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中国の高校では文系よりも理系のほうが人気、その理由は?

中国の高校、大学では文系と理系はどちらのほうが人気があるのだろうか?日本では理系のほうが就職がしやすいと言われてきたが、なかなか理系人材が増えないことが問題視されている。中国の学生の専攻傾向を調べてみると面白い実情が。

1.中国の文系と理系

理系コースのほうが多い

中国では理系コースのほうが人気というのは本当だろうか?日本では圧倒的に文系の学生が多い。文部科学省の公表している「学校基本調査」によると、2013年の大学学部生のうち、文系の学部(社会科学、人文科学など)に所属しているのは約73%に上る。理系の学部(理学、工学、農学など)に所属しているのは約27%にとどまる。

一方、中国の高校生は理系コースを選んでいる学生のほうが多い。河北省の2014年の高考の受験者数をみると、文系は全体の約47%、理系は約53%となっている。上海市の場合は、文系は約42%、理系は約58%となっている。

中国の高考とは?
高考は毎年6月に行われている中国の大学入試。正式名称は普通高等学校招生全国統一考試という。受験科目は国語、数学、外国語、総合科目(または選択科目)の4科目が多い。地域によって配点や科目に違いがある。

文系が人気がない理由

中国人はなぜ理系コースを選ぶのだろうか?その理由は、中国では理系のほうが文系よりも大学に合格しやすいからだ。2014年の河北省の高考をみると、大学(含む大学専科)の合格者のうち73%が理系の学生。文系の合格者は全体の27%にとどまる。一方で受験者数は文系47%、理系53%。河北省だけでなく、中国の大学の募集枠は大体3:1で理系のほうが多いと言われている。

日本の報道をみていると、江沢民元総書記や胡錦濤前総書記の時代には理系のテクノクラートが中国の最高指導部である中国共産党中央政治局常務委員に多いと報じていることが見られた。しかし、そもそも中国には理系コース出身者のほうが多いという背景がある。

テクノクラート(technocrat)とは?
テクノクラート(technocrat)とは、科学技術の専門知識と政策能力を持ち、国家の政策決定に関与する技術官僚(技官)をさす。一方、事務官僚のことをビューロクラート(bureaucrat)と呼ぶ。

2.文系と理系はなくなるのか?

政府は文系と理系を分けるのに反対?

中国の教育部(文部科学省に相当)は、大学受験の際に文系と理系の区分をなくそうと考えている。大学進学を目指す多くの進学校を中心に、高中入学時または2年に進学するときに文系と理系のコースに分けている。大学入試に関係ない科目をほとんど学習しないなど教育部などは弊害を指摘している。

中国の進学校
中国の普通高級中学(高中)には、示範性高中と呼ばれる進学校がある。省や市などの政府機関によって認定される優良な学校である。中国人のあいだでは以前の呼び名である重点中学と呼ばれることが多い。

高中学業水平考試の役割

中国に高中学業水平考試と呼ばれる学力測定テストがある。以前は会考と呼ばれていた試験。教育関係を担当する国家教育委員会(現在の教育部)の1990年8月の通知によると、高中学業水平考試に合格すれば高中の卒業証書を取得することができると明記されている。

この高中学業水平考試の存在は、大学入試である高考にかたよった教育内容を是正するためとも言われている。国語、数学、思想政治、歴史、英語、地理などの合計10科目で一定の成績を取らなければならない。この試験結果は点数ではなく、ABCDなどで判定される。(了)

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