中国の生活、ビジネスに役立つ情報を発信するサイト

温州市(浙江省)、靴・シューズの卸売市場「温州商貿城」!

商売人の街として有名な温州市。中国に関係を持っている日本人なら、どこかで耳にしたことがある都市だろう。ところが、実際に温州市を訪れたことがある日本人はほとんどいない。この温州市はアパレルや靴の卸売市場としても有名だ。

1.浙江省の温州市とは?

温州市の卸売市場は「温州商貿城」!

浙江省にある温州市と言えば、やはり温州商人の街として中国のなかでも有名だ。上海から中国高速鉄道(日本の新幹線に相当)で約4時間30分のところに位置している。中国に関わっている日本人のなかでも温州市という都市名を耳にしたことはあるものの、実際に温州市を訪れた日本人はほとんどいないだろう。

最近では温州市金融総合改革試験区(2012年設立)、国家智慧城市(国家スマートシティ、2013年モデル都市認定)など、温州市はあたらしいチャレンジを担う都市として肯定的な報道記事が多い。しかしながら、温州市はアパレル、靴、雑貨などの昔ながらのビジネスの街であることに変わりはない。とくに温州市で有名な卸売市場「温州商貿城」は、市内中心部から公共バスで20分ほどのところに位置している。

(写真1)有名な卸売市場「温州商貿城」、市内中心部から公共バスで約20分

(写真1)有名な卸売市場「温州商貿城」、市内中心部から公共バスで約20分

浙江省の温州市とは?
温州市は、浙江省の三大都市(杭州市、寧波市、温州市)のひとつ。総人口は919万人(2013年末)。中国のなかで商才に長けた温州人は「中国のユダヤ人」とも呼ばれる。世界各地に温州出身の華僑も多いと言われている。温州市内は大都会というわけでなく、中国の地方都市という雰囲気。上海から温州まで高速鉄道(新幹線に相当)で約4時間半。

2.巨大な温州商貿城

一般消費者向けのマーケットもある!

実際に「温州商貿城」に行ってみると、バイヤー向けの卸売市場だけでなく一般消費者向けに販売している店舗も少なくない。温州市は総人口900万人ほどいる大きな都市。中国の地方にある地級市(日本の市町村に相当)のなかでも大きな都市に該当する。この「温州商貿城」を訪れたのが12月末の祝日ということもあり、このマーケットにはかなり多くの人であふれていた。

(写真2)「温州商貿城」のなかの靴・シューズの販売店地域(温州市)

(写真2)「温州商貿城」のなかの靴・シューズの販売店地域(温州市)

中国の行政区画
中国の行政区画は、一級行政区(省、自治区、直轄市)、二級行政区(地級市など)、三級行政区(県級市、市轄区など)に分かれている。一級行政区の下部に二級行政区があり、その下に三級行政区が設置されている。温州市は二級行政区(日本の市町村に相当)の地級市に該当する。

温州市はアパレルや靴の製造で有名!

この温州市は1978年12月からはじまった中国の改革開放政策のひとつである経済技術開発区に認定されている。1984年に海外の技術を中国に導入するために14都市の経済技術開発区のひとつとして認定された。この政策により温州市は中国のなかでも、いち早く経済発展を進めることができた。いまでは、アパレルや靴の製造では、中国のなかでも有名な地域になっている。

(写真3)「温州商貿城」で販売されているメンズシューズ(紳士靴)

(写真3)「温州商貿城」で販売されているメンズシューズ(紳士靴)

温州市で製造される大量のアパレル製品

中国の靴の製造と言えば、広州市(広東省)、泉州市(福建省)そして温州市(浙江省)の3つの地域が有名だ。これらの都市には靴材料・部品の専門卸売市場が形成されていて、工場を持たない人であってもOEM生産として製造加工工場に自社ブランドの製造を委託することもできる。

OEM生産とは?
OEM生産は、外部の工場に自社製品を作ってもらう生産方法。original equipment manufacturingの頭文字からOEMとよばれる。OEM生産を活用すれば、自社工場を持たずに自社ブランドを立ち上げることも可能。
(写真4)ダウンジャケットやコートが大量に販売されている「温州商貿城」

(写真4)ダウンジャケットやコートが大量に販売されている「温州商貿城」

韓国企業の進出が多い、日本人はあまりいない

このように靴の製造でとても有名な温州市であるものの、韓国企業は温州市でアパレル製品の製造に力を入れている。残念ながら、日本企業はほとんど温州市に進出している様子はない。温州市の街なかには日本人が通うような日本人商店街(日本料理屋や日式カラオケ)はない。温州で宿泊したホテル従業員によると、温州市内で日本人を見かけることはほとんどないという。

3.靴材料の卸売市場

旧正月(春節)以外でも卸売市場は休み!?

「中国の卸売市場は旧正月(春節)以外は休まない」と聞いていたものの、この「温州商貿城」のなかにある卸売市場は12月末から3連休。ほぼすべての卸売市場にある業者向け販売店は営業していない。連休明けの1月4日から再び営業を開始。今回は販売店の休み明けまで待つことができず、温州市まで来て結局見学することはできなかった。

(写真5)休業中の卸売市場周辺には大量の露天商が商売をしている(温州市)

(写真5)休業中の卸売市場周辺には大量の露天商が商売をしている(温州市)

住宅価格が高騰している温州市、肌感覚の物価も高い!

温州市といえば商人の街で、中国のなかでも所得水準が高いと言われている。たしかに温州市内の住宅価格は驚くほど高く、温州市内中心部の3LDKのマンションは、だいたい250万元~400万元(約5,000万円~8,000万円)で販売されている。

中国の不動産専門シンクタンクの中国指数研究院が公表している住宅価格統計によると、2015年2月時点の温州市の住宅価格(平均)は1㎡あたり12,787元(約25万円)。この平均価格は温州市郊外の辺鄙なところも含めた平均相場であることに留意しつつ、建築面積100㎡(日本の専有面積であれば70㎡ほど)のマンションであれば平均128万元(約2,516万円)もしてしまう。

中国の建築面積とは?
建築面積とは、実際に利用できる部屋の面積に敷地内の共有スペース(配電室、共有廊下、エレベーターホールなど)の分配された面積です。中国の高層マンションでは建築面積の70%~80%が使用面積(部屋の面積)といわれています。

天津、大連、蘇州などよりも住宅価格は高い!

ちなみに、2015年2月時点の1㎡あたりの住宅相場(平均)は、北京市32,260元(約65万円)、上海市32,295元(約65万円)、天津市10,597元(約21万円)、大連市10,660元(約21万円)、蘇州市11,953元(約24万円)となっている。温州市は北京や上海などの住宅価格が高騰しすぎている都市は別にして、多くの有名な都市よりも住宅価格は高くなっている。

いっぽうで、北京、上海、蘇州、杭州などの街並みと比べると、街の様子はどこか寂しい。温州市内中心部には古びた商業施設はあるものの、高所得者を狙ったオシャレで高級な商業複合施設はない。温州人に聞いてみると、「お金持ちはいるものの、一部の人だけ。ほかの都市と変わらない」との回答だ。温州市内の中心部から公共バスで30分も走ると、都市と田舎の中間のような風景に変わってしまう。(了)

top of page