中国の出前アプリ「饿了么」、上海で見かける配送バイク!
中国では日本以上の出前サービスが充実しています。日本では宅配ピザが中心ですが、中国ではマクドナルドやKFCまでも出前サービスを取り入れています。上海では「饿了么」と書かれた宅配バイクを目にすることが多くなってきました。
1.上海で見かける「饿了么」(お腹すいた?)
中国の出前アプリ、配送バイクは広告塔
ここ半年くらいのあいだ、上海の街中で水色の派手なバイクを目にすることが多くなってきました。このバイクには「饿了么」(お腹すいた?)と書かれています。これは上海拉扎斯信息科技有限公司が展開している中国最大の出前アプリ「饿了么(アーラマ)」に使われている配送バイク。
出前アプリ「饿了么」は、スマートフォン(スマホ)を活用して、簡単に出前注文ができてしまうスマホアプリです。
- 出前アプリ「饿了么」とは?
- 出前アプリ「饿了么」は、2009年4月に設立された上海拉扎斯信息科技有限公司が展開中。2013年の売上高は約12億元(約240億円)。ファーストフード店や食堂の出前仲介をベースに、レストランとのつながりを活用してクーポン活用による集客支援事業を展開している。
急成長中の出前アプリ
これまで弁当やピザなどの出前というと、各店舗のチラシや名刺サイズのカードを参考にして出前注文をしなければなりませんでした。この出前アプリ「饿了么」は、さまざまなレストランや食堂の垣根を取り払い、アプリを通して注文することができるようになりました。
もはや、それぞれの店舗で用意されていたメニューや連絡先が書かれたチラシは不要です。それぞれの店舗としても、出前アプリ「饿了么」により、新規顧客を獲得する新しいツールを得ることができました。原価比率の低い出前料理であれば、配送人員やバイクなどに費用をかけても、出前アプリのサービスを活用するメリットもあるのでしょう。
2.シンプルな利用方法
配達先をスマートフォンで選ぶ
この出前アプリ「饿了么」の使い方はとても簡単です。パソコンからの注文も可能ですが、スマートフォンからの注文はさらに簡単。スマートフォンのGPS機能により、アプリを立ち上げると周辺の出前可能な店舗がリスト化されて表示されます。
周辺の出前可能なお店を選べる
この出前アプリの各店舗には、配送時間(平均)、最低注文価格、配送費用、ユーザー評価などが表示されます。現在、出前アプリ「饿了么」は拡大期と位置づけているのか、出前アプリ「饿了么」を通すことで、注文価格の割引やインターネット支払い利用による優遇なども行われています。利用者にとっては、このアプリを通して注文したほうが、直接オーダーするよりも経済メリットが出るようになっています。
現金払いでもインターネット支払いでもOK!
インターネットやスマートフォンを活用している新世代としては、電話で注文するよりもパソコンやスマートフォンから簡単にメニューなどをタップしながら注文できるほうが利便性が高いと感じることでしょう。
この出前にかかる配送料はだいたい5元(約100円)で、店舗によっては出前用の容器代も発生します(味千拉麺では1.5元)。ただし、このアプリを通すから配送料や容器代が発生するというわけではなく、出前にたいして発生するので、アプリを通さなくても費用はかわりません。
3.ライバル企業の出現も
「外売超人」という同様の出前アプリ・サービスも!
はたして出前アプリ「饿了么」は中国で発展していくのでしょうか?じつは出前アプリ「饿了么」にはライバルも存在していて、ドイツ資本の「外売超人」という同様のアプリサービスもあります。2010年10月に設立されたドイツの出前アプリ・サービス「外売超人」は、2012年8月から上海に進出しています。
北京の地方紙である新京報の2015年1月28日付「『饿了么』3.5億ドルの投資を獲得」によると、「饿了么」の出前アプリ・サービスの市場シェアは中国全体の60%以上で、ユーザー数は2,000万人、1日あたり200万回ほど利用されていると報じています。
ちなみに、当記事によると、「饿了么」はチャットアプリのQQや微信で有名な騰訊(テンセント)、ネット通販大手の京東商城などから3.5億ドル(約350億円)の投資(出資か融資か不明)を受けたと報じています。多額の資金を獲得し、さらなる発展が期待されています。
- 京東商城とは?
- 京東商城は中国最大手の自社販売型のネット通販サイトを展開している。2013年の売上高は693億元(約1兆1,400億円)。創業者の劉強東(リュウ・チャンドン)が1998年に設立。2014年5月にベンチャー向け株式市場である米ナスダックに上場。
いまのところ、中国の出前アプリ・サービスは「饿了么」が圧倒的に先行しています。これから、どうなっていくでしょうか?(了)