集客力バツグンの万達広場、常州市のショッピングモール!
上海市から高速鉄道で約1時間のところに位置する常州市。常州市の新北区には不動産開発大手の大連万達集団が全国展開する万達広場が進出している。中国の多くの都市で苦戦中のショッピングセンター。なぜ万達広場は成功しているのか?
1.どこでも大人気の万達広場
万達広場(常州新北店)、休日はたくさんの人が集まる!
常州市(江蘇省)にある万達広場(常州新北店)。常州市に住む日本人の多くは、常州駅の北側に広がる新北区(とくに漢江東路周辺)に賃貸マンションを借りている。その漢江東路からタクシーで3分くらいの距離に位置しているが巨大ショッピングモールの万達広場(WANDA PLAZA)だ。
万達広場は、たくさんの地元住民が訪れる中国で勝ち組のショッピングモールのひとつ。大連万達集団という不動産開発会社が万達広場を展開しており、その数は中国全土ですでに130を超えている。ネット通販が広がり実店舗の販売が苦戦する中国で、万達広場は善戦している。万達広場(常州新北店)は、空きテナントもほとんど見当たらないほどの活況だ。
- 不動産開発大手の大連万達集団
- 大連万達集団は、全国に130を超えるショッピングモール「万達広場(WANDA PLAZA)」を中心に、マンション、ホテル、映画館の事業を行う。2014年度の売上高は2,424億元(約4兆8千億円)。1988年に設立。董事長は王健林、1954年生まれ。
2.常州市新北区にある万達広場のようす
高級すぎないショッピングセンター、庶民志向の店舗づくり!
万達広場はけっして高級ショッピングモールではない。万達広場の外観や内装は立派なものであるものの、出店しているテナントは経済的な価格帯のお店が多い。万達広場にはルイヴィトンやエルメスなどの高級ブランドは基本的に入店していない。
日本人の馴染みのショップで言えば、ユニクロ、無印良品、ZARA、H&Mなどの有名アパレルショップらが入店している。飲食店はマクドナルド、ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)、味千ラーメンなど気軽に入れる価格帯のお店ばかりだ。幅広いターゲット層に対して集客力のあるお店がアパレルも飲食店も入店しているのが万達広場だ。
- 江蘇省の常州市
- 常州市は、上海市から高速鉄道で約1時間のところにある江蘇省の都市。常州市の総人口は470万人(2014年末)。多くの日系企業が進出し、日本人向けの日本料理店も多い。市内中心部には常州を代表する観光名所の天寧寺がある。
ウォルマートやカルフールなどの大型スーパーも!
万達広場(常州新北店)には、米国資本の大型スーパーマーケットのウォルマート(Walmart)が入店している。万達広場は日常的に利用できる大型スーパーを併設し、日常的に万達広場に立ち寄ってもらう仕掛けをつくっている。家族づれがウォルマートで日用品を購入し、飲食エリアで食事して帰るということも少なくない。
- ウォルマート(Walmart)
- ウォルマート(Walmart)は、広東省の深セン市に1996年に初進出。中国全土で416店舗を展開し(2015年7月末時点)、従業員数は10万人を超える。ウォルマートの販売している商品の95%以上は中国生産(Made in China)。
日本のアパレルショップ「earth music&ecology」も出店!
万達広場(常州新北店)には、クロスカンパニー(本社:岡山市)が展開している女性向けアパレルショップ「earth music&ecology」が出店している。クロスカンパニーは中国に積極的に出店しており、北京、上海の超大都市だけでなく、湖北省、四川省、江蘇省、湖南省、河南省など日系企業が躊躇(ちゅうちょ)するような地域にも出店をはたしている。
ブランドキャラクター、宮崎あおいの大きな店頭看板も!
「earth music&ecology」の店頭には、ブランドキャラクターである宮崎あおいさんの大きな写真看板もかざられている。ショッピングモール内を歩いていると、ひと際目立つこの写真看板が目に飛び込んでくる。
3.万達広場の集客力が高いワケ
子どもを取り込む工夫、ショップの集まりでは集客できない!
万達広場は単なる百貨店にとどまらない。映画館やゲームセンターなどの併設にとどまらず、敷地内には子供たちが遊べる遊具を設置し、ファミリー層の取り込みを積極的におこなっている。
週末になると、子供たちが万達広場に行きたいと思えるような工夫があちこちに見られる。中国では集客に苦戦する百貨店やショッピングモールが少なくない。そのなかで、万達広場は一歩も二歩も抜け出している構図だ。
ショッピングセンターだけじゃない!商業歩行者天国も
新しくオープンした万達広場には、ショッピングモールの周りに、商業歩行者天国が展開されているケースが多い。万達広場の屋内だけでなく、店の外まで商業エリアを拡大した形だ。
中国ではお客さんがほとんどいないゴーストタウンを彷彿させる、お客さんがほとんどいないショッピングセンターも少なくない。なかにはテナントショップが半分以上も入っていない、空き店舗(テナントスペース)だらけのところも見かける。
中国ではネット通販が拡大するなか、実店舗が価格競争に巻き込まれて苦戦している。これまでの、ただ販売場所を提供するだけのショッピングセンターでは、引き続き苦戦が続きそうだ。中国の実店舗には何が欠けているのか?まずは魅力的な売り場をつくることから始める必要がありそうだ。(了)