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もし株式時価総額が過去最高レベルなら、日経平均株価は?

これまでの日経平均株価の過去最高は、1989年に記録した3万8,915円。もし、そのときのレベルまで株式市場に資金が入ったとしたら、日経平均株価はいくらになるだろうか?前提を置いて考えると、2万1,000円前後が妥当ではないか。

1.株式時価総額と日経平均株価の関係

同じ方向に動く?

日本の株式時価総額と日経平均株価は基本的に同じ方向に動く。株式時価総額が増えれば日経平均株価は上がり、日経平均株価が上がっていれば時価総額は増えている。なぜ同じ動きをするのだろうか?

株式市場の規模をあらわしているのは株式時価総額。日経平均株価は東証一部市場のいろんな業種からバランスよく225の銘柄をピックアップして指数化したもの。

株式時価総額が増えているということは、つまり株式市場全体が大きくなっている。その株式市場を代表して選ばれた225銘柄の株価も、基本的に伸びているはずだ。よほど偏(かたよ)った業種や個別企業に資金が流入していない限り、時価総額と日経平均株価の伸びは同じ方向に動く。

日経平均株価とは?
日経平均株価とは、東京証券取引所第一部(東証一部)に上場している中から225銘柄をピックアップし、ダウ平均株価の方式をもとにして計算された指数である。重要な点は225銘柄の企業が入れ替わっても、過去と比較できるように数値が調整されているところ。

具体的に過去の数値で見てみると?

株式時価総額が増えれば、日経平均株価も上昇する。2004年12月の株式時価総額と日経平均株価を100の基準値とした場合、2013年12月の株式時価総額は131%で、日経平均株価は142%となる。伸び率に差はあるものの、同じプラス方向の動きをしていることがわかる。

 

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しかし、2004年に株式時価総額と日経平均株価は100の基準値でそろっていたものの、徐々に増加の比率に違いが出ている。2013年には131%(株式時価総額)と142%(日経平均株価)となり、11%の差異が発生している。なぜ差異が出るのだろうか?

2.日経平均株価の歪みの原因は?

ファーストリテイリングやソフトバンクの影響が大きい

日経平均株価は225の銘柄から構成されている。最近ではファーストリテイリング、ソフトバンクやファナックの日経平均株価への影響度(寄与度)がかなり大きい。

<東証>ファストリ5%高(2013年12月19日付、日本経済新聞電子版)

14時前後に日経平均先物2014年3月物に100~300枚単位のまとまった買いが断続的に入りきょうの高値となる320円高の1万5910円まで上昇した。現物株に裁定取引に絡んだ買いを誘い、日経平均への寄与度が大きいファストリ株に買いが膨らんだ。

ファストリ株は1銘柄で日経平均株価を80円あまり押し上げる場面があった。日経平均先物主導の相場上昇を受け、日経平均を東証株価指数(TOPIX)で除した「NT倍率」は一時12.56倍まで拡大した。

2014年7月18日時点、日経平均株価への影響度(寄与度)が高いトップ3は、ファーストリテイリング(8.35%)、ソフトバンク(5.92%)、ファナック(4.42%)の3社。この3社だけで日経平均株価に18%以上の影響度がある。

このような日経平均の銘柄の偏りが、時価総額と日経平均の伸び率に差異としてあらわれる。日経平均株価に採用されている銘柄の影響度(寄与度)は、情報サイトのnikkei225jp.comですべて見ることができる。

日経平均株価の225銘柄は?
日経平均株価に採用されている225銘柄は、毎年10月1日と上場廃止などが発生したときに銘柄の見直しが行われている。銘柄の選定は(1)東証一部で流動性が高い(2)225銘柄の業種のバランス、が重視されている。

以前より増えた、東証1部の上場企業数

上場企業数の増加も株式時価総額と日経平均株価の関係に影響を与えている。2004年から2013年の10年間で、東証1部の上場企業数は11%も増えている。日経平均株価は、東証一部市場を代表する225銘柄を指標化したもの。上場企業数の増加は時価総額に影響するものの、225銘柄から指数化される日経平均株価には影響しない。

 

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3.東証株価指数(TOPIX)との関係は?

たしか日本には東証株価指数という指標もあったような?東証株価指数とは何か?東証株価指数はTokyo Stock Price Indexの頭文字をとってTOPIX(トピックス)とも呼ばれる。東証株価指数こそが、株式時価総額を指数化したもの。

東証株価指数は、1968年1月4日の時価総額を100として、現在の東証一部の上場株式の時価総額と比べたものである。2013年12月末に1,302ポイントとなっており、1968年から比べると時価総額が13倍増えたことを表している。

 

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ただし、単純に上場株式の株式時価を合計する株式時価総額に対して、東証株価指数(TOPIX)は株式時価総額を指数化するために計算をおこなう。その指数化するための計算方法の影響や2004年7月に計算方法を変更したことにより、株式時価総額と東証株価指数(TOPIX)の伸びに差異が生じている。

4.過去最高の時価総額611兆円から日経平均株価を試算

過去をふり返ってみると、日経平均株価は1989年12月29日に3万8915円の過去最高を記録した。そのときの株式時価総額は、インターネット上の投稿記事によると611兆円と言われている。

2013年12月末の株式時価総額と日経平均株価の比率を基準とした場合、かりに株式時価総額が過去最高の611兆円まで増えたとすると、どのくらい日経平均株価は上がるのか?

 

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バブル経済のような異常な状態が発生しなければ、2万1000円前後になるのではないだろうか。もちろん、日経平均株価は225銘柄の指数なので、東証一部市場の資金流入に異常な偏りがないことが前提だ。

株式投資をしていたら、なんとなく株価がどんどん上がっていくように期待してしまう。もしかすると、日経平均株価が4万円台、5万円台になるかもしれないと。しかし、日経平均株価が2万円台を超えるような場合は、株式投資は過去最高レベルまで盛り上がる必要がありそうだ。(了)

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