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名創優品(MINISO)、中国を代表する雑貨ショップになれるか!?

中国国内で1,000店舗以上をたった2年で出店した雑貨などの商品を販売する名創優品。名創優品の急成長ぶりがすごい。1年前にくらべてオリジナル商品は急増し、中国で独自のポジションを構築している大手小売りチェーンに成長している。

1.爆発的に出店する名創優品(メイソウ)

創業から2年足らずで1,000店舗突破!勢いが止まらない

中国各地の繁華街で見かけるようになった雑貨・インテリア専門店の名創優品(MINISO、メイソウ)。中国で生活する日本人のあいだでも、「100円均一ショップのダイソーに名前が似ている」、「ロゴがユニクロに似ている」、「日本品質となっているが、日本で見たことない」と話題にのぼることも多い話題のお店。

名創優品とはどのようなお店なのだろうか?2013年9月に広州市(広東省)で1店舗目を出店してから、名創優品はたった2年間で中国各地に1,100店舗を出店している中国で急成長中の小売りショップ。中国の報道によると、名創優品の全店舗合計ベースで1日あたりの来店者数(延べ人数)は約500万人、1店舗あたり毎日平均4,500人が来店する計算になり、信じられない集客力をほこるチェーン店だ。2015年の年間売上高は50億元(約1,000億円)を見込んでいる。

(写真1)南京市(江蘇省)の名創優品(メイソウ)、オシャレな店舗デザイン

(写真1)南京市(江蘇省)の名創優品(メイソウ)、オシャレな店舗デザイン

名創優品の創業者は葉国富氏、1977年生まれの青年実業家だ。もともと、葉国富氏はアクセサリーショップの「哎呀呀(Aiyaya)」を立ち上げ、全国にチェーン展開させた小売りのプロ経営者。「哎呀呀(Aiyaya)」での経験があったからこそ、たった2年間で1,000店舗以上の急拡大ができたのだろう。商品開発や店舗運営、人材管理などを考えると、まったくの素人が2年間で1,000店舗以上の全国チェーン店を作ることは奇跡に近い。

名創優品(MINISO)とは?
名創優品(MINISO)は、日本人の三宅順也氏が首席統括デザイナーをしている10元ショップ。あくまでも日本品質を主張しており、ほとんどの製品は中国で生産されている。驚くような低価格で雑貨を販売しており、中国の若者に大人気。2014年末には中国本土で370店舗あまり展開されている。

2.名創優品(メイソウ)の戦略

なによりコストパフォーマンス!顧客からの高い支持

名創優品(メイソウ)は当初、「日本品質」をかかげているにもかかわらず製品のほとんどを広東省で製造していることがインターネット上で批判されていた。そもそも、「日本品質」と言いつつ中国企業ではないかという声もあった。しかし、最近では中国人の若者のあいだでは、名創優品は「コストパフォーマンスが高い」、「価格を考えると安い」、「中国企業でも安くて品質が良ければいい。名創優品はいい。」という評判がインターネット上に多い。

名創優品は主に18歳~28歳の若い女性をターゲットにしている。名創優品の販売商品はパッケージがオシャレで、価格は10元~20元(約200円~400円)のものが中心だ。価格が50元(約1,000円)を超える商品はそれほど多くない。

名創優品の商品が低価格なのは、製造小売業方式(いわゆるSPA方式)を取っているからだ。ユニクロ(ファーストリテイリング)と同じように製造から販売まで一貫してかかわることで、中間業者を排除してコストを抑えている。創業者の葉国富氏もユニクロの事業モデルを参考にしているとインタビューに答えている。

(写真2)ユニクロモデルを参考にする名創優品、企業ロゴも似ている

(写真2)ユニクロモデルを参考にする名創優品、企業ロゴも似ている

大都市の繁華街には必ず出店している名創優品(メイソウ)

創業者の葉国富氏によると、名創優品は2020年までに全世界6,000店舗まで拡大する計画だ。そのうちの半分は中国国外に出店する予定で、売上高は600億元(約1兆2,000億円)を想定している。いまのところ中国の消費者に受け入れられているので、中国国内ではまだまだ伸びる余力は大きいだろう。

店舗数が増えれば規模のメリットが発生し、利益率も向上するだろう。名創優品がたった2年間で1,100店舗まで拡大した背景には、独自のフランチャイズチェーン方式がある。1店舗あたり新規出店に200万元(約4,000万円)ほど必要になるが、名創優品では日次ベースで売上高の38%をオーナーに還元する仕組みをとっている。

(写真3)常熟市(江蘇省)の名創優品、店舗スタッフも20代中心

(写真3)常熟市(江蘇省)の名創優品、店舗スタッフも20代中心

中国ではネット通販の拡大により実店舗ビジネスは苦戦している。そのような経済状況で、名創優品は実店舗ビジネスの成長企業のうちの1社。それも成長速度は驚くほど早い。中国ではテナントを埋めれない商業施設が多く、名創優品は不動産業者からも歓迎されているだろう。

無印良品とはターゲット層がことなる!

名創優品が狙っているターゲット層(18歳~28歳の若い女性)に対して、いまのところ雑貨、インテリア商品の強力なライバルは見当たらない。日系の無印良品が中国で同じような商品分野を販売しているものの、無印良品の販売価格は名創優品の2~4倍ほど。無印良品の主な顧客は大都市でマイホームを購入済みの比較的裕福なホワイトカラーが中心。いっぽう、名創優品は大学生から年齢の若い会社員、出稼ぎに来ている工場のワーカーも対象になるだろう。

名創優品に来る顧客は、明確な目的の商品があって来店するのではない。たまたま通りすがって、衝動買いする人がほとんどだろう。中国人の若者たちは休日に繁華街をブラブラすることが多く、名創優品はそのような消費者をうまく取り込んでいる。

(写真4)中国では少し高級なイメージが強い無印良品(広東省・深セン市)

(写真4)中国では少し高級なイメージが強い無印良品(広東省・深セン市)

正直なところ、最初に名創優品を見たときは「すぐにダメになるのでは?」と感じたものの、見事にその予想ははずれてしまった。数か月に1度、名創優品の実店舗を見ていると、名創優品のオリジナル商品は月を追うごとに増えている。日本のダイソー(100円均一ショップ)のように「安くて質の良い」がさらに定着すれば、名創優品はますます成長していくかもしれない。(了)

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