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南京市内の観光スポット、近代史博物館となった総統府!

南京市(江蘇省)には魅力あふれる観光スポットが少なくない。南京総統府もそのひとつ。中国の近代史に欠かすことのできない総統府は、いまでは近代史博物館に改築され、中国各地の観光客であふれる南京を代表するスポットになっている。

1.南京(江蘇省)の総統府

中華人民共和国の建国前に政府が置かれた総統府!

江蘇省の省政府機関が置かれている省都(県庁所在地に相当)の南京市。南京市に観光で訪れる日本人は多くないものの、南京市には中山陵(ちゅうざんりょう)、夫子廟(ふうしびょう)などの観光名所が少なくない。その観光名所のひとつとなっているのは、近代史博物館となった南京総統府。1911年の辛亥革命により、1912年1月に南京総統府に中華民国臨時政府が樹立された(1912年4月に臨時政府は北京に移された)。

その後、1998年に使われなくなっていた総統府に近代史博物館の建設が計画され、5年の歳月をかけて2003年に完成したのが現在の総統府。いまでは南京を代表する大型博物館としてたくさんの中国人観光客が訪れる観光スポットになっている。

(写真1)南京総統府(近代史博物館)の入り口、観光客に人気のスポット

(写真1)南京総統府(近代史博物館)の入り口、観光客に人気のスポット

江蘇省の南京市とは?
南京市は、江蘇省の省都(県庁所在地に相当)。上海市から高速鉄道で約1時間15分の内陸側に位置する。南京市の総人口は821万人(2014年末)で、同じ江蘇省の蘇州市(1,060万人)よりも少ない。南京市には中山陵や夫子廟など観光スポットも多い。

2.南京を代表する観光スポット

南京中国近代史遺址博物館が正式名称、入場料40元(約800円)

南京総統府は「南京中国近代史遺址博物館」が正式な名称だ。ただ、南京総統府として認知されているので、中国人のあいだでも南京総統府と言ったほうが話は通じやすい。入場料は40元(約800円)。

1911年の辛亥革命以降の中国近現代史に興味をもっている人は、総統府の展示物や解説をしっかり見学すると、2時間前後はかかってしまうだろう。いっぽう、中国近現代史に興味がない人は、総統府のなかの展示物や建造物を見ることが中心になり、1時間くらいの見学時間があれば十分だろう。

(写真2)南京総統府の入場チケット、1枚40元(約800円)(江蘇省・南京)

(写真2)南京総統府の入場チケット、1枚40元(約800円)(江蘇省・南京)

辛亥革命とは?
辛亥革命とは、清朝という君主制統治を終わらせ中華民国が建国された中国の革命。1911年10月~1912年2月12日の清朝の溥儀(宣統帝、清朝12代皇帝)の退位までの期間を指す。孫文(孫中山)は辛亥革命の代表的指導者のひとり。

日本語で解説された説明文も設置されている!

総統府のなかの展示品のほとんどは解説がつけられている。その多くの解説は中国語、英語、日本語の3か国語で説明されている。南京市を訪れる日本人観光客はそれほど多くないものの、総統府だけでなく、南京市内の多くの観光名所で日本語の解説が用意されているのは予想外だった。

(写真3)南京総統府のなかの様子、古い歴史を感じる建造物(江蘇省・南京)

(写真3)南京総統府のなかの様子、古い歴史を感じる建造物(江蘇省・南京)

3.観光客であふれる総統府

辛亥革命(清朝の打倒)以降の中国近現代が理解できる!

この南京総統府には中国近現代史にかかすことができない孫文、蒋介石が深く関係している。孫文は1912年に中華民国臨時政府を南京総統府に置いた。蒋介石は1927年に南京国民政府をここに置いている。ちなみに、中国では孫文は「孫中山」の名前のほうが一般的に認知されており、蒋介石は台湾では「蒋中正」の名前のほうが認知度は高い。

そのため、1911年の辛亥革命以降の孫文や蒋介石にかかわる展示品、写真などが多い。もうひとり、親日派だった汪兆銘が中華民国維新政府(1940年~1945年)を南京総統府に置いたものの、汪兆銘に関する展示史料はあまり多くない。親日派であった汪兆銘は中国では裏切者として位置付けられていることが理由のようだ。

(写真4)南京総統府のきれいな通路、赤色の柱が建造物にマッチしている

(写真4)南京総統府のきれいな通路、赤色の柱が建造物にマッチしている

孫文(孫中山)、中国・台湾の両方から評価される人物!

中国の近現代史のなかで、孫文をのぞいて中国と台湾の両方から評価される歴史上の人物はそれほど多くない。1911年の辛亥革命により、清朝の統治を終わらせて民主国家をスタートさせた人物として、孫文は中国と台湾から肯定的に評価されている。

南京総統府にも孫文に関する史料がたくさん展示されている。この南京総統府からバスで30分くらいのところには、中山陵(ちゅうざんりょう)という孫文のお墓もある。この中山陵も南京の観光名所のひとつになっている。

(写真5)孫文を描いた絵画、孫文の写真も数多く展示されている(南京総統府)

(写真5)孫文を描いた絵画、孫文の写真も数多く展示されている(南京総統府)

立ち入り禁止場所に入る子ども、中国ではよく見かける!

南京総統府のなかを見学していると、立ち入り禁止のところで写真撮影している中国人観光客が少なくない。このような中国の観光スポットで本当に立ち入り禁止にしようとすると、物理的に入れないようにするか、警備員を張りつけておかないと防ぐことはできないだろう。

(写真6)中華民国建国の集合写真、立ち入り禁止場所に入る子ども(南京総統府)

(写真6)中華民国建国の集合写真、立ち入り禁止場所に入る子ども(南京総統府)

南京市は上海から高速鉄道(中国版の新幹線)で約1時間15分のところに位置している。高速鉄道が運行されるまでは普通列車で4時間ほどかかったが、いまでは簡単にアクセスできる都市になった。南京は観光スポットも多く、市内中心部も歴史あふれる街並みとなっていて、是非とも訪れたい都市のひとつだ。(了)

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