証に明記された場所をはなれて他の場所に臨時的に宿泊する場合、臨時宿泊する場所で宿泊登記をしなければならない」と規定されていました。
この条文がなくなっているため、現時点では居留許可証を取得している長期滞在の日本人も相変わらず臨時宿泊登記の手続きをしなければなりません。
3.臨時宿泊登記していなかったら罰金?
中華人民共和国出境入境管理法の第76条
もし、外国人である日本人が臨時宿泊登記をしていなかったらどうなるのでしょうか?中華人民共和国出境入境管理法の第39条で臨時宿泊登記が法的に求められています。
この出境入境管理法の第76条をみると、つぎの状況にあたる場合は警告を与え、2,000元(約3.3万円)の罰金を課すことができると規定しています。「本法律の第39条二項にもとづき登記していない」というケースが該当しますので、臨時宿泊登記をしていない場合は最高2,000元の罰金が課されるリスクがありますので、ご注意くださいね。(了)