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中国で売られている飲用水の種類、やっと分かった硬水と軟水

これまで深く考えずにウォーターサーバーの飲用水を選んで飲んでいると、なぜかお腹が張ってくるような気が・・・。せっかくの機会だと思い、中国で販売されている飲用水について調べてみると新しい発見が!

1.さりげなく売られている飲用水の名前に違いが?

ミネラルウォーターと単純に分類できない

中国のコンビニやスーパーで販売されている飲用水には、細かい区別があったのだ。販売されている飲用水の表(下記の写真1)をじっくり見てみると、「純浄水」「蒸留水」「鉱泉水」「山泉水」など名称に違いが!

調べていくと、中国には国家標準の「飲料通則」(2008年12月実施)という基準があり、飲用水の違いに明確な定義が決められている。購入しているペッドボトルの水だから、すべて天然のミネラルウォーターだと思っていたら大きな誤解。これまで清潔な飲水という意味で中国語の「鉱泉水」(日本語:ミネラルウォーター)を使ってきたが、これからは使い方を考えないと。

(写真1)よく見ると「純浄水」「蒸留水」「鉱泉水」「山泉水」など分かれている

(写真1)よく見ると「純浄水」「蒸留水」「鉱泉水」「山泉水」など分かれている

2.販売されている飲用水の種類

純浄水と蒸留水

「純浄水」「蒸留水」は、通常の水(水道水)を蒸留したり濾過(ろか)して、よりキレイにしている水である。ただ、もともとは水道水である。国家標準の「飲料通則」によると、一定の加工をしてミネラル物質を取り除かれていることと定義されている。

「純浄水」や「蒸留水」は水道水のグレードアップ版。てっきり、天然のキレイで体に良い飲用水だと思い違いしていた。「蒸留水」は「純浄水」の一種である。

鉱泉水

「鉱泉水」は、地下水を使うケースと、浄水された水道水を使うケースに分かれる。ポイントは国家標準で決められた成分を満たす必要があり、ミネラル物質が多く含まれている。ミネラルが多いと、pHという値が高くなり、アルカリ性が高いことを表す。

アルカリ性が高い水は、胃腸の調子を整えたり、アトピーに良いと言われたりしているが・・・。ただ、完全に「鉱泉水」という日本語でのミネラルウォーターというイメージから、すべての「鉱泉水」を天然の水だと勘違いしていた。水道水を浄化したものも含まれている。

山泉水

国家標準「飲料通則」には、「山泉水」と定義されている飲用水はない。「飲料通則」では、「天然鉱泉水」「天然泉水」「その他の天然飲料水」として地下水を含めて自然にわき出た水を定義している。「飲料通則」をみていると、「天然」と明記されていることがポイントだ。

ただし、広東省食品安全地方標準という地方標準に「天然山泉水」が記載されている。この地方標準をみると、「国家標準に天然山泉水がないので、天然山泉水の健全な発展のため、飲用水業界の管理をルール化し、製品の品質を定めるため規定する」と記載されている。

この地方標準によると、「山泉水」は山から自然にわき出た水であり、河川、湖、水道水の水源でない。適切に消毒をして、一定のミネラル物質を含んでいる必要がある。

3.やっと分かった硬水と軟水!

硬水と軟水って何が違う?

中国の飲用水の違いを調べていくなかで、確か硬水と軟水という区別もあったような・・・。硬水は水に含まれるカルシウムイオンやマグネシウムイオンの濃度が高い水。このカルシウムやマグネシウムの数値を硬度というので、硬度が高い水を硬水という。軟水は反対に、硬度が低いものである。このカルシウムやマグネシウムはまさにミネラル物質。

硬度の算出方法(簡便式)
硬度=(カルシウム量mg/L✕2.5)+(マグネシウム量mg/L✕4.1)

世界保健機関(WHO)の基準によると、硬度が0~120mg/L未満が軟水で、120mg/L以上を硬水という。

硬度の表示方法は?
硬度を表す方法は国により異なり、日本やアメリカではカルシウムとマグネシウムの量を「炭酸カルシウム量(CaCO3)」に換算したものを硬度としている。mg/Lやppmで表記される。これを計算式で表すと、上記のようになる。

「農夫山泉天然水」は硬水か?

ウォーターサーバーで使用している「農夫山泉天然水」の硬度はつぎの通り。

(写真2)「農夫山泉」のラベル

(写真2)「農夫山泉」のラベル

カルシウム量400μg/100ml→4.0mg/1L
マグネシウム量50μg/100ml→0.5mg/1L
(4.0mg/L✕2.5)+(0.5mg/L✕4.1)=10mg/L+2.05mg/L≒12mg/L

今回購入した「農夫山泉天然水」は、WHOの基準から考えると「軟水」に該当する。ここ数日、お腹が張っているのは硬水の「農夫山泉天然水」を毎日飲んでいるからと思い込んでいたが・・。普通の「軟水」だった。

よく分からない表示
ラベルの≧の記号が気になる。○○以上のミネラル成分を含んでいると表しているのか?公式ホームページを見ても国家基準を満たしていることしか分からない。

酸性とアルカリ性を表すpH度は約7.3。東京都水道局の「水道水質基準にも定められているpH。みなさんご存じですか??」によると、7.0は中性であり、ほぼ日本の水道水のレベル。硬水を飲んでお腹が張っていると思っていたのは完全な思い違いだった。はたして、硬度とアルカリ度が普通の「農夫山泉天然水」は水道水を浄化した純浄水と何がちがうのか?

(写真3)ペッドボトルの「農夫山泉天然水」

(写真3)ペッドボトルの「農夫山泉天然水」

なお、中国人はウォーターサーバーの購入する飲用水よりも、沸騰させた水道水または浄水器を通した水道水のほうが、衛生面で安心感をもっている。(了)

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