広東省にある経済特区の深セン。中国の税制改正などで昔ほど経済特区のメリットを感じなくなっていますが、香港に隣接していて中国本土でもビジネスがしやすい都市のひとつです。この深センで日本人はどこに住むのが良いでしょうか？
１．日本人は深セン市のどこに住むのが良い？
深セン市内で働く人、郊外で働く人
中国の華南地区に位置し、香港に隣接する経済的な大都市である広東省深セン市。その深セン市で働く日本人は、深セン市内中心部の福田区に勤務するケースと市郊外にある宝安区や竜崗区の工場で働いているケースに大きくわかれます。深センで働いている日本人は、南山区（蛇口）、福田区、羅湖区、宝安区にわかれて住んでいます。
（写真１）香港との窓口の羅湖口岸（深セン）、ここから出境（出国ではない）可能
子どもがいる家庭は日本人学校がある南山区に住む
日本人にとっては、南山区（蛇口）、福田区、羅湖区は食事や交通面で住みやすい環境と言われています。もし家族帯同で深セン市に赴任する場合は、子どもの日本人学校（南山区蛇口）への就学のために南山区を選ぶ人がほとんどでしょう。
- 広東省の深セン市とは？
- 深セン市は1980年に経済特区として外資に開放された都市。福田区、羅湖区、南山区、宝安区、塩田区、竜崗区の６つの行政区、光明新区（旧宝安区）、竜華新区（旧宝安区）、坪山新区（旧竜崗区）、大鵬新区（旧竜崗区）の新しい４つの功能区にわかれている。総人口は1,055万人（2012年末）。
２．羅湖区と宝安区から考える深セン市
（羅湖区）単身用マンションが多い街
中国本土から香港にいく出入境管理局のひとつに、羅湖口岸とよばれる場所があります。この口岸（コウアン）はもともと対外貿易が開放された港（みなと）という意味でしたが、現在では出入境の窓口という意味でも使われています。出入国ではなく出入境という「境」と言われているのは、香港は特別行政区であっても中国国内だからです。
- 深セン市の羅湖区
- 深セン市の羅湖区とは、1979年10月に設立され経済特区に指定された広東省深セン市の中心地区。羅湖区の総人口は94万人（2013年末）。羅湖口岸という入出境地区を通り香港に行くことが可能。深セン市全体の人口は1,055万人（2012年末）。
（写真２）地下鉄の国貿駅（深セン市羅湖区）の近く、高層マンションが立ち並ぶ
その香港に隣接した羅湖口岸があるところが、深セン市の羅湖区です。深センのなかでも香港人の往来が多く、独特の雰囲気を出している街です。この羅湖区には中国ではめずらしい単身用マンション（単身公寓）がたくさんあります。家賃相場はだいたい2,500元～5,000元（約５万円～10万円）くらいで、さらに高級な単身用マンションもあります。
（写真３）偽物が販売されている有名な羅湖商業城（ショッピングセンター）
（宝安区）にぎやかな大型ショッピングモールの海雅繽粉城
深セン市の郊外である宝安区。現在の宝安区は郊外といっても田舎のような雰囲気はありません。宝安区の新安（シンアン）という場所にある海雅繽粉城（2013年１月オープン）は、超巨大なショッピングモールです。ここには人があふれるようにショッピングや食事にきています。深セン市内で成功しているショッピングモールのひとつです。
（写真４）宝安区の新安にある海雅繽粉城というショッピングモール
- 深セン市の宝安区とは？
- 深セン市宝安区（総人口268万人、2012年末）は、新安街道、西郷街道、福永街道、沙井街道、松崗街道、石岩街道の６つの街道（区政府の出先機関）に分かれている。2007年に光明新区（総人口49万人、同）、2011年に竜華新区（総人口141万人、同）が宝安区から分離される。旧宝安区の総人口は458万人で、深セン市の総人口1,055万人の半分弱を占める。
この宝安区の新安の夜は、露店販売者であふれています。深セン市の宝安区は他の都市から出稼ぎにやってきた人が多く、露店販売で生活している人もたくさんいることでしょう。深センの宝安区を歩いていると、上海や広州などの古い都市にくらべて圧倒的に10代、20代の若者が多いのが特長です。
（写真５）乗用車をそのまま露店にしているカバン販売（車）業者
じつは宝安区は以前は治安が悪いことで悪評が高かったですが、現在ではかなり改善されているでしょう。単身赴任の日本人男性が深セン市の郊外（宝安区）の工場に通勤する場合は、南山区（蛇口）に住むよりも宝安区の新安に住んだほうが家賃や通勤時間の面から良いかもしれません。（了）
