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蘇州新区で日系百貨店のイズミヤ(泉屋)発見!なぜ中国に?

蘇州市内の繁華街を見て回っていると、なんと近畿地方を中心にショッピングセンターを展開しているイズミヤを発見。ちょっと意外感もあり訪れてみると、あのイズミヤの海外1号店だった。なぜ、イズミヤが蘇州市に出店したのだろうか?

1.蘇州市(江蘇省)のイズミヤ

2011年11月に中国進出1号店としてオープン!

蘇州市内の玉山路駅(地下鉄1号線)の前を通るとIzumiya(イズミヤ、泉屋)と書かれたショッピングセンター、百貨店を発見。日本の近畿地方を中心にスーパーマーケットを展開しているイズミヤが2011年11月に蘇州新区にオープンした百貨店だ。日本の中堅スーパーマーケットが中国に出店していることに意外な驚きをもってしまった。

しかも、日本のイズミヤは、泉屋(イズミヤ)蘇州天都広場店の運営会社に100%出資している。なんとイズミヤの出資額は4,150万米ドル(約42億円)とかなり規模が大きい。泉屋(イズミヤ)蘇州天都広場店は地下2階~地上4階の中規模ショッピングセンター。イズミヤは中国・蘇州以外に海外出店の実績はない。なぜ蘇州にイズミヤは出店したのだろうか?

(写真1)近畿圏出身の日本人には馴染みの深いイズミヤ(江蘇省・蘇州市)

(写真1)近畿圏出身の日本人には馴染みの深いイズミヤ(江蘇省・蘇州市)

イズミヤ
イズミヤは近畿地方を中心に展開するスーパーマーケット。2014年6月1日付に阪急百貨店や阪神百貨店などのグループ統括会社「エイチ・ツー・オー リテイリング」と経営統合している。年間売上高は約3,000億円。1949年創業。

2.日本人には落ちつく空間

地下1階(スーパー)と4階(飲食店エリア)が大人気!

イズミヤのプレスリリースをみると、2003年に中国でスーパーやコンビニを展開している上海聯華超市(1991年設立)と業務提携をスタート。その後、上海聯華超市との人事交流(百聯集団の従業員をイズミヤで研修など)もスタートさせている。このような上海聯華超市との関係を通じて、自然と新しいマーケットとして中国への進出を決意したのだろう。上海聯華超市は上海市拠点の大型小売り企業である百聯集団の傘下企業だ。

イズミヤの特長は地下1階のスーパーと4階にある飲食店エリア。訪問したのが週末だったこともあり、この2フロアには驚くほどの人混み。中国のローカル百貨店と異なり、オシャレな内装で、なにより全体的に清潔で明るい雰囲気がつくられている。

2012年4月に開通した地下鉄1号線の玉山路駅の駅とイズミヤ店内は直結している。消費者にとっては地下鉄から直接訪問できるアクセスしやすいショッピングセンターだ。ただし、玉山路駅の周辺はイズミヤと隣接する美羅百貨(MATRO)以外は何もなく、徒歩での来店客は見込みにくいムズカシイ立地でもある。

(写真2)イズミヤ(蘇州)の店内、全体的に清潔感があり明るい

(写真2)イズミヤ(蘇州)の店内、全体的に清潔感があり明るい

百聯集団とは?
百聯集団は、百貨店やスーパーを中心に事業を行う上海市拠点の大型国有企業。上海一百集団、華聯集団、友誼集団、物資集団が2003年に合併した巨大企業。聯華超市、華聯超市、世紀聯華、快客便利、東方商厦など小売り事業が有名。百聯集団傘下のいくつかの子会社は、上海証券取引所や香港証券取引所に上場している。

トイレの前にはアルコール消毒液、「おもてなし!」

トイレにいくと、その前にはアルコール消毒液が置かれていた。中国のショッピングモールや百貨店では、まず見かけることはないだろう。

(写真3)中国のショッピングセンター、百貨店で初めて見た消毒液

(写真3)中国のショッピングセンター、百貨店で初めて見た消毒液

日系企業も続々出店か!?メガネ専門店のZoffも!

蘇州で日系ショッピングモールといえばイオンモールの存在感が大きい。中国に進出している日系小売り企業、たとえばニトリ、ユニクロ、無印良品、JINSなどイオンモールに出店している。

イズミヤも日系小売り企業のテナントを入れて、ショッピングセンター全体の価値を向上させようとしているのだろう。2016年4月にはメガネ専門店のZoffがオープンしていた。

ただし、中国のショッピングモールや百貨店の多くで言えることだが、飲食店エリアは大人気であるものの、アパレル・雑貨などの販売店は苦戦がみられる。ネット通販の浸透にともない、価格競争力のあるネット通販(つまり安い)で購入する人が増えているからだ。しかも、住宅価格の高騰に引っ張られる形で、中国の不動産価格は高騰している。蘇州市内も100㎡くらいのテナント賃料(管理費込み)は1.5万元~2.5万元(約25万円~42万円)と決して安くはない。

(写真4)イズミヤ(蘇州)に入店したメガネ専門店のZoff(ゾフ)

(写真4)イズミヤ(蘇州)に入店したメガネ専門店のZoff(ゾフ)

イズミヤ蘇州は2011年11月にオープンしてから4年が経過。2店舗目の出店が見られないことを考えると、中国のショッピングセンター、百貨店業界はかなり厳しい状況に入っていると考えられる。上海、蘇州にかぎらず、中国各地でテナント誘致に苦戦する百貨店は少なくない。不動産価格の高騰によりテナント賃料が上昇し、コスト競争力を失った実店舗が苦戦する悪循環がつづいている。(了)

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