上海市の違法な白タク行為、クローンタクシーは厳罰!
中国には営業許可をとっていない白タクがあふれている。ほかの都市よりも1歩も2歩も進んでタクシーの無免許営業の取り締まりを進めているのは上海市。新しい規定で処罰も厳罰化され、上海では白タクを見なくなるかもしれない。
1.上海市で白タク行為の取り締まり強化スタート
厳罰化する白タクの取り締まり
上海市は2014年8月1日から無許可で営業しているタクシー(白タク)を取り締まるため、新しい法律を施行している。白タク行為に対して、録音やビデオ撮影などで違法な旅客行為を認定できるようになった。中国では白タクを黒車(ヘイチャー)とよんでいる。
- 白タクとは?
- 白タクとは、無許可で料金をとって顧客を乗車させている行為または行為をおこなっている個人事業者をさす。日本では正規タクシーの緑色のナンバープレートに対して、営業許可のないナンバープレートは白色のため白タクとよばれている。
白タクのなかでも正規タクシーの外観を装った偽タクシー行為に対しては、最高10万元(約200万円)の罰金を課すことができるようになった。この偽タクシーは中国ではクローンタクシーとよばれている。
タクシー配車アプリを利用して配車された車両が白タクだった場合、タクシー配車アプリのサービス会社にも最高10万元の罰金が課されることになった。
- タクシー配車アプリとは?
- タクシー配車アプリは、中国で流行しているスマートフォン(スマホ)用のタクシー呼び出しアプリ。微信(ウェイシン)やQQを運営している騰訊(テンセント)は「嘀嘀打車」、阿里巴巴(アリババ)集団は「快的打車」というタクシー配車アプリを展開している。
2.どのような違法行為を取り締まる?
正規タクシーを装った偽タクシー(クローンタクシー)
上海市が取り締まる偽タクシー(クローンタクシー)は、毎年500台を超えている。無営業許可による白タク行為の3分の1は正規タクシーを装ったクローンタクシーである。現在の規定ではクローンタクシーの運転手に対して、白タク行為としてのみ処罰している。つまり、無許可営業という観点で処罰しているだけだ。
今回の新しい規定により、クローンタクシーの運転手を以前よりきびしく取り締まることができるようになった。今回の規定は、クローンタクシーに見せかける改造行為をおこなったものに対しても、3万元(約60万円)から10万元(約200万円)の処罰をおこなうことができるようになった。
タクシー配車アプリに対して管理強化
今回の規定は、タクシー配車アプリなどの情報提供サービス業者に対しても、違法行為を処罰できるようにしている。最近人気となっているタクシー配車アプリは、便利な反面で行政部門の監督不足が指摘されている。
タクシー配車アプリを提供している多くのサービス企業は、アプリの配車に応じるタクシーが正規の営業許可をもっているか確認できていない。一部には、白タクなどの違法な車両がまじっており、タクシー配車アプリが違法行為を助長しているといわれている。
新しい規定によると、タクシー配車アプリなどを提供するサービス企業は、行政部門にタクシー配車アプリを利用している運転手と車両の情報を提供しなければならない。行政部門はその運転手と車両に対して営業資格の確認をおこなう。
行政部門が確認した結果、運転手や車両が営業資格をもっていなかったり、サービス会社が登録リストの提出を拒んだ場合、3万元から10万元の罰金をサービス会社に課すことができるようになった。
3.違法行為の認定が以前より容易に!
「おとり捜査」で取得した証拠はダメ
ここ数年、違法な白タク行為は多く、取り締まり状況もますますきびしくなっている。この取り締まりは、違法行為の証拠入手がむずかしいといわれている。これまでの規定では、白タク行為の認定するための証拠は限定されており、白タク運転手と乗客が取引をおこなっている直接な証拠が必要とされてきた。
乗客が白タク行為を証言することは少なく、とくに個人で営業している白タクに対しては、なかなか取り締まることができなかった。新しい規定によると、直接的な証拠がない場合、監視カメラなどのビデオ記録や警察の取り締まりによる現場証言などの間接的な証拠も採用できるようになった。
これらの十分な証拠を集めることで、違法行為を認定することができるようになった。ただし、「おとり捜査」や脅迫などの方法で入手した証拠は採用できないと規定されている。
4.厳しくなった白タク行為の処罰
子供の就学に影響する
新しい規定によると、違法な白タク行為で運転手が捕まった場合、居住証のポイントに影響する。上海市の戸籍を持っていない他の省(自治区、直轄市)出身者は、基本的に上海市の居住証か臨時居住証を取得している。この居住証を取得することにより、子供が上海市内で義務教育を受けることができる。
上海市の居住証はポイント制をとっており、一定のポイントを満たすことで、義務教育を終えた子供が上海市内の高級中学(日本の高等学校に相当)に進学することができる。中国の大学入試である高考を上海市内で受験することも可能になる。
白タク行為で捕まった場合、このように上海市内で公共サービスを受けるために必要な居住証のポイントにマイナス評価(減点)を受けてしまう。
運転免許の停止や車両没収も
白タク行為を行った違法行為者に対して、これまでの罰金だけでなく3ヶ月から6ヶ月の運転免許の停止も新たに設けられた。状況によっては、車両の没収も規定されている。上海からは白タクがなくなる日も遠くないかもしれない。(了)