中国の生活、ビジネスに役立つ情報を発信するサイト

中国最大級のゲーム見本市、ChinaJoy(チャイナジョイ)!

上海で開催されたチャイナジョイが閉幕した。中国最大級のゲーム見本市のチャイナジョイは4日間で27.3万人の来場者総数。中国では家庭用ゲーム機の販売が2015年から解禁されたばかりで、さらなるゲーム市場の拡大が期待されている。

1.チャイナジョイ2015

中国の若者のあいだで高まるゲーム、アニメ人気!

中国最大級のゲーム見本市(展示会)のChinaJoy(チャイナジョイ)が2015年7月30日~8月2日までの4日間、上海新国際博覧中心で開催された。来場者総数は27.3万人(前年は25万人)。中国では10代~20代を中心にゲーム、アニメ、コスプレへの注目が年々高まっている。

今回のチャイナジョイの来場者をみると、10代後半~20代の若者の姿が目立つ。ざっと見た感じでは男性8割、女性2割。入場チケットは平日70元(約1,400円)、週末(土日)は120元(約2,400円)と決して安くはないものの、年1回の大イベントということで中国各地から集まってきている。チャイナジョイが開催されている期間は、上海新国際博覧中心(上海市浦東新区)の周辺のホテル宿泊料は大幅に上昇。

(写真1)チャイナジョイの会場に入る来場者、若者であふれかえる

(写真1)チャイナジョイの会場に入る来場者、若者であふれかえる

華住グループが展開する低価格ビジネスホテルの漢庭酒店(竜陽路店)は、チャイナジョイ開催期間中の宿泊料金、1泊あたり最低400元(約8,000円)。上海のほかの漢庭酒店の宿泊料相場は180元~250元(約3,600円)となっており、チャイナジョイの影響で一時的にホテル価格の上昇が起こっていることがわかる。

チャイナジョイ(ChinaJoy)とは?
チャイナジョイとは、上海で毎年行われている中国最大級のゲーム見本市(展示会)。正式名称は中国国際デジタル娯楽展覧会(China Digital Entertainment Expo&Conference)で、チャイナジョイ(ChinaJoy)というイベント名で認知されている。2015年の来場者数は27.3万人。

便利な電子チケット、活躍する電子決済サービス!

20万人以上の来場者総数を見込んだチャイナジョイでは、阿里巴巴(アリババ)集団が展開している電子決済サービスの支付宝(アリペイ)で電子版の入場チケットを購入できるようになっている。この電子チケットは現物のチケットと交換する必要はない。バーコードが印字されている電子チケットを入場ゲートで読み取ってもらうと、そのまま入場可能だ。

(写真2)電子決済サービス「支付宝(アリペイ)」の電子チケットエリア

(写真2)電子決済サービス「支付宝(アリペイ)」の電子チケットエリア

支付宝(アリペイ)とは?
支付宝(アリペイ)とは、阿里巴巴(アリババ)集団が展開している電子決済サービス。2004年からサービス開始。インターネット上で決済できるだけでなく、ファミリーマートや大手スーパーのカルフールなどの実店舗での利用も進んでいる。利用登録者は3億人超で、実際のアクティブユーザー数は2.7億人と公表されている。

2.チャイナジョイの会場内のようす

バンダイのガンダムは中国で根強い人気!

チャイナジョイの会場内では、バンダイ(中国語では万代)のガンダムプラモデルの即売会が行われている。じつは中国で人気の高いガンダム。

(写真3)ガンプラで親しまれているバンダイのプラモデル(チャイナジョイ会場)

(写真3)ガンプラで親しまれているバンダイのプラモデル(チャイナジョイ会場)

日本よりも割高なガンダムのプラモデル!

チャイナジョイの会場で販売されているガンダムプラモデル(ガンプラ)のリアルグレードシリーズ(RG)を見ると、会場価格としては225元(約4,500円)で販売されている。バンダイは阿里巴巴(アリババ)が運営している天猫商城(Tmall)にネットショップ「万代官方旗艦店」を出店していて、このネットショップでは250元~300元(約5,000円~6,000円)くらいで販売されているので即売会のほうが少しだけ安い。

日本のネット通販サイトのアマゾンで同グレード商品の価格をみると、1,800円~2,500円で販売されている。中国では日本の販売価格よりも割高になっているが、会場の価格表をみると不思議な計算式が。「100(会場価格)=2500(日本の小売価格)×0.04(現場の数式)」、いったい何を示しているのだろうか?

