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中国で分譲マンションを売却するときに発生する税金は?

日本でも中国でも分譲マンションなどの不動産の売却は複雑な仕組みになっています。マンション売却にかかわる中国の税金を考えると、売り手側と買い手側で発生する税金は異なります。日本と仕組みと比べながら、考えてみましょう。

1.マンションを売却する人の税金は?

どのような税金が発生するのか?

中国で購入したマンションを売却するときには、さまざまな税金や費用が発生します。日本で分譲マンションなどの不動産売却に関係する税金も複雑ですが、中国でも経済政策の観点から税金やその税率が複雑化しています。さらに、中国では不動産売却に関係する国家的な大きな枠組みとなる法律もありますが、地方政府も実務的な条例を出していて、地域によって税率が異なることにも注意が必要です。

印紙税の金額は日本と変わらない!

マンションを売却する人は、おもに印花税(日本の印紙税に相当)と売却利益にかかる税金(営業税と個人所得税)の納税が必要になります。印紙税は売却額の0.05%と定められていますので、200万元(約4,000万円)のマンションを売却すると1,000元(約2万円)の印紙税が必要になります。

日本でも1,000~5,000万円までの不動産売却時の契約には2万円の印紙税となっており、印紙税の税額割合については日本と中国で大きな差はありません。

売却にかかる営業税

マンションの売却で複雑なのは売却にかかる営業税と個人所得税です。非普通住宅といわれる140㎡以上の広いマンションは高めの税金が発生します。この非普通住宅を購入してから5年未満に売却する場合は、売却総額に対して5%の営業税が発生します。いっぽう、5年以上の場合は売却利益に対して5%の営業税となります。この5年という期間を境に、「売却総額」と「売却利益」と課税される対象が大きく異なることに注意が必要です。

この非普通住宅に該当しないマンションは普通住宅と言われています。この普通住宅については、購入してから5年以上経過している場合には売却利益に対しても営業税を課されません。5年未満での転売時には売却利益にたいして5%の営業税が課されます。つまり、広々とした富裕層が住むようなマンション(140㎡以上)については、一般的な住宅よりも課税を高くしています。地域によっては144㎡が基準になっている場合もあります。

売却にかかる個人所得税

普通住宅と非普通住宅ともに、売却時には基本的に個人所得税が発生します。売却時の利益に対して20%または売却総額の1%と決められています。もし、5,000万円のマンションを売却すると、売却総額の1%の50万円の納税が必要になります。ただし、分譲マンションを購入してから5年以上が経過していて、その売却するマンションしか保有していなかった場合、その売却にかかわる個人所得税は免除されます。

分譲マンションを2軒より多く保有している場合は適用されません。たくさんマンションを持っていて、転売して値上がり益を求めている人には個人所得税の免除は利用できません。この個人所得税の運用も地域によって違いがありますので注意が必要です。

2.中古マンションを購入する人

マンションの購入時には契約税が!

中国でマンションを購入するときには契税(契約税)を納税しなければなりません。基本的には購入金額の3%となっていますが、普通住宅に該当する場合は半分の1.5%に減免されます。地方政府の経済政策によっては、不動産市場の調整で1.5%よりも低い契約税に設定されているところもあります。

もし5,000万円(約250万元)の分譲マンションを購入する場合、少なくとも75万円(1.5%)~150万円(3.0%)の契約税が必要になります。北京、上海、広州、深センの一線都市と言われる大都市であれば、250万元以上する2LDK~3LDKのマンションがほとんどです。

一線都市とは?
一線都市とは、中国のなかで不動産価格や所得水準などの生活レベルや物価の高い大都市のことを言います。明確な定義はありません。中国語では「一線城市」 と書きます。「第一財経週刊」という雑誌は2014年、19都市を指定しています。北京、上海、広州、深センなどは一線都市の代表。

中国でも日本と同じようにマンションの購入者も印紙税の納税が必要になります。日本では作成する契約書の枚数によって収入印紙を貼り付けますが、中国では基本的に収入印紙を貼り付けません。申告して納税することが一般的です。中国ではマンションを購入する人と売却する人は印紙税を共同で負担する責任があり、購入金額(売却金額)の0.05%の印紙税の納税が必要です。

3.日本と中国の違いは?

中国の契税(契約税)と日本の登録免許税

中国でマンションを購入すると契約税を納税しなければなりません。日本でも法務局でマンション(不動産)を登記するためには登録免許税というものを納税しなければなりません。中古マンションの売買の場合は、日本の登録免許税(建物)は2.0%(1000分の20)となっています。

ただし、現在は住宅用家屋(居住用マンション)は0.3%(1000分の3)の軽減税率が適用されていますので、中国の契約税よりもずいぶん低い税率になっています。5,000万円の中古マンションであれば、中国の10分の1の15万円になります。

短期間での転売時には高い税金!

日本も中国と同じように短期間でのマンションの転売には高めの譲渡所得税(個人所得税)を設定しています。1月1日が5回過ぎる前に分譲マンション(不動産)を売却すると、短期譲渡所得として売却利益に対して税率39%(所得税30%、住民税9%)が課税されます。いっぽう、1月1日が5回経過したマンションの転売であれば、税率は20%(所得税15%、住民税5%)まで下がります。

日本では「3,000万円の特別控除」と呼ばれる譲渡所得の控除もあります。最高で3,000万円までの売却利益にたいする所得税と住民税を支払わなくてもよいという制度です。この特別控除を受けるためには、実際に自分で住んでいて、住宅ローン減税などのほかの税金優遇政策をうけていないことが前提になります。(了)

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