広東省の省都（県庁所在地に相当）である広州市の中心部には、いくつか若者の集まる人気スポットがあります。そのなかで、日本人にはあまり知られていない白雲区の新市墟は、もっとも中国らしいローカル色の強い商業地域のひとつです。
１．広州市内の繁華街
若者向けの新市墟
広州市の繁華街というと、北京路歩行街（越秀区）、上下九歩行街（茘湾区）が有名ですが、じつはもうひとつ新市墟（白雲区新市街道）も中国人の若者に人気のスポットになっています。広州市白雲区では最もにぎやかな商業地区となっています。
- 広東省の広州市
- 広州市は広東省の省都（県庁所在地に相当）。総人口は1,293万人（2013年末）。総面積は7,434k㎡。毎年春と秋には中国進出口商品交易会（広州交易会）と呼ばれる中国最大の見本市（展示会）が行われている。
（写真１）新市墟にある百信広場、建物のまえには巨大な広場が広がっている
いくつかに分かれるスポット
この新市墟は白雲区の新市街道とよばれる地域に広がっています。平日にもかかわらず、中国人の若者であふれかえっています。この新市墟は大きく３つのスポットに分かれていて、百信広場を中心とするエリア、露店販売を中心とするエリア、新市新街とよばれる格安ホテルやローカル商店の集まっているエリアです。
（写真２）広州市白雲区の新市墟周辺の地図、水色の箇所に店舗が集まっている
２．露店販売店の集合エリア
中国らしい雰囲気
広州で人気の繁華街である北京路（越秀区）は観光スポットとしても有名な場所で、しっかりと管理が行き届いた場所になっています。そのため、北京路はあまりにも造られた街の雰囲気が出ていますが、観光スポットではない新市墟は、広州市白雲区に住む若者の絶好のウインドーショッピングエリアです。中国独特の人・商店・露店などが入り混じった雑然とした雰囲気になっています。
（写真３）新市墟の雑然としたエリア、いろんなものが販売されている
衣服、雑貨、靴、携帯など何でも
この新市墟エリアは衣服、雑貨、携帯電話（スマートフォン）など何でも販売されています。広州駅周辺にある卸売市場で仕入れて転売されている商品も少なくないでしょう。このエリアは広州人と潮州人が目をつけて開発した新しい繁華街と言われています。
（写真４）高級品は販売されていない、低所得層がターゲット
３．ターゲットは低所得層の若者
フリーマーケットのような雰囲気
この周辺を歩いている中国人は、10代～20代前半の若者が中心です。広州市の白雲区は、出稼ぎに来た若者が多く住んでいて、その若者たちが休みの日にブラブラするスポットが新市墟です。
中国人の若者（特に外地から出てきた人）の行動範囲はそれほど広くなく、白雲区に住んでいる若者が北京路（越秀区）や天河城（天河区）など別のエリアの繁華街にいくことはあまりありません。
（写真５）フリーマーケットのような雰囲気、ほとんど100元（約2,000円）未満
腕時計が15元（約300円）で販売されている
この店舗の商品を見てみると、腕時計は15元（約300円）から販売されています。低所得層の若者をターゲットとしたショッピングエリアなので、販売されている商品は安いものばかりです。
（写真６）腕時計、ドライヤー、財布が低価格で販売されている
大型の人材紹介マーケットも
出稼ぎの若者が多いため、工場、レストラン、ホテルなどへの人材仲介を行っている人材紹介マーケット（中国では人材市場とよばれる）も設置されています。この人材市場は、日本の職業安定所と就職フェアなどの出展スペースレンタルをあわせたような場所です。
（写真７）とにかくゴミゴミしている新市墟
この新市墟は若者向けのショッピングエリアですが、中国を理解するために日本人が見学にいっても面白いかもしれません。あまり意図的につくられた雰囲気のない、ありのままの広州市の繁華街と言えるでしょう。（了）
