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中国での住宅購入、住宅積立金と商業ローンという借入方法

日本人が賃貸しているマンションは、不動産物件のオーナーが購入したモノです。中国の物件オーナーはどのようにして分譲マンションを購入しているのでしょうか。中国人が活用している住宅積立金と商業ローンについて調べてみました。

1.中国人はどのようにして住宅を購入している?

中国人は現金で購入する?

中国人がマンションなどの住宅を購入するとき、どのようにして購入しているのでしょうか?日系の金融関係の人から数年前、「中国人は借金が嫌いなので、親戚からお金を集めて現金でマンションを購入している」と聞いたことがあります。

貯蓄率がかなり高い中国では現金をたくさん持っている家庭も少なくないでしょう。ちなみに、中国の家計貯蓄率は収入の51%(2005年)です。日本は収入額(可処分所得額)に対してマイナス0.5%(2013年)の割合で貯蓄を取り崩している状況です。中国の51%はすこし高すぎるように思いますが、日本の貯蓄率がマイナスであることは驚きです。

貯蓄率とは?
貯蓄率とは、収入の可処分所得額を貯蓄する額で割った比率。中国の貯蓄率が高いのは国の社会保障が十分でないから国民は将来のために貯金していると言われる。中国経済にとっても個人消費が伸びない要因といわれている。

基本的にはローンで購入しています!

中国人の知人に聞いてみると、住宅価格が高騰していて借入(ローン)で購入することが一般的のようです。両親から頭金部分について支払ってもらうということは多いようです。

中国政府は住宅市場の価格急上昇を抑えるために、一軒目の住宅の購入は購入額の30%以上を頭金として支払うことと定めています。住宅購入時の住宅ローンの部分を制限することで不動産市場をコントロールしようとしています。

ちなみに、これまでは二軒目の住宅購入時には購入額の60%以上の頭金を求めていました。しかし、2014年10月2日付の人民網の報道によると、最近の住宅価格下落を考慮して二軒目のときの頭金は60%以上から30%以上に減額される見込みです。

中国の住宅ローンには、住宅積立金をつかったローンと商業ローン(銀行ローン)の大きく2つあります。この2つのローンが一般的に使われています。

2.中国の住宅ローンの方法

中国の住宅積立金はけっこう積み立てられる

中国で企業や団体などで働いている人は、住宅積立金に加入して毎月積みたてをおこなっています。上海市では2014年度(2014年7月~2015年6月)、住宅積立金の納付比率は企業と個人がそれぞれ平均給与の7%を拠出することになっています。合計すると平均給与の14%になります(上海市積立金管理センターより)。

たとえば、毎月の平均給与が6,000元(約9.9万円)の場合、企業側(7%)と従業員個人側(7%)を合計した14%の840元(約1.4万円)が積み立てられます。けっこう大きな積立金です。

銀行ローンより住宅積立金ローンの金利は低い

この住宅積立金に加入していると、住宅積立金の住宅ローンを借りることができます。この住宅ローンは中国の銀行からの借入よりも金利は低くなります。

銀行ローンは中国人民銀行が基準金利というものを設定していまして、現在は年利6.55%(5年以上の貸出)になっています。いっぽう、住宅積立金のローンは、年利4.5%(5年以上の貸出)と銀行ローンよりも約2%ほど金利が低くなっています。

住宅積立金のローンは最高80万元まで

上海市では住宅積立金のローンの最高貸出限度は80万元(約1,320万円)となっています。不動産価格が高騰している上海市では80万元では足りません。また、住宅積立金のローンは、これまでの積立期間や積立額などの条件により、さらに貸出額が少なくなることもあります。

そのため、金利は住宅積立金のローンよりも高いですが、銀行による住宅ローン(商業ローンと言われる)が利用されています。この住宅積立金と商業ローンをあわせた借入は「組合貸款(組合ローン)」と呼ばれています。(了)

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