中国の店舗賃貸で注意すべきこと!違法建築や店舗譲渡費も
中国で小売り、飲食店などを出店する場合、賃貸料だけでなく、その建物自体のリスクにも注意しておく必要がある。高騰している店舗賃貸料を負担し、しっかり利益を出すためには、とにかく高すぎる物件を賃貸しないことに尽きる。
1.高騰する店舗物件の賃料
高くなりすぎた店舗物件の賃料、利益はでるのか?
中国の小売り店や飲食店では年々、日系企業を見かけることが増えてきた。小売り大手企業ではユニクロ、無印良品、しまむらなど。最近では眼鏡のJINS、earth music&ecology、家具・雑貨専門店のニトリも進出している。飲食店ではサイゼリヤ、カレー専門店CoCo壱番屋、丸亀製麺、はなまるうどん、すき家、吉野家などが幅広く中国市場に出店している。
このような大手企業だけでなく、中国で開業を目指す日本人の個人や中小企業も少なくない。ただ、最近の上海や蘇州、無錫などのエリアのショッピングモール、百貨店、路面店をみるかぎり、利益がでるのだろうかと考えてしまう。その理由は、店舗賃料の高騰だ。店舗面積が80㎡くらいで1万元(約17万円)は当たり前で、2~3万元(約35万円~50万円)という店舗物件も少なくないからだ。
店舗譲渡費という礼金に相当する費用が発生するケースも!
店舗物件の賃料は高騰し、テナント店は利益面で苦戦する一方で、人通りの多い人気エリア(とくに路面店)には、空き店舗テナントを狙う数多くの商売人たちも集まってくる。
中国の店舗賃貸で注意すべき一つとして、店舗譲渡費(中国語:店舗転譲費)とよばれる費用が必要になるケースがある。実質的に返金の必要のない日本の礼金(契約金、謝礼金)に相当する費用だ。
居抜き物件や営業中のレストランを賃貸するので、その内装や営業権をふくめて譲渡するというのが中国での店舗譲渡費の建前だ。ところが、人気エリアではボロボロの空き物件でも店舗譲渡費を求めてくる物件オーナーも存在する。
中国では店舗物件でも個人オーナーが多く、人気エリアでは100万円ちかい店舗譲渡費を求めてくるケースもある。このような店舗譲渡費用を負担しても、本当に利益がでるのか契約前に立ち止まって考えることが重要だ。
2.ゴースト・ショッピングモール
空きテナントが並ぶショッピングモール・百貨店!
上海や蘇州市内の物件を見ていると、繁華街や住宅街などの人気エリアの路面店には空き店舗が少ないものの、ショッピングモールや百貨店は空き店舗だらけというところも少なくない。
中国の不動産価格の高騰にともない、ショッピングモールのテナント料はそれほど下げることができず、空きテナントのまま1年以上も放置されているという物件も目にすることが多い。すべて空きテナントであれば賃料を思いきり下げることも可能であるものの、すでに出店しているお店があれば既存契約の賃料を下げたくないため、新規契約分もそれほど値下げできないという悪循環に陥っている。
悪循環に陥った空きテナントの多いショッピングモールでも、上海市内では100㎡で3万元(約50万円)くらいの賃料となっている。ネット通販が浸透するなか、実店舗で賃料を負担した上で利益を出していくのは本当にむずかしい。
3.路面店のリスク
都市計画や建築基準の問題も!
中国の路面店には賃料以外のリスクも存在する。上海を歩いていると、建築基準に違反した建造物に出店した店舗の営業が止められるケースを見かけることが増えている。
数百万円をかけて内装工事をして、違法建築で営業が止まってしまってはたまらない。できるだけ築年数が古い物件を避けたり、契約時には物件の所有権者をしっかり確認しておくことが必要だ(中国では又貸しのケースも少なくない)。
中国で店舗物件を賃貸する場合、賃料だけでなく保証金(押金)、物業管理費(共益費に相当)などの金額もしっかり確認しておく必要がある。テナント誘致に苦戦している物件では、フリーレント期間(無料の賃貸期間)や内装工事期間の賃料無料などを受け入れてくれるところも多い。
いったん出店してしまうと簡単には他の場所に移転できないので、予算を考えながら粘り強く物件を探すことが重要だ。なお、インターネットで空きテナントが紹介されているケースもあるが、希望する場所を自分の脚で歩き、空いテナントを見つける方が効率的に物件を見つけることができるはずだ。(了)