中国で飲用水の購入は必須?!水道水は本当に飲めないのか?
これまで中国に住んでいて「中国の水道水」は不衛生で飲めないはずと決めつけていた。蛇口をひねって出てくる水は異臭がするわけではない。はたして本当に飲めないレベルなのか?中国人は飲用水をどうしてるのか?
1.これまで飲まなかった中国の水道水
ほんとうに飲めない?
中国の水道水についてインターネットで調べて、さらに複数の中国人の知人にも水道水の安全性についてヒアリングを実施。中国には国家標準の「生活飲用水衛生標準」というものがあり、この標準が求めているレベルはかなり高いようだ。日本などの先進国レベルと変わらず、基準を満たしている限りは飲用水として問題ないようだ。
もちろん蛇口から出てくる水道水が基準を満たしていないと、先進国レベルの基準は意味がない。ただ、複数の中国人の知人は、沸騰させた水道水のほうがウォーターサーバーの販売されているボトル水より安全と考えている。
中国検索エンジン大手の百度(バイドゥ、Baidu)が運営しているウィキペディア(Wikipedia)に類似した百度百科(Baidu Baike)の「自来水」(日本語:水道水)によると、中国人が水道水の水質に疑問をもっているのは、浄水処理と浄水したあとの給水の2つに原因があるようだ。
2.中国の水道水、浄水処理のときの疑問点とは?
重金属と発ガン性物質が含まれている?
もともと中国の水源(河川、湖、地下水など)の多くは、水銀、カドニウム、ニッケル、鉛などの重金属に汚染されていると言われる。通常の浄水処理(以下、補足)では、この重金属に汚染された水を飲用できるレベルまで浄水できないのではないかと疑問をもっている人がいるようだ。
通常の浄水処理で殺菌のため塩素消毒が必要になり、その塩素消毒の結果として発ガン性物質が残ってしまうと思われているのも安全に対する不安の一つだ。
- 浄水処理の方法
- 通常の浄水処理は、沈殿、濾過(ろか)、塩素消毒をおこなう。塩素消毒をすると発ガン性のトリハロメタンという物質が発生する。
ただ、国家標準「生活飲用水衛生標準」の水質レベルは厳しく、基準を満たしていれば、多少の発ガン性物質が残っていても飲用水としては問題ない。
重金属と発ガン性物質を取り除く高度浄水処理!
健康に影響があるレベルかどうか別にして、残っている重金属と発ガン性物質を取り除くには、どうすれば良いのか?高度浄水処理という処理方法があり、その浄水処理をした水道水の水質はかなりレベルが高いと言われている。
- 高度浄水処理とは?
- 通常の浄水処理は、沈殿、濾過、塩素消毒をおこなう。高度浄水処理は、さらに複数の浄水工程を行う。カビやカルキなどの臭さを取り除くだけでなく、重金属や塩素消毒で発生する発ガン性のトリハロメタンという物質も取り除くことができる。
じつは北京や上海などの多くの浄水場では、すでに高度浄水処理を導入している(上海市水務局も高度浄水処理を進めていることを公表している)。そうすると、高度浄水処理で浄水された水が給水されている地域では、水質レベルはかなり高いはずだ。
3.浄水してから蛇口から水道水が出るまでの問題は?
水道管の老朽化?
百度百科によると、中国人は浄水場から家庭に供給されるまでの水道管や貯水池で水質が悪化しているのではないかと疑問をもっているという。水道管の材質が悪かったり、水道管の老朽化が要因だと思われている。
4.中国人は飲用水をどうしているのか?
中国人の知人は、水道水について次のように話してくれた。中国に住んでいる日本人の水道水のイメージと異なり、ヒアリングした中国人の知人はウォーターサーバーのボトル水よりも水道水を信用していることがわかる。
5.日本は高度浄水処理をつかっているのか?
大阪府の浄水場では、すべて高度浄水処理を導入している。しかし、日本のすべての地域で高度浄水処理が導入されているわけではない。東京都は高度浄水処理の導入を進めているようで、東京都水道局のホームページには次のように掲載されている(2014年5月24日時点)。
東京都水道局ホームページより
多摩川上流部や相模川と比べると、利根川水系はアンモニア態窒素なども多く、原水水質はあまり良くないんだ。すべてのお客さまにより安全でおいしい水を飲んでいただくため、水道局では、高度浄水処理施設を利根川水系から取水する浄水場に建設しているんだよ。金町浄水場、三郷浄水場及び朝霞浄水場の一部導入に続き、三園浄水場でも平成19年10月に導入したんだよ。さらに東村山浄水場でも導入を予定しているんだ。
(了)