中国のガソリン種類、「国5」標準やら92号、95号とは?!
中国のガソリンスタンドでは、どれがレギュラーガソリンに該当するのだろうか?中国では日本と違い、ガソリンの種類は番号で表示されている。そもそも、ガソリンにつけられた番号には、どのような意味が込められているのだろうか。
1.中国のガソリンはどうなっている?
どのガソリンがレギュラー?ハイオクは?
日本のガソリンスタンドで車に給油するときには、軽油(ディーゼル)、レギュラー、ハイオクという大きく3つの種類から給油する燃料の種類を判断すればいい。上海市内のガソリンスタンドの表示を見ると、0号、92号、95号という番号で表示されている。いったい、どの番号がレギュラーガソリンに該当するのだろうか?
そもそもレギュラーとハイオクの違いは?
日本の普通の乗用車であれば、レギュラーかハイオクのガソリンを給油しているだろう。このハイオクガソリンについては、高級車用のグレードの高いガソリンと理解している人は少なくない。なんとなく、レギュラーガソリンよりも、ハイオクは「エンジンにやさしい」「環境にやさしい」「高性能」のようなイメージを持っている人も多いだろう。
実際のところ、ハイオクガソリンは、レギュラーガソリンよりも自動車のエンジンの金属音や振動などの障害が起こりにくい自動車燃料のこと。このエンジンの金属音や振動の障害をノッキングといい、ハイオクガソリンではノッキングが起こりにくい。このノッキングが起こりにくいことを数値で表したものが、オクタン価という指標。ノッキングが少ないほどオクタン価は高いため、ハイオクガソリンは高オクタン価ガソリンと呼ばれている。
日本工業規格(JIS)では、オクタン価が96以上のものをハイオクガソリンと定めている。実際に日本で販売されているハイオクは、オクタン価が98~100のものが多い。
なぜ値段の高いハイオクをわざわざ利用するのか?
ハイオクとレギュラーの違いはわかったものの、なぜ価格の高いハイオクガソリンを利用するのだろうか?一言でいうと、エンジン自体がハイオク用として設計・製造されているからだ。高性能で馬力の高いエンジンには、その仕様にあったハイオクガソリンを利用することを前提に設計されている。
いっぽう、レギュラー仕様車にはレギュラー用としてエンジンが設計されている。レギュラー仕様車にハイオクを使っても、エンジンの耐用年数が伸びたり、燃費効率が高まったりすることはない。
2.中国の分かりにくいガソリンの種類
ガソリンの番号はオクタン価の数値
中国のガソリンスタンドで見かける番号は、つまりオクタン価の数値を表している。92号ガソリンよりも、95号ガソリンのほうがオクタン価が高い。つまり、自動車のエンジンの金属音や振動などの障害であるノッキングが起こりにくい燃料ガソリン。ちなみに、中国語でオクタン価は「辛烷值(シンワンジー)」とよばれる。
これから中国のガソリン標準になる「国5」という国家標準に基づくと、中国では95号ガソリンがもっともオクタン価の高いハイオクガソリン。中国の92号ガソリンは、日本でいうレギュラーガソリンと考えてよいだろう。ちなみに、中国の0号ガソリンは軽油(ディーゼル)ガソリンのこと。
国家標準の「国5」、都市により施行時期は異なる
中国では現在、「国5」というガソリン標準を少しずつ進めている。この「国5」というガソリン標準は、国家標準化委員会が定めていて、正式には第五段階自動車用ガソリン国家基準とよばれる。中国全土では2018年1月1日から全面施行されることになっている。
- 中国の国家標準化委員会とは?
- 中国の国家標準化委員会は、中国国内の健康、安全、財産保護などの強制的国家標準(GB)と商品などの生産、検査、使用の推奨的国家標準(GB/T)を制定している公的機関。国家標準化委員会は、国家質量監督検験検疫総局の事業単位(独立行政法人に相当)として活動している。
中国全土の施行は数年後であるものの、各都市の一部では先行して「国5」の施行を進めている。上海市では2013年9月から「国5」ガソリン標準をスタートして、2013年12月から上海市内で全面施行されている。これは上海市政府独自の取り組みであることより、「滬5」とよばれている。この「滬」は上海市を表す漢字。上海市の隣の江蘇省の一部でも、2013年11月から「蘇5」として先行して施行されている。
中国のガソリン市場は、中国石油天然気(CNPC)、中国石油化工(SINOPEC、シノペック)、中国海洋石油(CNOOC)の3社が独占しているが、ガソリン価格自体は中国政府である国家発展改革委員会が基準価格を決定する仕組みになっている。(了)