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中国の配車サービス、滴滴、神州、Uber(ウーバー)違いは?

中国では配車サービスの競争が過熱している。タクシー配車アプリからスタートしたサービスで、現在では自動車リースを運転手付きで提供するサービスも競争が過熱している。中国に住む日本人はこのサービスを使いこなせるだろうか?

1.中国の配車サービス

タクシー配車アプリ、滴滴打車と快的打車の合併!

中国の配車サービスは複雑でなかなか理解できない。まずはタクシー配車アプリからサービスはスタートしている。2012年からタクシー配車アプリの滴滴打車(北京市)と快的打車(浙江省)がスマートフォン(スマホ)のアプリでタクシーを配車(迎車)するサービスをはじめて、激しい市場シェア争いをしていた。

ところが、2015年2月に突然、両社は合併することを発表している。ちなみに、この両社で中国のタクシー配車サービスの市場シェア99.8%を占めていると言われている。

滴滴打車(北京市)には中国の大手IT企業の騰訊控股(テンセント)が出資し、快的打車(浙江省)にはネットショッピングモール「淘宝網(タオバオ)」を展開する中国最大手電子商取引企業のアリババが出資している。大手IT企業によるO2O(online to offline)競争のひとつとして注目を集めていた。O2O(online to offline)は、インターネットからネット以外のサービスにつなげるマーケティング方法で最近注目を集めている。

騰訊控股(テンセント)とは?
騰訊控股(テンセント)は、中国版LINEの微信(Wechat)やチャットソフトのQQを展開している中国を代表するIT企業。1998年11月に馬化騰(1971年生まれ)が広東省深セン市に設立。2004年に香港証券取引所に上場。

2.最近では専用ハイヤー手配の競争

神州専車、Uber(ウーバー)、つぎつぎ参入!

最近ではタクシー配車サービスだけでなく、中高級車による専用ハイヤー配車サービスもどんどん出てきている。2015年1月からスタートしている神州専車は、すでに中国本土の60都市以上でサービスを展開している。もともと大手自動車リース会社である神州租車有限公司が自動車リースを展開しており、2015年1月から運転手付きでサービスを提供するというもの。

中国のタクシー不足を「専車」という運転手付き自動車リースでカバーしようという試みだ。神州租車有限公司はリース用の自動車を13万台も保有している。

この神州専車の競合(ライバル)になるのは世界各国でサービスを展開しているUber(ウーバーテクノロジー)。Uber(ウーバー)は北京、上海、広州、深センに参入し、各地のリース会社と提携して事業展開をおこなっている。この分野では74都市以上で展開している易到用車(北京市)や滴滴専車(北京市)もある。滴滴専車は、タクシー配車サービスを展開している滴滴打車が2014年8月から展開している

(写真1)2015年に入ってから自動車ハイヤー配車サービスの広告が目立つ

(写真1)2015年に入ってから自動車ハイヤー配車サービスの広告が目立つ

百度(Baidu)マップにはUber(ウーバー)、百度順風車

じつは自動車ハイヤー配車サービスのUber(ウーバー)には中国検索エンジンで圧倒的な市場シェアをもっている百度(Baidu)が出資している。百度(Baidu)の地図アプリには、すでにUber(ウーバー)のサービスを手配できる機能がもり込まれている。地図アプリ上でサービス提供可能な自動車を表示することが可能だ。

百度の地図アプリには百度順風車という乗り合い(相乗り)サービスも手配可能だ。中国語で順風(同じ方向)の車という意味で、向かう方向が同じ人が乗り合う仕組み。中国で乗り合いの仕組みは「拼車(ピンチャー、PinChe)」と言われる。

(写真2)百度(Baidu)の地図アプリのサービス

(写真2)百度(Baidu)の地図アプリのサービス

百度の地図アプリでUber(ウーバー)の機能をオンにすると、画面のように「もっとも近い運転手は約○分で到着する」と表示されるようになっている。

(写真3)百度(Baidu)の地図アプリでUber(ウーバー)機能をONにしたとき

(写真3)百度(Baidu)の地図アプリでUber(ウーバー)機能をONにしたとき

3.配車サービスの違いは?

タクシー配車だけではない!日本でも配車サービス登場!

これらの配車サービスを整理すると、中国で現在提供されている配車サービスはつぎの3つに分かれる。(1)タクシーを配車するサービス(2)リース用の自動車を運転手付きで配車するサービス(3)同じ方向の目的地に乗り合わせでリース車(運転手付き)やタクシーを配車するサービス。

中国では日本よりもタクシー料金が所得にたいして低く抑えられているので、日本以上に需要が多い。中国でタクシーは気軽に利用できる交通手段になっている。日本では2015年1月よりLINE株式会社が「LINE TAXI(ライン タクシー)」として配車サービスを行っている。「LINE TAXI」はチャットアプリのLINE(ライン)から配車手配できる。ただし、利用前にクレジットカードをモバイル決済サービス「LINE Pay」に登録しておく必要がある。

日本でも中国でも配車できない車は?

日本でUber(ウーバー)が参入したときに、日本でのサービス展開について法規制が話題になることが多かった。中国でも同様だ。顧客に乗車サービスを提供して対価を得るためには、事前に営業許可を得ていること。営業許可をもっていない自家用車で乗車サービスを提供できない。これは中国の法律でも同じ。そのために、営業許可を取得したリース会社との提携が進んでいる。(了)

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