中国の通信業界を主管している工業和信息化部とは?
中国の通信業界を主管しているのは工業和信息化部という政府部門。日本の総務省に相当する巨大な部門だ。これまで中国でも中央省庁の再編が繰り返されており、2008年に設置された工業和信息化部とはどのような政府機関なのだろうか?
1.工業和信息化部の誕生
巨大な官庁である工業和信息化部
中華人民共和国工業和信息化部(以下、工業和信息化部)は工信部とも呼ばれる。中央政府である国務院(内閣に相当)の直属部門として、2008年3月11日に設置された。
工業和信息化部は、これまでのつぎの部門の業務を引き継いで新しく設立された巨大な政府部門である。
- 国家発展改革委員会の工業関係の業務
- 国防科学技術工業委員会の原子力発電を除く業務
- 信息産業部と国務院信息化工作弁公室の業務
国務院弁公庁から2008年7月11に公表された工業和信息化部の設置概要によると、人員総数は731名で、部長1名(大臣に相当)、副部長4名(副大臣または事務次官に相当)を設置することとなっている。
- 国務院弁公庁とは?
- 国務院弁公庁は、中央政府である国務院幹部のサポート業務をおこなう。1949年11月28日に設置された。日本の内閣官房(通称は首相官邸)に相当する政府部門である。
2.何をしている政府部門か?
日本の総務省に相当する
工業和信息化部はどのようなことを担当している政府部門なのか?おもに工業、情報通信、バイオ、医薬、新材料、航空宇宙など中国の科学技術に関する産業や業界を主管している。政府部門のIT化の推進も担当している。
日本のタバコ業界は財務省が管理しているが、中国では工業和信息化部に中国のタバコを業界を管理している国家煙草専売局という独立した部門が置かれている。
工業和信息化部は日本の総務省に相当する。ただし、日本の総務省は郵便事業を管轄しているものの、工業和信息化部は2008年の組織再編時に、交通運輸部(日本の国土交通省に相当)が郵便事業を主管するように変更されている。
3.工業和信息化部に所属している大学
7つの大学を主管している
中国の大学の多くは地方政府に所属しているが、中国のなかで重点大学と呼ばれる一流大学は、中央政府である国務院にある教育部(文部科学省に相当)や他の中央官庁に所属している場合がある。工業和信息化部に所属している7大学は、次のとおり。
- 北京航空航天台学
- 北京理工大学
- ハルビン工業大学(哈尔滨工業大学)
- ハルビン工程大学(哈尔滨工程大学)
- 西北工業大学
- 南京航空航天大学
- 南京理工大学
(了)