中国の臨時宿泊登記、必要な書類は？上海で登記してみた

2014年5月20日 | 上海を知る, 中国の法律・制度を知る

中国で外国人がホテルなどの宿泊施設以外に泊まる場合は、公安派出所で「臨時宿泊登記」という手続きが求められている。手続き自体は10分くらいで完了。この手続をするための管轄の公安派出所が見つけにくいのは難点だ。

１．臨時宿泊登記の完了

管轄の公安派出所で手続き

中国で宿泊施設（ホテルなど）以外に外国人が滞在する場合は、「外国人臨時宿泊登記票」（中国語：境外人員臨時住宿登記単）を記入して登録する必要がある。この臨時宿泊登記と呼ばれる手続きをするため、賃貸マンションの地域を管轄している公安派出所（いわゆる警察署）を訪問しなければならない。

（写真１）2014年5月に入手した「臨時宿泊登記票」

まずマンションの近くで公安派出所を見つけたので訪問し、臨時宿泊登記をしたいと言うと、「ここの派出所は治安管理しかやってない、違うところだ」とサービス精神ゼロの対応。中国の警察官は日本と異なり、丁寧に質問に答えてくれる人はあまり多くない。

携帯電話の地図アプリ（百度地図）を活用して、この附近を管轄している公安派出所を見つけ出し、タクシーで移動。公安派出所に着くと、女性の公安職員が対応してくれた。

中国の公安: 中国でよく見る「公安」は、警察の１つの種類である公安機関に所属している警察官のこと。公共の治安を守るのが役目だ。警察のなかには、公安機関、司法機関、監獄機関などに分かれている。中国の警察は人民警察といい、民警と呼ばれることが多い。中国のメディア（新聞など）で警察官という意味で民警という言葉は出てくるが、公安は出てこない。公安は公安機関や公安部という組織を表す場合に使われている。

２．公安職員とのやり取り、どんな感じ？

予想以上に丁寧な対応！

この公安職員は外国人の臨時宿泊登記に、手慣れた感じで対応してくれた。

（私）臨時宿泊登記にきましたが、どこで手続きしたらいいですか？
（女性）ここでいいですよ。パスポートと賃貸契約書を見せてください。
（私）これでいいですか？
（女性）何のために中国に滞在するんですか？
（私）ビジネスです。ビザもM（商務）です。
（女性）日本からの出張ですか？これが入国した日ね。
（私）はい。
（女性）日本の会社が給料をはらっているんですか？
（私）はい。なんで給料について聞くんですか？
（女性）いろいろヒアリングするように言われているんですよ。
（私）もしかして、個人所得税と関係があるんですか？
（女性）私は知らないわ。心配しないで。パスポートと賃貸契約のコピーを提出してください。コピーがないなら、近くでコピーできるから。

このようなやり取りをして、約10分くらいで写真にある「外国人臨時宿泊登記票」を入手することができた。中国に4年半ほど住み、中国国内で3回くらい引っ越ししたけど、これまで１度も「外国人臨時宿泊登記票」を自ら手にしたことがなかった（会社の総務の人が手続きしてくれていたので）。

上海市のこの公安派出所で手続きで提出する書類は、（１）パスポート（写真の部分）のコピー（２）パスポート（ビザの部分）のコピー（３）賃貸契約書のコピーの３つ。もちろん、パスポート原本を持っていく必要がある。インターネットを見ていると、証明写真が必要になると書かれていたりするが、今回は必要なかった。

３．臨時宿泊登記しなかったら？

登記しないと罰金も！

臨時宿泊登記って、わざわざ公安派出所までいって登録するのは面倒くさいというのが本音。ただ、法律で登記することが求められているし、登記していないと最高500元（約8,200円）の罰金を課せられるようだ。

臨時宿泊登記を規定した法律: ~~中華人民共和国外国人入境出境管理法実施細則（2010年4月施行）の第30条~~中華人民共和国出境入境管理法（2012年６月施行）の第39条で外国人が臨時宿泊登記をすることを義務づけている。その法律のなかで、罰金まで明記されている。
（2014年９月12日：追記）中華人民共和国外国人入境出境管理法実施細則は、中華人民共和国外国人入境出境管理条例が2013年９月１日にあらたに施行され同時に廃止されている。