中国のビールはなぜ安い?サントリー「超爽」で試算した!
中国のビールはなぜ日本よりも大幅に安いのか?中国で販売されているサントリーの缶ビール(500ml)は4元~5元(約80円~100円)で販売されている。サントリー以外のメーカーも同じくらいの販売価格。ビールの税金が安いのか?
1.上海のサントリービールの存在感がスゴい!
上海ではやはりサントリーのビール
広東省に住んでいたとき、コンビニではアサヒビールは見かけるものの、まったくと言っていいほど見たことがなかったサントリー(三得利)の缶ビール。いっぽう、上海市内では大型スーパーのカルフールやファミリーマートなど、どこでもサントリーの缶ビールが販売されている。
反対に上海市ではアサヒビールをみかけない。そもそも、サントリーは1984年に上海市のとなりの江蘇省で中国事業をスタートしている。そのため、上海を含む華東地区とは深い関係にあるのだろう。
2.ネット通販でサントリーのビール購入
持ち運びが重いビールはネット通販が便利
中国ではネット通販が発展していて、雑貨モノであればタオバオ(淘宝網)、家電デジタル製品なら京東商城(JD.com)、日用品・食料品なら1号店、日本製品なら住友商事グループが運営するピンストア(品店)と使い分けている。ちょっと持ち運びが重い缶ビールであれば、1号店で頼んだほうが楽でいい。
- ネット通販の1号店とは?
- 1号店は2008年7月にスタートしたネット通販サイト。中国最大の食料品ネットスーパーと言われている。創業者の于剛(ユ・ガン)は武漢大学、ペンシルベニア州立大学卒。1号店を創業する前にアマゾン、デル(DELL)に勤務。
1号店で一箱(24缶入り)を購入したら1缶だけ不良品
この1号店で購入するサントリーの缶ビールは500mlの「超爽(チャオシュアン)」というもの。1箱(24缶入り)でたった77元(約1,540円)。1缶あたり3.2元(約64円)。
いつも購入しているのは1号店に出店している「三得利官方旗艦店」というお店。この1号店に掲載されている情報をみると、このネットショップは三得利(上海)市場服務有限公司が運営していると表示されている。サントリー自身が運営しているということだろう。
前回は77元で購入したものの、いま1号店のページを見てみると1箱あたり108元(約2,160円)で販売されている。1缶あたり4.5元(約90円)。ときどき販売価格は変更されるので注意が必要だ。サントリーが中国で販売しているビールは、「超爽」「特爽」「清爽」「超純」「純生」など同じような名称ばかり。間違わないように注意が必要だ。
3.中国のビールはなぜ安いのか?
日本よりも大幅に安い中国のビール
中国ではビールに対して発生する税金は消費税(嗜好品税)と増値税(日本の消費税に相当)の2つ。中国でビールに対して発生する消費税は、だいたいビール小売価格の7%~9%と言われている。さらに中国の増値税が17%発生するので、合計すると販売価格の24%~26%くらいが中国で発生するビールの直接的な税金。
中国のビールに対する消費税は、2001年5月から施行されている「国家税務総局の酒類製品の消費税政策調整の通知」に明記されている。1トンあたりメーカー出荷価格3,000元(約6万円)を超える場合は、250元/トン(5,000円/トン)の消費税がかかる。いっぽう、出荷価格3,000元未満の場合は、220元/トン(4,400円/トン)の消費税となっている。
つまり、500mlあたり1.1元~1.25元(約22円~25円)の消費税が入っている計算になる(1トン=1,000リットル=100,000ml)。このように計算して考えると、サントリーの超爽1缶(500ml)が4.5元(約90円)で販売されている場合、消費税1.1元と増値税0.7元を合計した1.8元(約36円)くらいがビールに含まれる税金になる。残りの2.7元(約54円)で製品コストと利益を確保しなければならない計算になる。
日本のビールの税金は?
日本ではビールに対して酒税と消費税が発生する。ビールは1000リットルあたり22万円の酒税が発生するので、1リットルあたり220円。500mlであれば110円の酒税が発生する。この酒税に加えて、さらに消費税8%がかかる。いろいろ計算してみると複雑であるものの、つまりは中国のビールのほうが日本よりも圧倒的に税金は安い。
4.中国のサントリーの見事な不良品対応
1号店で一箱(24缶入り)を購入したら1缶だけ不良品
1号店で購入したサントリーの超爽。箱に入っていた24缶のうち、1缶だけヘコんでいた。
フタの部分をみても開いていない。残念ながら、このヘコんでしまったビールを飲む勇気はない。
問題が起きたらサントリーは適切に対応
ネット通販の1号店で購入したので、さっそく1号店の購入ショップ(三得利官方旗艦店)に連絡。1号店に設置されているチャットソフトを使って連絡してみるも反応がない。念のため、写真を送っておいたが翌日も反応がなかった。
たった1缶(500ml)だけヘコんだビール。それでもサントリー中国のホームページでみつけたカスタマーサービスセンター(客戸服務)に電話をかける。状況を説明すると、「担当者があとから連絡します」とのこと。
その後、ちょっと怖そうなオジさんから電話がかかってきて「あなたの要求は何ですか?」。「ヘコんだビールを新しいビールに替えてほしいだけ」と素直に伝えると、翌日、自宅まで2缶もって交換にきてくれた。おまけの1缶はサントリーの気持ちということだろうか。やはり企業イメージはアフターサービスから作られる。これからも超爽を飲もう。(了)