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常熟(江蘇省)の格安ビジネスホテル、宜必思酒店(ibis)とは?

中国では1泊200元(約4,000円)前後の格安ビジネスホテルの競争が激化している。中国資本の格安ホテルチェーン店が各都市でどんどん増えている一方で、フランス資本の宜必思酒店(ibis)というホテルチェーンも出店を増やしはじめている。

1.宜必思酒店(ibis)とは?

便利な立地にある宜必思酒店(ibis)!

上海市から車で1時間半のところに位置する常熟市(江蘇省)。70社ほどの日系企業が常熟市に進出しており、中国の地方都市のなかでも常熟市は日本人が生活しやすい地方都市と言われている。常熟市は街の中心を走る大通り「海虞路」を中心に、市政府庁舎、ショッピングモール、歩行者天国などが広がっている。

外資系の格安チェーンホテルの宜必思酒店(ibis)は市内中心部の便利なところに位置している。宜必思酒店(ibis)は中国ではめずらしい外資の格安チェーンホテル。常熟市にある宜必思酒店(ibis)は、1泊あたり170元(約3,400円)前後で宿泊可能だ。

(写真1)常熟市の大通り「海虞北路」近くに位置する宜必思酒店(ibis)

(写真1)常熟市の大通り「海虞北路」近くに位置する宜必思酒店(ibis)

江蘇省の常熟市とは?
常熟市は、江蘇省の蘇州市に属する県級市。総人口は150万人(2013年末)、面積は1,264㎡(神奈川県の半分ほど)。上海市から車で1時間半くらいのところに位置している。外資企業の誘致に積極的で、日系企業ではシャープ、住友ゴム、富士電機など合計70社ほどが進出している。

中国で数少ない、外資系の格安チェーンホテル!

宜必思酒店(ibis)は、フランス系のAccor hotels(中国名:雅高酒店集団)が展開している低価格ビジネスホテル。ヨーロッパを中心に全世界で900店ほど展開されている。Accor hotelsは、Novotel(諾富特、ノボテル)、Sofitel(索菲特、ソフィテル)などの高級ホテルを展開しているフランス資本のホテルグループだ。

中国本土で1泊あたり200元(約4,000円)以下の低価格ビジネスホテルをチェーン展開しているのは中国資本ばかり。ヨーロッパで培ったノウハウを中国に持ち込み、2004年から中国本土で宜必思酒店(ibis)ブランドのホテルを展開している。

2.宜必思酒店(ibis)の雰囲気

中国資本と大きな違いはない宜必思酒店(ibis)!

宜必思酒店(ibis)常熟店は、中国大手の如家酒店や漢庭酒店などの低価格チェーンホテルと大きな違いはない。宜必思酒店(ibis)常熟店が中国的なホテルというよりも、むしろ中国の大手チェーンホテルが欧米のような効率や実用性を重視した客室やサービスを展開していると言ったほうが正確かもしれない。中国の格安チェーンホテルは厳しい競争のなか、清潔、実用性を重視し、空室率の低下を追求している。

中国の地方都市では、麗江(雲南省)や桂林(広西チワン族自治区)などの風光明媚な観光地を除いて、効率で実用的なホテルが増えている。残念ながら、外資である宜必思酒店(ibis)は、外国資本という点を除いて、特徴的なサービスや強みを出せていないのが実情だ。

(写真2)落ち着いた雰囲気の宜必思酒店(ibis)のフロント(江蘇省常熟市)

(写真2)落ち着いた雰囲気の宜必思酒店(ibis)のフロント(江蘇省常熟市)

オシャレなデザインで差別化!?

宜必思酒店(ibis)の1階ロビーをみると、赤色がアクセントになるインテリア(イス)が設定されている。あくまでも宜必思酒店(ibis)は費用を抑えた低価格ホテルのため、高級なイメージのある外資ホテルの面影はまったくない。

(写真3)宜必思酒店(ibis)は赤をアクセントにしたホテルデザインが多い

(写真3)宜必思酒店(ibis)は赤をアクセントにしたホテルデザインが多い

3.宜必思酒店(ibis)ホテル内の様子

コンパクトな客室と広めのベッド!

宜必思酒店(ibis)に宿泊する前にホテル宿泊サイトで過去のコメント(宿泊者)を見てみると、宿泊した人の満足度は比較的たかい。ただ、掲示板のコメントのなかには、宜必思酒店(ibis)の客室は狭いというものいくつか見られた。シングルルームでも1.6メートルのベッドを設置しているため、より客室の中がせまく感じてしまう。

(写真4)大きなベッドがあるため、せまく感じてしまう客室のようす

(写真4)大きなベッドがあるため、せまく感じてしまう客室のようす

たしかにデザインに力をいれている客室!

やはりフランス資本ということか、中国ローカルのホテルよりも鮮やかな配色で客室内はデザインされている。中国ではあまり見かけないようなデザインだ。おそらく、世界中の宜必思酒店(ibis)で統一されたデザインを起用しているのだろう。

(写真5)エアコン、液晶テレビなど必要なものはすべて揃っている

(写真5)エアコン、液晶テレビなど必要なものはすべて揃っている

トイレやシャワー室もコンパクト!

宜必思酒店(ibis)常熟店は1泊200元(約4,000円)以下であるため、部屋や洗面所(トイレ、シャワー室)の広さに高い期待をしてはいけない。効率性や実用性を重視した設計になっていて、宿泊していて問題は感じないものの、中国系チェーンホテルの洗面所よりも明らかに小さい。中国の格安チェーンホテルもシャワーの水圧やベッドの寝心地に力を入れていて、中国の低価格ビジネスホテルも安いだけでは集客できなくなっているのが実情だ。

(写真6)日本のユニットバスのような雰囲気の洗面所(宜必思酒店常熟店)

(写真6)日本のユニットバスのような雰囲気の洗面所(宜必思酒店常熟店)

宜必思酒店(ibis)は北京、上海、広州、杭州、青島、天津などの大都市を中心に出店を進めている。2014年12月にはAccor hotelsは中国大手チェーンホテルの華住酒店集団と事業提携をおこない、華住酒店集団がAccor hotels傘下のホテルブランドの出店を支援している。華住酒店集団は漢庭酒店などのホテルブランドを展開しており、中国の280都市に1,900ホテルを出店している巨大ホテル企業。

華住酒店集団(グループ)
華住酒店集団(グループ)は、割安ホテルチェーンの漢庭酒店を中心に中国全土にホテル展開している企業。2005年設立。ホテルブランド毎に価格帯が分かれており、海友酒店は90元~150元(約1,800円~3,000円)、漢庭酒店は150元~250元(約3,000円~5,000円)、全季酒店は250元~400元(約5,000円~8,000円)となっている。

いまでは華住酒店集団のウェブサイトから宜必思酒店(ibis)のホテルも予約できるようになっている。これまで以上に、中国国内で宜必思酒店(ibis)のホテルを目にすることは増えてくるかもしれない。(了)

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