(写真4)ガンプラのRGシリーズは225元(約4,500円)で販売されている

(写真4)ガンプラのRGシリーズは225元(約4,500円)で販売されている

中国ではフィギュア人形も大人気!

チャイナジョイや中国国際動漫遊戯博覧会(CCG EXPO)のようなゲーム、アニメイベントでは、フィギュア人形の展示だけでなく即売会も実施されている。中国人のなかにもマニアックなフィギュアの世界にお金をかける人が少なくないようだ。

(写真5)中国ではフィギュアも人気、写真撮影する人も少なくない

(写真5)中国ではフィギュアも人気、写真撮影する人も少なくない

3.家庭用ゲーム機の解禁元年

マイクロソフトのXbox、中国に浸透するか!?

中国では2015年から家庭用ゲーム機が正式に解禁されている。ゲーム業界以外のひとは知らない人も多いだろうが、中国では2000年6月から家庭用ゲーム機の販売が禁止されている。中国(上海)自由貿易区という特別区の設置により、中国国内向けの家庭用ゲーム機の流通が解禁され、2015年1月からは中国全土への販売が可能になっている。

中国人のあいだでは家電・デジタルメーカーとしてのソニーは知っているが、プレイステーション(PlayStation)の製造メーカーであるソニーとしては認知されていない。任天堂も残念ながら中国国内では認知度はかなり低い。これまでの家庭用ゲーム機に対する中国当局の販売禁止令が大きく影響している。

(写真6)2015年は家庭用ゲーム機の解禁元年、Xboxは流行するのか?

(写真6)2015年は家庭用ゲーム機の解禁元年、Xboxは流行するのか?

中国国内のゲーム機器の販売禁止令
中国国内のゲーム機器の販売禁止令は、青少年(子ども)への教育面やゲームセンターなどの治安面のマイナス影響を考え、2000年6月からスタート。上海自由貿易区で試験的に家庭用ゲーム機の製造販売の解禁がはじまり、2015年1月より中国全土で解禁されている。

ゲームソフトの本数で苦戦、ソニーのPlayStation4

ソニーは2015年3月20日に正式発売したばかりのPlayStation4やPlayStation Vitaの販売に力をいれている。ソニーの子会社であるソニー・コンピュータエンタテインメントの日本人幹部がチャイナジョイのブースに設置された舞台に立つと、会場からは大きな拍手が巻き起こった。中国人来場者たちのPlayStationへの関心度が伝わってくる。

もちろん中国最大級のゲーム見本市ということで、会場に集まっている中国人来場者たちは家庭用ゲーム機などに関心が高い人ばかり。この会場の雰囲気だけで判断するのは正確ではないが、中国人のなかには家電・デジタル製品のソニーファンも多く、そのソニーの販売する家庭用ゲーム機に大きな期待をもっているのだろう。

いっぽうで、中国当局のゲームソフトの審査が遅く、PlayStationは現時点で合計20本のゲームソフトしか販売できていないのが実情だ。中国の国家新聞出版広電総局という政府機関が出版物、映像作品、ゲームソフトなどの各作品に違法な内容がないか審査している。ソニーをはじめとするゲーム会社としては、ユーザーがゲームソフト発売までのスピードに不満をもたないか経営陣としては大きな心配だろう。

(写真7)チャイナジョイのソニーのブース、歓迎される日本人幹部たち

(写真7)チャイナジョイのソニーのブース、歓迎される日本人幹部たち

大きなブースを構えるDeNA(ディーエヌエー)

ソニー(プレイステーション)やマイクロソフト(Xbox)などの家庭用ゲーム機を販売する会社だけでなく、スマートフォン(スマホ)のゲームアプリを展開するDeNAなどの日系企業も大きなブースを出展している。DeNAは中国国際動漫遊戯博覧会(CCG EXPO)にも大きなブースを出展しており、中国市場に力を入れているのが伝わってくる。

(写真8)DeNAのコンパニオン、今年は服装規定が厳しく露出が制限されている

(写真8)DeNAのコンパニオン、今年は服装規定が厳しく露出が制限されている

チャイナジョイは4日間の短い日程であるものの、最新のゲーム、アニメの動向を知ることができる。なにより、中国人のゲーム、アニメに対する高い関心を知る絶好の機会。中国市場に力をいれている各メーカーにとって、重要なユーザー動向のひとつ。中国は経済発展が減速しつつも消費規模は増加傾向にあることに変わりはない。どんどん豊かになる中国市場を理解するには、チャイナジョイなどの大型イベントに参加してみるとよいかもしれない。(了)

top of page