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中国の城郷養老保険(年金)、上海市の制度から理解する

中国では1993年から社会保険制度がスタートし、日本の年金に該当する養老保険の制度もはじまっている。その中のひとつである城郷居民養老保険(都市部の国民年金保険に相当)とは、いったいどのような制度設計になっているのだろうか?

1.上海市の城郷居民養老保険制度

加入対象者は?

上海市に戸籍がある16歳以上(在学中の学生は含まない)で、会社などに雇用されているひとが加入する職工基本養老保険制度(日本で言えば厚生年金保険に相当)に入っていない都市住民は、城郷居民養老保険(都市部の国民年金保険に相当)に加入することができる。

城郷居民養老保険は、日本の国民年金保険とよばれる基礎年金に相当するもの。日本の厚生年金保険は、中国の職工基本養老保険に相当する。

保険料はどうなっている?

城郷居民養老保険基金は、個人納付、集団(団体)補助金、政府補助金で構成されている。個人の保険料の納付標準(納付額)は、年間500元から3,300元の範囲で12段階の納付標準が設定されている。

加入者は自分で12段階の中から加入する納付標準(納付額)を選ぶことができる。納付金額が多ければ、給付金額も多くなる。区や県の政府は管轄地区の保険加入者に補助金を出している。12段階の保険料の納付標準にもとづき、年間200元から575元の12段階の補助金が加算される。

2.重度障害者に対する保険料の補助

重度障害者へのサポートも

区や県の政府は、管轄地区に住んでいる重度障害者など保険料の納付が難しい対象者には、一部または全額の養老保険料の補助をおこなっている。

重度障害者の保険料の個人納付額は年間1,100元。その保険料のうち、本人は納付額の5%(現在は55元)を納付し、障害者就業保障金は600元を補助する。残りの445元の保険料は、区や県の財政によって補助される。

仕事ができない生活補助対象者になっている重度障害者は、本人が納付すべき5%部分も免除される仕組みになっている。障害者就業保障金は600元を補助し、区や県の財政は残りの500元を補助することになっている。

3.城郷居民養老保険の補足

基本養老保障を受け取っていないことが前提

城郷居民養老保険の加入者は、累計納付期間15年を超えていて、むかしの社会保障である基本養老保障の年金を受け取っていない場合、城郷居民養老保険の養老金(年金)を毎月受け取ることができる。

制度がはじまった時に60歳を超えていたら?

上海市の新型農村社会養老保険制度または城郷居民養老保険制度がはじまったときに、すでに60歳を超えていたらどうなるのだろうか?国家や上海市が規定している基本養老保障の年金を受け取っていない場合、保険料を納付することなく城郷居民養老保険の養老金(年金)を毎月受け取ることができることになっている。

最低納付期間15年に足りない場合は?

45歳以上のひとは、累計15年に足りない部分を毎年追納しなければならない。ただし、追納したあとの累計納付期間は15年を超えてはいけない。つまり、これまでまったく城郷居民養老保険を納付していなかった50歳のひとは、60歳までに15年分の城郷居民養老保険を納付しなければならない。このとき、15年を超える18年分や20年分を納付することはできない。

現時点で納付期間15年に足りていない45歳未満の人は、納付を続けて60歳までに15年以上納付することになっている。

基礎養老金はいくらもらえるのか?

基礎養老金(基礎年金)の毎月の支給額は540元。累計納付期間が15年を超えた加入者は、納付期間が15年を超えた1年ごとに基礎養老金が毎月10元プラスして支給される。

つまり、城郷居民養老保険を30年納付したひとは、基礎養老金540元にプラス150元が加算されて、毎月690元の養老金(年金)を最低限は受け取ることができる。基礎養老金はあくまでも最低支給額。さらに、これまで収めてきた納付金額に応じて、養老金は加算されて支給される。

社会保険制度がはじまる前の納付期間はどうする?

中国の社会保険制度は1993年からスタートした。1993年以前から仕事についている人は、1993年より前から仕事に従事している期間を納付期間として計算する。ただし、最低加入期間15年のうち、実際に保険料を納付する期間は最低でも5年以上なければならない。(了)

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