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中国の自治区とは何か?省や直轄市と何が違う?

中国には新疆ウイグル自治区、内モンゴル自治区などの自治区とよばれる行政区域がある。広東省や遼寧省などの省とよばれる地方政府と自治区は何が異なるのだろうか?自治区を調べると、中国の複雑な少数民族に対する配慮が見えてくる。

1.中国の自治区とは?

どのような自治区があるのか?

中国には5つの自治区がある。新疆ウイグル自治区、内モンゴル自治区、広西チワン族自治区、寧夏回族自治区、チベット自治区の5つ。そもそも中国の自治区とはどのような地域なのか?

中国の自治区は少数民族が主体となって管理する地域である。中国の憲法のほかに、民族区域自治法(1984年10月施行)という法律により管理されている。中国には56の民族がいて、漢族をのぞいた55の民族は少数民族とよばれている。

中国の人口の91%を占める漢族とくらべて、少数民族は人口がすくないという意味で少数民族とよばれている。あくまでも漢族とくらべて少数という意味であり、少数民族のなかで最も人口のおおいチワン族は1600万人以上もいる。

いつから自治区はできたのか?

中国の5つの自治区はいつ頃できたのだろうか?もっとも早くできたのは内モンゴル自治区の1947年。中国共産党政権によって中華人民共和国が建国される1949年よりまえに設置されている。

そのつぎに設置されたのは1955年10月に新疆ウイグル自治区。1958年3月に広西チワン族自治区、1958年10月に寧夏回族自治区、1965年9月にチベット自治区が設置されている。

2.自治区の仕組み

具体的な自治区の仕組みは?

中国の民族自治区はおおきく3つの行政区分に分かれている。自治区、自治州、自治県の3つ。5つの自治区(省や直轄市に相当)があり、30の自治州があり、そして120の自治県が存在する。この自治地域のなかに少数民族の全人口の約70%が住んでいる。

自治区のなかに自治州がすべてあるわけではなく、吉林省、湖南省など省とよばれる行政区域のなかにも自治州は存在する。

中国の55の少数民族のうち、44の民族は自治地域(区、州、県)を設置している。この民族自治区というのは、少数民族が主管する地域となっている。

民族区域自治法により、自治地域の地方人民政府の指導者である人民代表大会常務委員会主任(地方議会の議長に相当)、自治区主席(都道府県の知事に相当)、自治州長、自治県長は、その地域を主管している少数民族から選ぶことになっている。

なお、この自治区の指導者のほかに、中国共産党委員会の指導者(書記)も各地域に配置されている。

中国の地方政府の役職
中国の地方政府には、中国共産党委員会(党委)と人民政府の2つが存在する。中国共産党が指導する体制である中国では、人民政府の首長(省では省長、自治区では主席)よりも中国共産党委員会書記(党委書記)のほうが役職ランクは高い。なお、中国共産党には書記長は存在しない。書記長という意味で、中国共産党に書記のトップとして総書記(現在は習近平)が存在する。

自治地域の名称

これらの自治地域の名称は法律によって決まっている。基本的に地方名称、民族名称、行政区分の名称の順序で命名しなければならない。たとえば、延辺朝鮮族自治州(吉林省)、湘西土家族苗族自治州(湖南省)など。(了)

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